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1-4  1日目① ダメ男は、自分を知る

説明がやや多めです。

 新しい朝が来た。さて、どうしようか。外はいい天気だし、外で体を動かしてもよさそうだが、先に勉強しよう。どのくらいの難易度なのか確認しておきたい。

国語……字が漢字じゃないし、ギリシャだとかで見るようなものだったが、普通に読めたし、書けた。難易度は中学生程度。結構簡単だった。

数学……数学というよりは算数。

理科……生物に関することが多め。化学や物理はあまりない。

社会……この世界の歴史と地理、社会について。分からないことがやや多め。

体育……護身術や体の機能について。そこまで難しくない。ダンスが不安。

魔術……魔法についての学問。魔力など、魔法に関すること全般が学べる。読み込み必須。

礼儀作法……マナーについての講習。複雑でかなり難しそう。

 基本的なのはこのくらいか。なにを重点的にやればいいかわかったな。どうやらこれ以外にも、「料理」や「音楽」といった科目もあるようだが、レオンは学科が違うので特に取ってはいないようだ。

 レオンの通う学園――正式名称を王立ハルモニア魔法学園、というようだが、国内外の貴族の子女が集まる名門校のようだ。学科は、普通科、騎士科、魔術科、料理科、芸術科の5つがある。レオンは騎士科の生徒だ。騎士科では、優秀な騎士を育てるためのカリキュラムが組まれている。そのため、野外訓練だったり、実際に魔物を倒したりということもするようだ。ちなみに魔物と言うのは、動物が魔力によって変異した存在で、オオカミみたいなものから、知能を持つドラゴンなどもいるようだ。そしてその中には、人間を襲うものもいるため、それを倒すために、騎士や、ハンターと呼ばれる人たちが存在する。

ハンターは、小説などでよく出て来る「冒険者」と同じようなものらしい。前世では、こういった冒険ものも読んでいたので、少しあこがれる。……訓練がてら、ハンターとして活動してみるのもいいかもしれない。少し考えておこう。

 朝食の後、部屋に戻ってきた俺は――いや「私」だ。ううむ、やっぱり精神が体の年齢に引っ張られているな。……よし、普段は「俺」を使って、公式な場とかでは「私」にするか。どこかで線引きしないと混乱しそうだしな。

 気を取り直して、部屋に戻ってきた俺は、早速、魔法を使ってみることにした。まずは、「風魔法」からやってみよう。試すだけだから、少しでいいかな。

 と、ここではたと気づく。魔法ってどうやって出すんだろう? 

 レオンの記憶に依れば、魔法は、体内にある魔力を練って放出すると発動するようだ。そして発動する魔法の具体的なイメージが必要なようだ。……とにかくやってみよう。分からなければ、教科書でも見ればいい。

 よし、ではさっそく……小さい風の渦を作るイメージで……。その瞬間、体内から何かが抜ける感じがしたと思ったら、目の前に竜巻が発生した。……イメージよりも、かなり大きめのが。

「うわ! これはやばい! 止めるにはどうすれば」

突然発生した竜巻で、部屋の中のものが巻き上げられたり、倒れたりしている。不思議なことに、自分自身には全く影響がないが、このままでは部屋が大惨事になる。魔法を止めるには……。魔力を止める? ええと、今も体からぬけて行っている感じがするこれが魔力か! よし、じゃあ、蛇口をひねるのをイメージして……

 ぬけて行く魔力を水にみたて、水道の蛇口を閉めるイメージをすると、竜巻が少しずつ収まり、やがて止まった。

と同時に、部屋を舞っていた物が床に落ちる。

「レオン様! どうされました? 入りますよ! ……⁉」

 物音を聞きつけたのか、メイドが数人入ってきて、絶句した。当たり前だ、何せ部屋の中は、いろんなものが散乱して、めちゃくちゃになっていたんだから。

「こ、これはいったい……」

青ざめてしまっているメイドになんと説明しようかと思っていると、兄上が部屋に入ってきた。

「なんか魔力がするから来てみたら、レオン。おまえ、なんか魔法使ったろ。風魔法か?」

そういうと、部屋の中を見渡した。

「まだ魔力の残滓が残ってるな。おまえは昔から魔力を練るのが苦手だよな。だから無駄に魔力を使う威力だけ大きなやつばかり出るんじゃないか?」

 兄上の言葉を聞いて考える。確かに、先ほど竜巻を起こした時も、イメージしたものよりもずっと大きなものができてしまった。あと、竜巻の発生中も、ずっと体内から魔力と思われるものが出て行っていたし。もしかしたら、レオンが魔法をあまり得意じゃないのは、魔力をうまく操れていないからなのかもしれない。

 あることを考えた俺は、早速それを実行することにした。

「兄上。その話、もう少し聞かせてくれませんか?」

しっかりと兄上を見ながら、俺は言った。分からないなら、聞けばいい。目の前に、分かる人がいるのだから。それに、魔法を使うたびにあんな風になってたら、迷惑にしかならなそうだしな。

 兄上は驚いた顔をしていたが、俺の目を見ると、にやりと笑って、俺の肩を叩くと、「掃除の邪魔になるから出るぞ」と言った。見てみると、メイドたちが、部屋に散乱していた物を、ふわりと空中に浮かせて、移動させていた。また、明らかにごみであるものに触れると、それが瞬時に消えた。……どうやらあれが無属性魔法らしい。物を浮かせる魔法に、アイテムボックス的なものなのか? やっぱりすごく便利だと思う。あれが前世にあれば、もっと楽できて、家族との時間も増やせただろうに。

 いや、考えるのは後にしよう。今は魔力の操り方だ。気を取り直した俺は、メイドたちに「お願いします」と言ってから、部屋を出て行った兄上に付いて廊下を歩く。廊下にもまた、絨毯が敷かれており、壁際にはところどころ、絵の額縁や美術品が飾られている。それを横目に歩いていると、前を歩いていた兄上は立ち止まると、俺にこう言ってきた。

「レオン。おまえ、変わったな」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 内容は面白そう [気になる点] 改行?間と言えば言えばいいのかわからないですが、全部続けて書いてるので読みにくい部分があるかも
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