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残酷な描写があります。
ご注意ください。
聖都までは、大人の足で一ヶ月程掛かると言われている。
両親から路銀を持たされた私は、野宿と宿に泊まりながら、聖都まで歩いて行く予定だ。
師匠からは常在戦場を、強く言い含められている。
常日頃から魂力を鍛え上げ、朝になれば歯を磨くかの如く、無意識に魂力に磨きをかける。
人間の構造上、魂力を含めたエネルギーは、お腹に溜まりやすいらしい。
お腹に溜まったエネルギーを指先まで行き通らせ、それをまた腹に還元する。
その繰り返しによって、魂力の精度は上がっていく。
私の魂力は、師匠の物や、他の人とは性質が異なっている。
普通は魂力の総量は上がらず、精度を上げていくしかないが。
私の場合、精度が上がれば、魂の力も上がっていくらしい。
生まれた時に手に持てる(魂力でつくった)短剣はか弱かったが、年齢を重ねるごとに短剣の形を長く出来たのは、その特殊な魂力のお陰だった。
前世では歩くのは億劫だったが、今世では歩く時も、稽古の時だと思う。
今では、魂力の総量を上げるのは、一種の趣味のような物になってる。
強くなりたいと言うより、庭にある木を育てているような気持ちの方が近い。
この世界には魔物もいるらしいが、この辺りに居る魔物であれば、負ける道理はないと師匠からお墨付きを貰っている。
実際、村の畑がイノシシのような魔物?に荒らされているのを見たが、父親がそこそこの魂力を纏う剣で一刀両断するのを見ると、脅威とは思わなかった。
私は師匠以上の強敵に出会った事がないし、私にとって師匠が最恐で最強だ。
そう滅多な事で出会う物ではないと思う、多分。
姉は聖都までの護衛を雇ったらしいが、神職の師匠曰く護衛を付けるのは軟弱者の証らしいので、一人で向かう。
旅をするという初めての経験に、不安とドキドキとしたときめきを感じながら、出発した。
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俺は9歳の女児だ。
当然人を殺した事もないし、首の切れた人間を間近で見た事も、血の香りを嗅いだ事もない。
盗賊が襲って来たので、反射で剣を出し、魂力を纏った剣で首を刎ねた。
それ(人間の頭)は綺麗に弧を描いてはね去って行った。
血飛沫が顔にかかった。
吐き気を催しながら、ここで吐いたら死ぬと思い、続けて四人くらい殺した。
旅に出てから4日目にして、最大の苦難だった。
村の治安が良かったから、治安の悪さを舐めていたと言うのが正直なところ。
姉もおそらく、そう言った話は無意識に避けていたのだろう。
そして、師匠なら盗賊が村に近付く、不穏な空気を容易く察知出来る。
村に入る前に処分するなどは朝飯前という事に、今更ながら気が付いた。
保護されていたのだと。
私が勘違いをしていたと、心底後悔した。




