表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

刻は残酷なり…?


――――光浩は、送信からさほど経たぬうちに届いた通知に胸を高鳴らせていた。


(……返事、来たのか?)


震える指で開いた画面に並んだのは、短い文。


『ばーか。クソが。くたばれ!』


「……は?」


思考が真っ白になる。

さらに続く一文が胸を抉った。


『浮気する男とか、マジ無理だから』


心臓を握り潰されたような衝撃。

光浩の手からスマホが滑り落ち、ソファー音を立てて沈んだ。


(……やっぱり、まだ怒ってる。二十年経っても、許されてない……)


脳裏に蘇るのは、あの夜の記憶。


「どうして?」

震える声で問い詰めてきた千沙の姿。

答えられず、ただ黙り込むしかなかった自分。

そして流れる涙。


「……クソ……」

顔を覆った掌に、悔恨がじわりと滲む。


ほんの出来心。

自分を持ち上げる軽い言葉に酔って、愚かにも踏み外した。

守るべきものを壊した。

そのツケが、二十年経ってもこうして返ってきた。


(でも……文体が……少し違う……)


冷静になった瞬間、違和感がよぎる。

あの千沙なら、もっと柔らかく、もっと静かに怒るはずだ。

こんな直球の罵倒をするだろうか?


「まさか……」


疑念が芽生え、胸のざわめきがさらに大きくなった。

返事は確かに“拒絶”だった。

だが本当に千沙自身の言葉なのか。


光浩はスマホを拾い上げ、真っ暗な画面に映る自分の顔を睨みつけた。

後悔と混乱が入り混じり、出口のない夜に沈んでいった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ