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5歳になる頃に、先生が三人付いた。
姉に付いていた先生二人と、神職の人だ。
どうやら話に聞くと、神職の人がメインで物事を教えてくれるらしい。
そして去年、姉が9歳の頃、本名を教えてもらった。
「セ・ミドリ」というらしい。
身分のある人は、魂の色が見える人間が、7歳の頃に、その魂の色に因んだ名前を名付けるのだとか。
セはうちの家名で、教皇等の立場のある人間は、私の家族の事をセ一族と呼ぶらしい。
立場のない人間が家名を呼んだりすると、殺されても文句が言えないという法律もあったりする。
10歳になると、遠くの学校に行かなければならないらしく、姉が旅立つ時に名前を教えてもらった。
名前を教える時というのは、家族としてその人間を認めた時に限るという話だ。
因みに、姉も私も親から名前を教えてもらって居ない。
成人して、一人前になったら、親は子に名前を伝えるらしい。
7歳の時、両親がいる元で、名前が伝えられるので、親は子供の名前を知ることはできるのだが。
この国の家族のハードル(文化)、高くないだろうか…?
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その事も踏まえて、三人の教師に文化と教養、そして宗教について学ぶ。
筈だったのだが、私の場合、体を動かすことから始まった。
神職の人が主導するのだが、二人の教師はお役御免とばかりに、外へ追いやられた。
その日から始まったのは、神の導きのままにと良いながら、木の棒で私のことを叩いてくる。
手を抜くと容赦がなくなり、骨を折られた。
それが毎日続き、地獄のような日々を送ることになった。
たまらず私は「神職の元に行きたくない」と両親に直訴したが、両親はそれが役割だからと言って、聞く耳を持たなかった。