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「先生、ありがとうございました。
とても勉強になりました。」
「いや、良いんだよ。
役に立てたみたいで良かった。」
授業も一通り終わって、先生と協力して話を聞いて回っているうちに日が暮れてしまった。
そろそろ寮に戻りたいと思った頃、先生が話を切り出した。
「ちなみに、セの者は、武器に魂力を纏わせる事は出来るのかい?」
神職の秘伝に関わりそうなラインの話なので、聞くかどうかエルフ先生は迷っていたのだろう。
ずっとウズウズしていたから、知識欲に負けて聞いたのだろう。
私が授業に出ている間も、先生は一人で話を聞いて回ってくれていた。
その恩返しみたいな感じで、交換条件を出して見せることにした。
「ええ、勿論使えますよ。
その代わりに、先生の魂力も見せていただけませんか?」
私にとって師匠から教えられた魂力に誇りを持つように、エルフにとっても、木を操る魂力は誇りなのだろう。
「勿論いいよ。
学園の裏に、多少荒れても大丈夫な森があるから、一戦交えようか。」
…よく考えたら、師匠以外の魂力を扱える存在と、初めての交戦だ。
私と先生は、ウキウキしながら森へ向かった。
ーーーーーー
私は森に着くと、おもむろに手に剣を出した。
「わお。
いきなりだけど、非常に興味深いね!」
「これは生まれ付きですから。」
エルフ先生が興奮しているのを見るのは、これが初めてかもしれない。
感情の起伏が薄いから。
思考が収束し、お互いに意識が切り替わっていくのを感じる。
戦いの気配が近づき、先生がニコリと笑う。
「さぁ、おいで?」
年長者の貫禄というやつだろうか。
言葉では確かに、先生の方が上だろう。
しかし、莫大な魂力を宿した剣と肉体は、常人の目に見えない速さと威力を兼ね備えている。
先生の魂力も同時に動いたのを感じる。
目で見るのは、間違いなく遅い。
お互いに、そのレベルの世界にいる事がわかった。
地面から鞭のように無数の枝が伸び、私に襲いかかる。
「ふっ」
笑ったのではない、呼吸を整えた。
次の瞬間には、無数の枝を木っ端微塵に切り裂いた後が残る。
お互いに小手調べを行い、もう既に次の準備へと移っている。
小枝ではなく、巨木。
切られた枝が成長し、それらが木まで、際限なく成長する。
エルフが木を操ると知識では知っていたが、こんなの反則じゃないか。
そう嘆く暇もなく、次の手札を切らされてしまった。
呼吸による身体機能の増加、また魂力による脚の完成。
私は宙に舞い踊り、木にタンと足を付け、先生に急接近する。
数十メートルの距離は無いに等しい。
それを直感で悟ったのか、壁を作って遮ろうとする。
確かに、高速で近づいて来る物体が硬い壁にぶつかれば、ぐちゃりと潰れてもおかしくは無いだろう。
しかし、私の足は既に魂力で完成されている。
体を捻って足の角度を変え、地面と足の摩擦で軌道を修正し、先生の首元に剣を差し出した。
「光、力…?」
半分正解で、半分間違いだ。
「いいえ、これが私のスキルです。」
「はは、挙動がおかしいように見えたんだけどな…
どう言うスキルなんだい?」
「私にも、わかりません。」
わかってることはあるが、わからないことの方が多い。
止める人は居ない…(´・ω・`)




