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人を殺してしまい、それが悪人とは言えトラウマになった。
一週間ほど近くの村で休ませてもらい、残りは駆け足で聖都まで行くと決めた。
ヤっちまんたもんはしょうがねぇ!!!
ヤケクソ気味走る事一週間、魂力によって鍛えられた体は前世の数十倍もの機能を発揮して、あっという間に聖都に着いてしまった。
1日40キロ歩いたとして、30日で1200キロ位になる。
五日で200キロ。残り1000キロを一週間で走破したので、1日あたり150キロ走る計算だ。
この世界に計測器やGPSは無いし、前世の人間と今世の人間のスペックも異なる。
全て感覚の話だが、前世とのギャップに驚きを覚えた。
幼女をここまで強くする、魂力ってすごい…
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聖都に着いた。
滅茶苦茶大きい外壁に囲まれている。
私が全力で魂力を使っても尚破れなさそうな外壁の厚さ。
何層にも組み上げられ、一撃では絶対に破壊されないと言う強い意志を感じる素材感。(魂力の波動を広げる事で、なんとなく素材がわかる。)
戦争や魔獣を想定しているのだろうか。
数千年の歴史においても、二、三回しか破られた事のない城壁に、感動を覚えた。
(歴史的に、外国の特殊な攻城兵器により、何度か破られたらしい。)
自分の村には(多分主に師匠のせいで)柵すらないのである。
想像以上の聖都の発展ぶりに、思わず震えた。
貴族以上の階位・一人前を証明する師匠から頂いたネックレスを見せると、すんなりと都に入れた。
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聖都に入ると、むわっとした熱気に包まれた。
香りの暴力、人の多さに圧巻される。
聖都は治水の整備も進んでいるため、上水と下水が分けてあるが、それでも臭いはする。
その代わりと言ってはなんだが、香辛料のような香り、人の付ける香水の香り、馬や家畜、動物の香りが一度に襲って来た。
こんな体験は前世でも今世でも初めてだったので、目を輝かせて辺りを見渡した。
城壁に囲まれているので、臭いが籠るのも仕方ないだろう。
命には変えられない。
あと、学校はこの國、教國の聖都にしかない。
その為聖都の学校や、教國の学校で通じる。
辺りを見渡せばわかるが、この國には、文字が基本無い。
識字率0.1%未満だろう。
外国語を輸入して使っているような状態だ。
師匠の技、特殊な古伝「光力」も全て口伝だった。
学校には魔法を教える専門家、社会や歴史などを教える専門家、珍しいところで経済学者や哲学者がいるような形だ。
政治家というよりは、元貴族のような立ち位置の人が教える事が多いらしい。
魔法のルーンはマークで、呪文は勿論口伝。
神職は特別に、神代文字を扱うことがある。
しかし、神職の中でも本当にごく一握りが扱う物で、師匠にも、私にも関係がない。
紙を使う事がないので、リスニングで覚えなければならない。
姉に聞いて驚いたが、椅子があっても机はないらしい。
姉は当たり前の事だと考えていたので、結構なギャップを感じた。
師匠だけが感覚派だと思っていたけど、魔法に関しても、フィーリングが大きいのかもしれない。
そんな事を考えながら、私は学校まで歩いた。




