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第3章 3-1  ダメ男は学園に登校する

 ついに学園に行きます。そしていきなり騒ぎが起きます。主人公の運命やいかに!?

 さて、今日は俺にとっては初めての学園への登校日だ。その学園だが、この屋敷から馬車を使って20分ほどの所にあるようだ。ハルモニア学園は王都の端の方にあり、伯爵家の屋敷は逆にやや中心に近いところにあるため、いくらかの距離がある。徒歩だと40~50分てところか?

 そしてその道を今俺は、徒歩で歩いていた。なんでこうなったかというと、父上に『馬車は出さないから、歩いていけ』と言われたからだ。天気は快晴。日差しも強いから、体力を消耗しそうだ。荷物も少ないが持っているので、馬車だったら楽だったであろうことは想像に難くない。なお、学生は原則寮で暮らすことになっているらしく、持っている荷物の中には、寮の荷物も少し入っていた。教科書類は、収納に入れた。

 記憶を頼りに歩いていくと、メインストリートらしき大通りに出た。……ここを暫く道なりか。大通りには、左右にたくさんのお店が並んでいる。どれも1階が店舗で2階以上が住居のようだ。その街並みは前世で見た中世ヨーロッパの街並みとやはり似ていた。

 しばらく歩いた後、記憶を頼りに角を曲がると、その先にそれは見えた。

 広々とした石畳の道があり、左右には木が植えられて並木道となっていた。その先には門があって、その先まで石畳と並木道が続いていた。今日は休み明けだからか(今日は月曜日)、休みに実家に帰っていたらしい生徒の姿がちらほら見られ、俺もその中に混じって門をくぐる。

(レオンになってから『まともな人間になる』ためにやってきた。学園でも、やり遂げてみせる!)

そう心の中で誓いながら、学園に足を踏み入れた。


(なぜこうなった……?)

「高位貴族の殿方をたくさんはべらせて、良い身分ですわね? フォルティアさん?」

「はべらせるなんて違いますよう~。皆さんは、仲良くしてくださっているだけなんです~」

 今俺の目の前では、件のアメリアと、女子生徒が一触即発の状態になっている。まるで乙女ゲームのワンシーンのようだ。外から見てる分には漫才かコントのようで面白そうだが、当事者として言わせてもらえば、『帰りたい』『なんか疲れる』って感じだ。……そのうち頭痛とか胃痛がおきそう。

 そもそも、なぜこんなことになっているのかというと、教室に向かっている途中で、3人に見つかって、そのまま一緒に行動することになったのだ。俺としては、この3人とはなるべく距離を取りたいと考えていたのだが、もともと仲がよかったふたりに、押しが強いアメリアが一度に来られると、断るのが難しく、結局こうなったのである。……何か、無難に距離を取る方法を考えないとだな。

 ……なんか考えが纏まらない。後にしよう。

 そして4人で歩いている途中、今アメリアと言い争っているご令嬢と遭遇し、彼女がアメリアに嫌みを言ったことで、今に至る。

「もう学園に編入して1年もたつのに、まだ常識をわきまえてらっしゃらないのね。これでは先が思いやられますわね。平民の学校に戻ったらいかがかしら? それと、カルロス様たちも、一部の生徒を優遇するような真似は慎んだ方がいいのではありませんこと?」

 そう言い放つと、ご令嬢は俺たちをひとりずつ見る。その目はこちらを軽蔑するように細められていた。あれ? 俺を見たとき、その視線に鋭さが増したような……。気のせいか?

 ちなみに、今俺たちに嫌みを言っているのは、カルロスの婚約者であるアスレイル公爵家のご令嬢で、エレオノーラというようだ。輝く銀髪に金色の瞳という、どこかの天使と同じ髪と目の色をした女の子である。でも、性格は少しきつめのようだ。カルロスの婚約者なんて、この子も大変だなあ……。

 当事者だけど、俺の心は完全に他人事だった。だけど、カルロスたちは他人事では済ませられなかったらしい。エレオノーラ嬢に怒りを向けている。

「おい。レオン‼ アメリアが侮辱されているんだぞ! 言うことはないのか‼」

 肩を怒らせながら、カルロスが俺に言い放つ。マーカスも似たようなことを言ってきた。えー……困るんだけど。

 半分上の空で聞いていたが、エレオノーラ嬢の言ってたことは、確かに悪口に近いものもあったけど、だいたいは『身分をわきまえろ』とか『常識にのっとった行動や態度をとれ』みたいなのが大半だったので、何を言い返せというのか。むしろ俺、心の中で『もっと言ってやれ』とすら思ってたんだが。

「……あ~、すまん。考え事してて聞いてなかった」

結局何か言う気も起きなかった俺は、そう答えた。

 次の瞬間、時間が止まったかのように、少しの間その場は沈黙に包まれた。やべ。やらかしたわ。どうしよう。かといって今からなんか言うのも違う気がするしなあ……。頭が痛い。

「あらあら。アルバート様はまだ調子が悪い様子。休んだ方がよろしいのではなくて? ……あら、そろそろ行かないと遅れてしまいますわね。ではごきげんよう。おーほっほっほ‼」

エレオノーラ嬢は、高笑いをしてから去って行った。……てか、あんな笑い方する人、本当にいるんだな。

 脇では、カルロスたちがエレオノーラ嬢に対してご立腹で、不機嫌な様子で悪態をついていた。いくら王子様と言ってもこれが婚約者だと、あの子も苦労してそうだなと再度思う。俺は心の中で密かに合掌したのだった。

 先生方に気を使われながらもなんとか1日の授業を乗り切った。今は寮の自分の部屋である。寮の部屋は、前世でいうところの学生アパートの一室のような感じで、8畳くらいのベッドや机のある部屋と、バス・トイレ・洗面所のある部屋に分かれていた。

「はあ~。……疲れた」

ベッドにゴロンと身体を投げ出す。自分の部屋に戻ってきたことで、無意識に張っていた気が緩んだのか、思っていたよりも疲労感がした。疲労の原因は、やはりアメリアが一番強い。教室は自分が騎士科で彼女は魔術科なこともあって、違ったのだが、休み時間になるたびに自分の所にやってくるのはやめてほしい。昼食と昼休みまで付き合わされてしまった。ちなみにカルロスはアメリアと同じ魔術科で、マーカスは普通科に在籍している。

本当は、関係修復もかねてフィオナを昼食に誘おうと考えていたのだが、結局できなかった。学園内で何度も見かけたのだが、アメリアと一緒にいるときだったり、先生に呼ばれたりとタイミングが合わなかった。一度成功しかけたときは、逆に逃げられた気さえする。とりあえず、今のメンツと一緒だと、フィオナに近づくのは難しいかもしれない。……カルロスたちと縁を切って距離を置けたら一番いいんだろうけど、いきなり距離をとったら変だろうし、かといって邪険にするわけにもいかない。アメリアはともかく、カルロスとマーカスは、伯爵家よりも高位貴族の家の人間だからな。学園の方針に『身分は関係ない』というのがあっても、やはり暗黙の了解みたいなものがあって、うかつな行動はとれない。仮に、勉強に集中したいとか言っても、多分遠慮することなく押しかけて来るのが目に見えている。特にアメリアが。

その光景を想像して俺は、前途多難な学園生活を思ってため息をつく。……姿を消す魔法とか、気配を消せる魔法を使う方法でも考えた方がいいかも。

そんなことを考えてしまうあたり、やっぱり疲れているんだなあと思ってしまうのだった。


ブックマークも評価も増えてきていて、嬉しい限りです。これからもがんばって彼らの話を進めていきたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「その光景を想像して俺は、前途多難な学園生活を思ってため息をつく。……姿を消す魔法とか、気配を消せる魔法を使う方法でも考えた方がいいかも。」 ドアにカギを掛けて、居留守をしたらいいだけでは…
[良い点] なし [気になる点] レオンに散々クソ野郎とか言ってて、結局変わらずにクソみたいなことしてる。 それだとむしろ前より悪質なクソだろ。 [一言] マジでクソ。
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