第1話 求ム、テンプレ展開
登場人物
主人公 ゼスト・エレメール
1番目の兄 ガイアス・エレメール
2番目の兄 ルイス・エレメール
ここは、何処か、並行した世界_______。
「ご主人様!生まれました、元気な男の子です!!」
「!!おお!!なんと!!」
喜び、そして悲劇
「何故!?何故この子だけ光じゃないのよ!!」
「奥様、気を確かに!!」
平衡を保っていたはずの日常は、とある一つの命でいとも簡単に崩れた
そして、現在_______。
「.......テンプレじゃねぇかよっしゃ美少女とキャッキャウフフしてやんぞ!!!!!!」
これは、ひょんなことから転生した、一人の少年の話である。
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やぁ、俺の名前はゼスト・エレメール。世間一般では「勇者」と呼ばれている家系だ。
ん?「勇者なんてラノベかRPGの中だけだろ〜ww」だって?
ふはははは!!!聞いて驚け!!!
なんとこの俺はな!今流行りの異世界転生とやらをしてしまったようなのだ!!!
前世さんっざん読み漁ったラノベの主人公の立ち位置にいるなんて....!と、記憶が戻った時は興奮した。
どれぐらい興奮したかというと、ひたすらベットの上を転げ回ってそのベットから落ちておまけに2番目の兄に若干引いた目を向けられても全く気にならないぐらいだ。
要するに、だ。
こんな俺でも美少女に囲まれキャッキャウフフデヘヘというハーレム状態になれるのでは!?!?と、その時の俺は期待した。
だが、現実はそう甘くないらしい。
まず俺には“勇者の適正”とやらがなかった。
この世界には生まれつき「魔法の属性」があるらしく、基本エレメール家、特に男児は光属性の魔法を受け継いでいた。
実際、2人の兄はどちらも光属性だ。
だが、俺の属性は「闇」それこそ光と真反対の属性だ。
これを知った時俺は「えっ闇の勇者ってこと!?すげーー!!!」と、大層喜んだが、両親はそれはそれは酷く悲しんだ。
悲しむだけならまだいいが、あろうことか俺に強く当たるようになった。
「おいゼスト!何をうろついている、お前は部屋に入って大人しくしていろ!!!」
だとか、
「なんで貴方はこんな簡単なことすらできないの!?
これだから“出来損ない”は......」
だとか。
挙げ句の果てに一番上の兄貴まで嫌がらせを受けている。
「ゼスト!!貴様ごときが俺の視界に入るんじゃない!!」
「貴様なんぞ家族ではないわ!!早くこの家から出て行け!!」
唯一優しいのは2番目の兄貴だけ。昔から俺に勉強や魔法を教えてくれていて、当たられる俺の身も案じてくれる優しい(何処かの誰かさんとは全く違う)兄貴だ。
「大丈夫か?ゼスト」
「うゔ....兄貴ぃ..........」
別にそこまで気にしていないが、流石に毎日はきついので、こうして一番上の兄貴に癒してもらっているのだ。
「父さんも母さんもガイアスも、なんでゼストにだけ...」
ガイアスというのは一番上の兄貴の名前。
ちなみに2番目の兄貴の名前は、ルイス・エレメール。
だが、流石異世界。兄貴も、あのバカニキですら顔がいい。そして俺もイケメン。やはり異世界って感じだな。
「大丈夫だよ兄貴!それにほら、もうすぐ学校が始まるだろ?俺すげぇ楽しみなんだ!」
そう、なんとこの世界には魔法学院があるのだ!!!
そして来月から俺はそこの生徒となる。
つまり...?
「(美少女と学園生活が送れるってことだろいやっほー!!!!)」
このおかげでクソみたいな家庭環境にも耐えていけるのだ。
やっぱ異世界って最高!!この世界最高!!!!
「お前には学校に行く資格などない!!
さっさと家を出て行け!!!!」
前言撤回。この世界最悪だわ