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SS ダメ男、騎士団で働く②

 ブックマーク・評価・感想・誤字報告など、いつもありがとうございます! まただいぶ空いてしまい、申し訳ありません。

 今回のお話は前回に引き続き、騎士団に出張会です。

 次の日の朝。最初の仕事は朝食作りだった。持ってきた干し肉や干し野菜を水で戻し、それらを角切りのベーコンと一緒に煮込む。見た目は肉多めのポトフといったところ。それにちょっと硬めのパンがついた。この辺はダンジョンに行ったときの経験が活きていたのか結構スムーズにできた。

「これから3班に分かれて作業に入る! 1班は所定の場所で罠の設置と敷設。2班は対象の捜索及び監視だ! 3班はこの場所で待機とする。罠の用意ができ次第状況を見て討伐に入る!」

「応!」

「では、行動開始!」

 隊長の合図で今日の作戦が開始となった。罠設置班に配属された俺は荷物を持って団員達と共に罠を設置する場所へと向かう。今回作る罠は落とし穴だという。まっすぐ進むボアにはかなり有効らしい。罠を作る場所は3か所。それぞれいくらか離れていて、どこにボアを誘導してもいいように、ということらしい。

 穴を掘る場所は周囲に比べるとやや土がふかふかしていた。昨日のうちに土魔法を使える人が地面を掘りやすいように柔らかくしていたようだ。

「よし、ここに穴を掘るぞ。道具を出してくれ」

 そう言われたので、持っていた荷物を下ろして中の道具を取り出す。中には、縄がついたスコップ、クワみたいなもの、脱衣所に置かれている籠みたいなものなど、いくつもの道具が入っていた。……どうりで中々な重さだったわけだ。あと多分これ、マジックバッグだな。明らかに大きさ以上のものが入っているし。それとなんか既視感を覚えるラインナップだなこの道具たち。

「ここには土属性の魔法を使える奴がいないからな。掘るのは人力だ。……さて、始めるぞ!」

 その声を合図に団員たちは道具を手に取って穴を掘り始めた。使っているのは縄がついたスコップである。

「レオン君。この縄をしっかりと握って、俺が地面にスコップの先を突き刺したら思いっきり引っ張ってくれ。あんな感じでな」

 言われた方を見てみると、片方が地面にスコップを突き刺すと、縄を持つ方が縄を引っ張っていた。すると縄を引く勢いで土が掻き上げられて少し離れたところに飛ばされていく。

「これは縄スコップって言ってな。これなら少ない力でたくさんの土砂や石ころを掻き出したり掘ったりできるのさ。とにかく経験あるのみだ」

 というわけでさっそく土を掘る作業に入る。「縄は心臓あたりの高さにむかって引くと良い」というアドバイス通りに何度も何度も縄を引っ張った。最初は引っ張るタイミングが悪かったり、引っ張りすぎて土が変なところに飛んだりしたが、シャベルを持つ方と息があってくるとかなり順調に作業を進めることができるようになった。穴が深くなってくると、あの籠みたいなものに掘った土を入れて穴の外に出した。……前世でもやったなこの作業。

「よし、ここはもう大丈夫だ。レオン君は上に行って、レノ達を手伝ってくれ」

「わかりました」

 指示を受けて穴から出る。そして手招きしている団員のもとに向かう。今度はそこで穴の中に仕掛ける杭の準備をすることになった。指定された木を魔法で切り倒して製材し、杭の形にする。指定された数ができたので運んでいくと、穴もちょうど掘り終わったところだった。

「よし。じゃあ杭を一本ずつ下ろしてくれ」

「はい」

指示通りにすると、穴の底で杭を受け取った団員が杭の先を地面に向けた。

「振動!」

 そう唱えると杭は細かく振動を始めて、先端から地面の中に少しずつめり込んでいく。全体の3分の1ほどがめり込んだところで止めて、今度はタテヤというハンマーみたいなもので叩いて埋め込んでいく。全体の半分ほど埋め込んだところで作業は終わり、次の杭を渡すように言われた。

 同じ作業を何度も繰り返して穴の中に杭を打っていき、杭の先端を槍のように鋭く加工した。最後に余っていた木の枝と掘った土で穴を覆って作業は完了となった。

 休憩を挟んで偵察部隊と連絡を取り合う。結果、昼食後にボアを罠に誘いこんで討伐することに決まった。昼食は野営をした町の食堂が用意してくれたサンドイッチだった。


「これより我らは、周囲の畑を荒らす魔物の討伐に入る! 対象はこの先にある岩場で確認されている。まずはボアブの実の粉末の匂いで奴らをおびき寄せる。もう1組の番も同じ方法でそれぞれ罠の方に誘導し、罠にかかったらそのまま討伐に入ることとする」

「作戦中に他の魔物の出現も十分に考えられる。周囲の確認を常に怠るな。……では、作戦開始!」

「応‼」

 騎士団員たちがそれぞれの場所へと散っていく。俺もまた指示された場所へと向かう。俺は行きの馬車でも話しかけてきたシアンさんの班員としてボアの誘導と周囲の警戒を行うことになった。

 シアンさん達とともに罠のところまで戻ると、シアンさんは巾着ほどの大きさの袋を取り出してその中に火種を入れると、袋ごと落とし穴の上に投げた。少し経つとどこか甘い匂いとともに袋から煙が経ち始める。

「ボアはこの匂いを好むんだ。奴らは鼻がいいからすぐこっちに向かってくると思うが……。念のためにあちらに向けて風魔法で匂いを流してくれるか?」

「は、はい!」

 俺は言われたとおりに弱めの風で煙を一定方向に流す。そよ風をイメージして……。

 普段はやや緑がかった色を成す風魔法だけど、今日はイメージに左右されたのか半透明の風が流れていく。少しやったところで戻ってくるように言われたので、待機場所の藪の裏に戻る。

 それから待つことしばし。ボアがこちらにむかっているという連絡が届き、それから間もなく、がさがさという音が近づいてきた。フゴー、フゴーという息遣いも聞こえる。探知には確かに、ふたつの気配が示されていた。それらが罠の方に近づいていく。

 バキキッ‼

 木が折れる音と共に悲鳴のような叫び声も聞こえた。かかったのか!

「……。出るぞ! レオン君は後方で周囲の警戒を頼む」

「はい」

 シアンさんの声に続き、俺も藪の裏から飛び出す。見えたのは落とし穴にはまった2匹のボア。体長は1メートル以上ありそうだ。1匹は杭が全身に刺さったことで瀕死の状態だが、もう1匹は最初に落ちた方の上にたまたま落ちたのか、まだ暴れられるほどには体力があるみたいだ。

「暴れている方を仕留めるんだ!」

 その指示のもと、そいつに魔法による攻撃が加えられる。穴にはまっていて牙による攻撃もできなかったからか、さほど苦労せずに討伐は完了した。

 騎士団回はもう1話続きます。おそらくは3週間以内には投稿できるかと思います。よろしくお願いします。

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