5
家に帰った後、姉に話を聞いた所、暫定宣教師は神職にジョブチェンジした。
どうやら神が私を遣わした?世界に相応しく、宗教関係者(黒い帽子を被った人)が村に一人はいるらしい。
更にいえば、私の住む村は教國に属し、教國は信者の集まりなのだとか。
姉は他国の人間を邪教徒と言い切っていたが、日本人的にちょっと心配になった。
誰かに毒され過ぎていやしないか…?
心配になった私は、料理を作っている母親に「他国の人は邪教徒なの?」と、ダイレクトに聞いてみた。
邪教徒もいるけど、そんなことはないわよと返事が返って来たので、とても安心したのを覚えている。
後は、光とやらについて父親に話を聞いたが、魂の様なもので、魔力ではないらしい。
そして、この世界には魔法があり、魔力と魂は別物なのだとか。
因みに、父も母も魔力を使うことは出来ないが、父親は魂を見る目を持っており、母親は魂が強いと言う。
まるで謎かけのような話で、家にいる誰に聞いても、真に理解を得ることは叶わなかった。
ーーーーーー
村デビューから一年が経過し、私もそれなりに強くなった。
手に暫定魔力を集中させることによって得られる剣の長さが、3歳の頃に比べて長くなったのである。
姉と喧嘩したことはないが、今ならば勝てるような全能感がある。
剣を振う時、目や耳、肌の感覚が鋭敏になり、風を切り裂くのだ。
外に出て、姉と庭で追いかけっことかをして、体力も鍛えている。
能力を使えば若干身体能力が上がりはするが、流石に本気の姉に追いつく事は出来なかった。
後一歩のような気もするが、何かが足りない。
その思いに駆られて、鍛錬を怠る事はしなかった。