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第三章-17

「バイオナノマテリアルはね、先に発動された権能へ優先的に利用されると言う性質があるでしょ?

だから、ちょっと先に使わせてもらったよ!」


エリはユリの放り投げた鞘を見る。

鞘は緑色の光を点滅させている。

点滅は何か権能を発動しようとして、バイオナノマテリアル不足であると言うことを示していた。

その状態になった鞘は権能を発動するまでずっと周囲のバイオナノマテリアルを吸収し続ける。


「この塔の床、壁!

全部を芝生で覆い尽くすまで、あの鞘はバイオナノマテリアルを回収し続けるよ!」


「くそっ! 相変わらず狡猾だ!」


エリはそう叫んだ。


「ほめても何も出ないぞ!

権能が効かず、相手の動きを封じれるはずだと言う思い込みが命取りだよ!」


ユリは次々と攻撃を繰り出し、エリを追い詰める。

エリは唇を噛むと、大きく後ろへ飛び下がり、転がっていた短槍程度の長さの鉄パイプを手にする。


ユリはエリが後ろへ飛ぶことを予見しており、エリが鉄パイプを拾った瞬間を狙って下から切り上げる。

キィンと金属同士がぶつかる音が鳴り響く。


「エリ! おとなしく私に殺されろ! お父さんとお母さんを殺した罪を償え!」


「私はまだ死ぬわけにはいかない! 世界をもとに戻すんだ!

どう考えても私が正義なんだから邪魔すんな!」


「邪魔するに決まってる!

自分の罪を棚に上げて、正しいことをしてるから許せなんて話が通じるわけないだろ!」


二人は会話しながらも次々と武器をぶつからせていく。

ユリは自分が刃物を扱っており、長めの鉄パイプを扱うには近すぎる間合いを存分に生かし、エリに防戦一方を強いている。


「ねぇ、エリ! 昔私はあなたに全然かなわなかったけど、一つだけ勝てるものがあったの覚えてる?」


「そんな、昔のことは忘れた!」


「あ、そうなんだ。ってことはそれについて、いまだに私との差が埋まってないってことだね?」


ユリはそう言いつつ、突然軍刀を大振りした。

近距離で戦っていた間合いが少し開き、エリの持っている長い鉄パイプで相手を突くのにちょうどいい距離となった。


「何でもいいから、もう邪魔しないで!」


エリはそう叫びつつ、ユリの腹を思い切り突いた。つもりだった。


「だから、エリは格ゲーがだめだったんだ。行動が素直すぎる」


エリが前に出した鉄パイプはユリの脇腹をかすめていた。

ユリはエリの鉄パイプをがっちりと脇で挟んでしまっていた。

エリが鉄パイプを引き抜こうとしても、鉄パイプはまるでそこへ固定されてしまったかのように動かなかった。


「くっ……! ここまできてやられるわけには、いかないのに!

あんたは何にもわかってないんだよ!」


だが、ユリはエリの言葉に耳を貸さない。

ユリは軍刀を引いて、エリの心臓を一突きする構えを取る。


「一度死ね! そのあと、あんたの罪が何なのか、じっくり聞かせ続け、最後に存在を消してやる!」


ユリが軍刀を前へ突き出そうとした時だった。


「殺すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


ベルのこれでもかという大きな声が、塔の上へ響き渡った。


エリの体に軍刀が突き刺さる直前でユリは軍刀を止めた。

ユリはエリから目を話すことなくベルに向かって言う。


「なんだよ! ベル! エリ殺害については関与しないんじゃないのか⁉」


ベルはユリ達の方へ駆けると、軍刀を持つユリの手に触れる。


「ベル、これ以上邪魔するならあんたから殺すよ?」


ユリの低い脅しの声に、ベルは少し気圧された。

だが、ベルは頭を振って気を持ち直すと、まっすぐにユリの事を見て言う。


「結論から言うよぉ。エリちゃんは不死者じゃないよぉ!」


「は?」

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