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第一章-11

「まぁ、そう言う区分になるかなぁ。

あたしは別にヤンキーだと思って活動してたわけじゃないけどねぇ」


「ギャルでしょ」


「そうそう、ギャルだよぉ。あたしとしてはどっちでもいいけどぉ」

 

ベルはそう言いつつ、話を続ける。


「そうやってボコボコにされて死にかけているとき、ちょうどおうちの事情で午後から登校する、ユリちゃんが通りがかったのぉ」


ユリは頷く。


「あの日は、エリの検診があって、その手伝いに行ってたんだ。懐かしいね」


「エリさんというのは……?」


ランはおや、という顔でユリに問いかける。


「私の妹だよ。はっきり言って天才だった。

ギフテッドであるはずのベルが霞むほどに。

というかベルはその才能のほとんどをいたずらに使ってるから、エリと比較しようもないんだけど」


「そ、そうなのね……」


ランのちょっと複雑そうな表情を、ユリは少し見ていた。だが、ベルはノリノリで話を続ける。


「通りがかったユリちゃんは、あたしたちの状況を見て、こういったのぉ。

『五対一なんて卑怯だ。一対一にしろ』ってねぇ」


ベルは嬉しそうにくねくねしていたが、マツバは言う。


「……暴力は許さないぞとか、そう言うセリフじゃないんすね」


ユリはフンと鼻を鳴らす。


「抵抗する力があることを暴力で示すことが大事な場面もあるから、暴力を否定しないよ。

よく物語に出てくる正義の味方も使うのは暴力だし。

私としては単純に最初に不意打ちみたいな形で襲ったやつらが卑怯なことをしているのがムカつくなと思っただけなんだよ」


「でも、そこからがすごかったんだよぉ」


ベルは恍惚とした表情で当時を振り返る。


「ユリちゃんは遠目から五人組のうちだれがリーダーであるかを見抜いていたんだよぉ。

ユリちゃんはあたしを蹴っていた奴らに近づくと、ユリちゃんに殴りかかる彼女たちをあっさりいなしてリーダー以外の鼻をぶん殴り、きっちり同じ方向に鼻を折っちゃったんだよぉ」


「あいつら、戦い方のたの字も知らないゴミだったから、ボコすのは簡単だったよ」


ランは唖然としつつ言う。


「普通四人に囲まれたら、たとえ相手が素人でもできることなんてないと思うわ……」


「ユリちゃんはそのあと、あたしを助け起こすと、攻めあぐねていた相手のリーダー格の女と私にほら戦えって言って腕組みして待ってたのぉ。

おかげであたしはそいつの顔面にきっちりこぶしを叩き込み、ぐちゃぐちゃになってしまったアイスの恨みを晴らすことができたのよぉ」


ユリは目を細めつつ、昔を懐かしむ。


「で、そのあとベルがねぇねぇって私にずっと話しかけるもんだから、学校に一緒に行くことになり、ボコボコの顔をしたベルとこぶしに傷を負った私、そして、他校からキッチリ鼻を折られた生徒たちがいると言う連絡により、仲良く停学になったんだよ」


ベルはへへへと笑う。


「停学の間、ずっとユリちゃんと、病室にいるエリちゃんと話して、あたしはすっごい楽しかったんだよぉ!」


「まぁ、人と話が合わないって悩んでいたあんたにとって、エリはあんたでも超えられない本物だったからね」


「それにユリちゃんは、あたしに対しては遠慮せずに、分からないとき、『分からん、分かるように説明しろ』と殴ってくるから、あたしにとってはとても助かったんだよぉ」


「ドヤ顔でわけわからん事言ってくるあんたがうざいだけだよ」


ベルはそう言ってランの方を向く。


「あたしとユリちゃんはこんな感じだよぉ。

あたしはユリちゃんに恩義があるのぉ」


「殴られている件はどうでもいいのね……」


ランは変なのと思いつつユリを見ていた。だが、ユリの目にはランが何か別の事を考えているように見えていた。

その別の考えというのは、特に『エリ』という名前のところで反応しているように見えた。

しかし、それを問いただす前に、目的の場所へ着いた。


そこはちょうど白の塔の中腹辺りであり、階段がちょうどここでおわっていた。

その場所は、踊り場となっており、円柱になっている塔の中心部分、黒い管が大量に並んでいる中へ通路が伸びていた。


「ようやくついたわ、ここが、あなたたち至天の案内人コンシェルジュに会ってほしい人の住まいよ」

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