ミステリマニアは調べてみた
太郎はオカルトマニアだが、俺はミステリマニアだったりする。
いろいろとミステリ小説を読んでいたが最近は作家物は食傷気味だった、そんなときこの矛盾に満ちた物語少し燃えた。
「いいねえ、この天然物のミステリー、俺が解き明かして見せようか」
今度は太郎が俺を見て引いている。
「お前さ、前に親戚の不倫を暴いたことなかったか?」
ちょっと前に叔母さんが旦那の行動が不振だと母に相談しているのを俺が飛び込んでその事情を聴きだし、その後いろいろと聞き出した。
まあ、ちょっと考えればわかる結論だったが。こそこそと電話したり、スマホを肌身離さずなんて典型的な行動だ。浮気でなければ職場で犯罪行為があるとかしかないだろう。現実は直視しないとな。
それはともかく俺はまず立ち上がった。
「どこに行くんだよ」
太郎はそう聞いたが俺は静かに答えた。
「まず調べるべきは日本書紀だ」
聖徳太子の資料としてまず第一級の史料である日本書紀を図書館で借りた。
俺は図書館でその時代の資料を探すことにした。
まあ昭和の時代に出た聖徳太子悪霊説、それに応じた資料はいくらでも見つかったが、その前にまず法隆寺を考えた。
「たたられた寺か……」
「崇徳天皇もそうだけど、非業の死を遂げた天皇は徳という字で贈名されることが多いんだぜ」
太郎のオカルトワンポイントレッスン。
「しかし、この家系図、えぐいな」
名前だけ知っていてさして興味もない人だが調べてみるとなかなかえぐい。
聖徳太子、厩戸皇子の両親は異母兄弟、そして二人の祖母は姉妹。
父方の祖母が堅塩姫、母方の祖母は小姉君、姉とついているがこちらが妹らしい。
「スペインハプスブルグも真っ青じゃね」
ブルーブラッドだけに。
「そして皇族の女性と結婚しているんだが子供が生まれても一人、そりゃこれだけ近親結婚繰り返せばなあ」
蘇我家の妻と蘇我とも皇室とも全く関係ない妻だけが多産。
生物学的にとっても正しい状況だ。たぶん平安時代には異母兄弟は結婚できなくなっていた、たぶん相応の犠牲を出した経験則によってだろうなあ。
俺の指さした家系図を見て太郎も引きつっていた。