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第一章-5

「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


テンションが高まりすぎておかしな声を出すユリは、空をすっ飛びながら言う。


「見て! あっち、太陽の方! いい景色だよ!」


ちょうどユリの指さすは山々が重なり、森が広がっていた。

その森に霧がかかりつつ太陽光が当たっているため虹のようなものが見えていた。


「ほんとだねぇ! すごいきれいだぁ!」


ベルはそれを見てキャッキャウフフと盛り上がっている。

だが、マツバとランはそれどころではない。

とにかく自分たちがマグマに落ちてしまうんじゃないかと、逆さ街とマグマの間を睨みつけていた。


ちょうど放物線が頂点になろうかというとき、高らかな鳴き声を上げて近づいてくる亜獣がいた。


「ビィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」


「げっ、この鳴き声!」


ユリはそう言って鳴き声のする方を見た。

そこには少し前に倒した鷹型の亜獣をさらに大きくした鷹が迫っていた。


さっき殺してしまった鷹とつがいだったのだろう。

怒りに満ちた雰囲気でユリ達の方へまっすぐ飛び込んでくる


「ユ、ユリ姐さん!」


「うわ、きっちり、一番弱いやつに狙い定めんなよ!」


「ユリ姐さん! 余計な情報を入れなくていいっす! ああああああああ!」


鷹はまっすぐにマツバに狙いをつけていた。

その大きな足でマツバの胴体をガシッと掴むと森の方へ飛んでいこうとする。


「マジかよ! マツバ!」


ユリは慌てて軍刀を抜くと同時に胸の中にしまっていた小瓶を投げると言う。


「インストール! 蔦(ivy)!」


LBMT(左腕のデバイス)から軍刀へ渡された始動語ファイルがバイオナノマテリアルへ作用し、軍刀は緑色の光を帯びる。

ユリは自分で投げた小瓶を軍刀で叩き切った。

小瓶から土が飛び出し、軍刀が帯びていた緑色の光が土へと移った瞬間、蔦が一気に伸びマツバの足に絡みつく。


ユリはそのツタを掴むと、鷹に引っ張られ飛んでいた軌道が大きく変わる。


「ユリちゃん! そのままじゃマズイよぉ!」


鷹はマツバを地面に叩きつけようと彼を一気に地上の方へ連れて行っている。

叩きつけられれば体はバラバラになり復活まで相当な時間がかかってしまう。


「くっそ! Gが強すぎる……!」


鷹は羽ばたきつつ加速しながら地面へ向かっているため、ユリはマツバに結び付けた蔦手繰って鷹に近づくことができなかった。


「一瞬の隙が必要だよねぇ! ええい、考えている暇はないよぉ!

 エクスポート! 記憶の本!」


ベルの手の中に古びた本が出現する。

ベルはすぐさまLBMT(左腕のデバイス)から始動語ファイルを記憶の本へ送り込むと言う。


「インストール! 午後のティータイムの記憶(afternoonTeaTimeMemories)!」


インストールが完了した瞬間、ベルの持つ本から白銀の光が球状に広がる。

球に触れたランは、突然頭の中に、とても落ち着く庭園の、椅子に座ってテーブルの上にある紅茶を飲みつつ、ゆっくりと本を読んでいる情景が浮かんで、ほんわかする。


「ああ、いいな……」


まるで一瞬時間が止まってしまったかのように、空中にいた生物たちはすべからく暖かく安らぐ時の感覚を持ってしまう。

その感覚は鷹も同様である。

鷹はその一瞬、羽ばたくのをやめていた。


ユリはベルの広げた恍惚の感情を一瞬で頭の中から追い出す。


「ナイス! ベル!」


ユリは何度もベルの権能にしてやられてきたおかげで、回復が早い。

鷹より数瞬早く回復し蔦を手繰ってマツバの方へ近づく。


あっという間に鷹の足へ掴まると同時に、鷹も正気を取り戻し、再度地面へ近づこうと加速する。

足に掴まれていたマツバは涙目でユリを見る。


「ユリ姐さん! このままだと鷹を殺しても、落下で俺たち死ぬっす!」


だが、ユリはにんまり笑う。


「安心して! そもそも、死なない。それに、私にいい案がある!」


「もう、ユリ姐さんのいい案はこりごりっすぅぅぅぅぅぅぅ!」


「黙ってて!」


ユリはそう言うとマツバに絡めていた蔦を、マツバ固定用に足へと絡ませると鷹をよじ登る。

突然体に取りつかれた鷹は慌ててユリを振り落とそうとする。

だが、ユリは持ち前の握力で鷹にしがみつきつつどんどん上り、ついに鷹の背中に到達する。


「よし。それじゃ、いっちょやったりますか。

めちゃバイオナノマテリアルを使うからあんまりやりたくないけど……」


ユリはそう言いつつ、LBMT(左腕のデバイス)を鷹の背に当てて言う。


「インポート! 生命の接収(seizureOfLife)!」


「ビィィィィィィィィィィィィィィィ⁉」


突然背中からバイオナノマテリアルを流された鷹は驚いて、暴れる。

だが、ユリはその暴れる鷹の背中で完全に鷹にくっついていた。

接収が終わるまで、相手がどれだけ暴れてもユリは手を離せない。

数秒後、ユリは満足そうにうなずく。


「よし! 接収完了! お前の名前はホークだ!」

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