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SS ダメ男、騎士団で働く①

 ブックマーク・評価・感想・誤字報告など、いつもありがとうございます!

 仕事が忙しかったり思ったよりも執筆が進まなかったりで1か月近く空いてしまいました。申し訳ありません。

 今回のお話はレオンが騎士団のお手伝いをする話です。3話ほどになる予定です。


 余談ですが、SSは本編の執筆が進むと投稿する感じなので、投稿されたら執筆が進んでるんだなあ、と思っていただければいいと思います。

 それでは、どうぞ!

「ハッハッハッハッ」

 俺は今、森の中を走っていた。え? なぜ走っているかって? それはそこに階段があるから……というわけではなく。

「グギイイイイ!」

「そっちに行ったぞ! 追い込め!」

「ワイルドラージボアの前には立つなよ! 弾き飛ばされるぞ!」

「もう少しで罠の場所だ!」

 騎士団の人たちと一緒に、ワイルドラージボアという魔物を追いかけているからだ。

 ことの発端は数日前に遡る。



「私が騎士団の手伝い……ですか?」

「うむ」

 学園に帰ろうとしていた俺に呼び出しがかかり、父の執務室に赴いて言われたのは、『数日間騎士団の仕事を手伝うこと』だった。なんでも、兄がハルバート欲しさに鍛冶職人に頼んだところ、材料が足りなかったらしく、すぐさま休暇を申請した兄は、材料を求めて旅立ってしまったそうな。もちろん騎士の数は足りているし代わりの人はいるらしい。

 だが、父はこれをいい機会だと思ったようで、騎士の仕事を少し手伝ってこいと言ってきたのだ。学園には授業の一環として届け出をしたうえで。


 俺がやることになったのは『畑を荒らす魔物の討伐』だった。チームを組んでの仕事。罠をしかけ、魔物を追いやって罠で足止めしたところを倒す。

 ハンターの仕事では?と思ったが、街道や町に近かったりして迅速に討伐すべき魔物は騎士団でも担当するとのこと。

 一日学園に行った次の日、俺は王都のややはずれにある騎士団の駐屯地に来ていた。門のところには「第3騎士団 王都東駐屯地」と書かれた札が下がっていた。

 この国の騎士団は6つあり、王族と王城を主に守る「近衛騎士団」、王都と国の直轄地を守る「第1騎士団」、治安維持や有事の際に戦う「第2騎士団(貴族家が持つ騎士団もこれに当たる)」、そして今回俺がお世話になるのがここ「第3騎士団」だ。第3騎士団の仕事は主にインフラ整備と兵站。その一環として危険な魔物の討伐もするのだそうだ。なお、第4と第5は海軍にあたる。

 門番をしている騎士に近づき、用件を告げる。連絡が入っていたのか、すぐに中へと通された。

「こんにちは。君がレオン=アルバート君で間違いないかな?」

 中に入ると、がっちりとした体つきの騎士の男性にそう声をかけられた。肯定すると「ではついてきてくれ」と言って、男性は歩き出したので、ついていく。

 門の中は、伯爵家の屋敷と雰囲気が似ていた。建物や訓練場からは、鍛錬に励む騎士団の人たちの声が聞こえて来た。それだけでなく、何かの道具を手入れしている人もいれば、書類を抱えた人とすれ違うこともあった。……この前は見なかったけど、領地の騎士団本部もこんな光景なんだろうな。

 やがて俺はひとつの部屋に通された。中には応接セットが置いてあり、そこには男性が一人座っていた。俺を見ると男性は立ち上がる。

「よく来てくれた。私は第3騎士団副団長をしている。カイゼル=ムーランと言う。君の御父上から話は伺っているよ」

 この方が副団長なのか。

「レオン=アルバートです。非才の身ではありますが、精いっぱい努めます」

「よろしく頼む」

 挨拶もそこそこに、今回の仕事の詳しい説明がされた。

 今回の討伐対象はワイルドラージボアというイノシシの魔物。最近街道や街道沿いの畑に出没しているとのこと。また、ボアを狙うウルフ系の魔物の目撃情報もあるらしく、素早い対応が求められるそうだ。

説明を受けた後、俺は鍛錬場へと案内され、そこで今回の討伐に挑むメンバーと顔合わせをした。今回は30人+自分の31人で任務を行うそうだ。その場には自分と同い年くらいの人もいればかなり年上に見える人もいた。顔合わせの後は、さっそく騎士団用の馬車に乗って目的地まで移動することになった。今日中に目的地の周辺まで行って明日のために調査を行うそうだ。

 ガタガタ、ガタン!

 騎士団用の馬車は結構揺れた。ずっと座っていたらお尻が痛くなりそうだな。

「酷い揺れと衝撃だろ?」

 今回の討伐隊のメンバーのひとりがそう話しかけて来た。

「騎士団用の馬車だから頑丈なのはいいんだけど、乗り心地はあんまよくないんだわ。乗り心地のいい奴もあるけど、それは第3騎士団にはあいにくとないんだよな。……あ。オレはシアン。シアン=オルニスだ」

「レオン=アルバートです。よろしくお願いします」

「おう」

 それを皮切りに馬車の中にいる他の団員たちとも言葉を交わすことになり、目的地周辺に着くころにはいくらかの親交を持つことができた。

 目的地にほど近いあたりにある町で馬車を下りると、野営地を設営する班と調査に向かう班で別れることになり、俺は野営地を作る班の方に配属された。

 野営地は町の一角にある広場に作ることになり、俺は団員の指示のもと荷物を馬車から降ろしたり、テントの設営を行ったりした。町にいるのにわざわざテントを張るのは人数が多いからというのと、野営の仕方を忘れないようにするためなんだそうだ。第3騎士団では災害などが起きた際に炊き出しや被災者への支援を行うこともあるかららしい。

 設営が終わって休憩をしていたところに、調査に向かっていた班の人たちが返ってきたため、ミーティングを行うことになった。

「調査の結果、ワイルドラージボアが少なくとも5匹いることが分かった。おそらくだが2組の番とその子だと思われる。ウルフ系の魔物の痕跡もわずかながら見つかった。そこで、まずは痕跡がはっきりと残っているボアを確実に仕留め、それからウルフの方の探索に入ることとする。だが、ウルフの方と出くわす可能性も高い。周囲の警戒を怠ることのないように」

 それから明日の仕事の内容とその時の班わけが発表されて、解散となった。

 次回更新は未定ですが、本編の執筆が進めば順次投稿していく予定です。

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