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絵の中

 一枚の絵がある。

 平安京の寝殿造りの建物の内部を描いたように見える。

 御簾を挟んで画面の左右が分かれている。

 画面右、御簾の背後には明らかに高貴と思われる女性が立っている。

 だがその身体は大きくかしいでいたそして大きな袖で顔を隠すようにかざしていた。

 長い髪と冠も傾いている。そしてその画面半分を占める御簾には禍々しくも生首がかみついていた。その顔は憎悪にひきゆがみ、切り落とされた首からはおびただしい血が流れていた。

 そしてその生首の下には首を切り落とされた死体と武器を手にした公家たち、そして鎧を着た武人と思われるものもいる。

 おそらく首を切り落とした張本人であると思われる公家たちに一瞥も与えず、生首は御簾の向こうの女性を女性だけを見ていた。

 画面が平安時代のように思われるのに随分と猛々しい画材だ。。 

皇極天皇と蘇我の入鹿の絵だという。大化の改新、今は乙巳の変と呼ばれている事件だ。

 その絵を見ていた、なんだかわからない、その絵はむしろ稚拙だと思う。

 何かを訴えたいと伝えていた。

 女の顔はわからない、袖と扇で隠されている。その向こうの顔はどうなっているんだろうか。

 この絵が伝えたい本当の理由は何だろう。

 不思議なことにこの絵の中で名前が推測できるのは皇極天皇と入鹿だけ、本当なら主役がいるはずだがその見分けが全くつかない。

 武器を持った中の一人が中大兄皇子、のちの天智天皇、そして大海人皇子のちの天武天皇、本来この二人こそ焦点を当てられなければならないのに集団の中に沈んでいる。

 中臣鎌足はどこにいるのだろう。

 すべてが背景に沈んでしまっていた。

 そしてページを閉じた。

 これはいったい何だろう。

 


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