美味すぎかよ
さっきの少女の名前はリアラというらしい。
本人に聞いたわけではない。
何故か少女の名前や記憶が唐突に頭の中に浮かんだのだ。
どうやら、ぶっかけられると、その人物の名前や生い立ちが分かるらしい。
リアラの父親と母親が何者かによって襲撃され、一人だけ命からがら逃げ出した。
しかし、村では余所者は歓迎されることはなく、イジメを受けている。
といった風に、ざっくりとしか分からない。
もっとレベルが上がったら、より深く分かるのだろうか。
ちなみに、風景の記憶を見たところ、どうやらここは地球ではないらしい。
見たこともない生物が飛び回っていたり、地を張っていたりしていたからだ。
俺は、便器に転生してしまったのだろう。
まぁ、悪くない。
そして、恥辱(快感)を覚えてから、次の日。
また、リアラはやってきた。
(もしもーし、リアラ、聞こえてる?)
「トイレのゴーストさん、なんで私の名前を?また幻聴……か」
リアラは頭を抱えてそう呟く。
昨日と同じ服装だが、髪の毛の汚れがより目立って見える。
(ゴーストでも幻聴でもない。私はトイレの神様だ)
「神様……」
少女は目を細めて口を閉ざすと、その場にしゃがみ込み、手にしていた黒い物体を齧り始めた。
パンのような物だと思うが、咀嚼音からして到底まともな食べ物ではないことが窺える。
神様という単語を聞いてからか、少女の反応はそっけない。
(こんな所で食べない方がいいだろ)
「ここなら食べ物を盗られる心配もないし、周りを気にしないで済むから。一番安全な場所なの」
顔が見えるようになったが、少女の目は暗く澱んでいる。
所謂、便所飯なのだろう。
「神様は、嫌い。大っ嫌い」
怨みに満ちた表情。可愛い顔が台無しじゃないか。
名前や多少の記憶が読み取れても、感情までは分からないのは不便だ。
神様って言ったのは間違いだった。
(実は神様なんかじゃないんだ。そう言えば、君が話してくれると思って)
「何それ。私と話して、面白いことなんてないよ」
(そんなことない。ここに来るのは君だけだし、私も退屈なんだ)
「うるさいなぁ」
(君だって寂しいんじゃないのか?)
俺がそう言うと、リアラの食べる手が止まった。
俺に興味を持ってくれたのかもしれない。
ここはとにかく自己紹介から、、、
名前はトイレだから、トイレ、トイレット、ト、ト
(私の名前は、えーーっと………………トトだ。神様でもゴーストでも何でもない。たぶん、ただ意思のある空間だ。リアラのことも教えてほしい)
「ふーん」
話半分で聞いているといった様子で、興味は無さそうだ。
どうしたものか…。
ちなみに、名前は安直に有名なトイレメーカーからとった訳ではない。
そう思ってしまったのだから仕方ないじゃないか。
「いッた、また……」
リアラは最後の口に運ぶと、急に立ち上がって、徐に膝丈の裾を持ち上げ、俺の方に近づいてくる。
なるほど、用を足すわけだな。
もう動揺する俺ではない。
「うっ……」
ただ、昨日と様子が違うようで、
これは………………………………
大きい……方なのでは?
(ちょっと待て、リアラさん。今、君は何をしようとしてるんだね?)
「何って、お腹が痛いから出そうとしてるだけ。たぶん、昨日食べた泥パンが原因……」
苦しそうに腹を抱えて悶えるリアラ。
色々と限界なのが分かる。
(待て待て待て!)
小便なら問題ないと思っていたのだが、大きい方は心の準備ができていない。
「待てって、いつものこと……だよ」
リアラの腹の臨海点に達したことが、音から分かる。
その瞬間はスローモーションだった。
液体に近い排便は不健康そのもので、濁流のように俺に押し寄せる。
舌を攻撃するような苦さと酸っぱさ。
そして、ヘドロを喉に流し込まれる感覚の相乗効果が俺を襲う。
健康状態からして、下痢であることは間違いない。
人の糞便なんて口にしたことはあるわけがない。
勿論、吐きたくなるほど気持ち悪………………
いや、案外いけるわ。
うん、これはいける。
人肌に近い温度のため異臭の芳醇な香り漂い、むしろ良薬口に苦しといったことだろう。
液体のような大便は、固くないから円滑に喉を通る。
そう思い至ったのは束の間、リアラはほとんど何も口にしていないせいか、第一波で終わってしまった。
少し名残惜しさまであるのは、俺が便器だからだろう。
【レベルが上がりました。クソボロなトイレ2が10に上がりました。レベル上限のため、ボロなトイレにランクが上がりました】
リアラの〇〇は美味かった(経験値的な意味で)
食べたことない物を書くのは難しいかったですが、どうでしょうか?
あまり、続きを書きたくはないので、ブックマークとかはしなくて結構です。というかしないで下さい。
それよりも、私の他の作品「幼馴染が不死身なのをいいことに、死ぬ気で俺にアプローチしてくる」を読んで下さい。
そちらはブックマークや感想お待ちしております。