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3-29 悪役令嬢の闇落ち

アナスタシアが敵を虐殺する回。

だいぶ酷い展開なのでご注意ください。

森の中に突如現れる巨大な城砦。

だが、その正門が向かう先に道はない。


土砂崩れや河川の氾濫で地形そのものが変わってしまったのだ。

砦の先の地形そのものが敵の侵攻を拒絶する天然の防壁と化していた。


放棄された城砦に集まっているのはウダツが上がらない貴族や家督を継げない次男や三男だ。




アナスタシアは広場の様に広い屋上にいた。

そこには美しい女性が椅子の上に寝そべる様にして座っていた。

膝掛けをかけ椅子に身を委ねる姿は老人の様でもあったが40前後だろうか。

若くはないがとても美しい人だった。


そして銀色の髪に翠色の瞳。亡帝国の皇帝の一族に見られたと言う珍しい特徴だ。

瞳の色以外はアナスタシアに雰囲気がよく似たその人は逃げられない様に手足の自由を奪われ、たまにここでこうしている意外に自由はないのだと言う。


アナスタシアの中で、何かがふつふつと湧き上がった。



その女性、ソフィアと話しているとドヤドヤと騎士風の服に身を包み帯剣した男たちが屋上に出てくる。アナスタシアが登ってきた階段と、屋上の左右の端にある階段の三箇所から同時に現れ瞬く間にアナスタシアを取り囲んだ。


「仲間はどこだ」

男たちの1人がアナスタシアに剣を向ける。


「仲間?」

アナスタシアは1人で来た。仲間など連れてはいない。


「貴様を逃した仲間が居るだろうが」

男たちが騒ぎ出した。


「ああ、あの無能どもなら私が倒したよ。まさかあそこまで弱いとは思わなくて少しやり過ぎたがな」

アナスタシアが冷めた声で言い放つ。

「ふざけるな、屈強な騎士3人がお前の様な小娘に倒せるわけがあるか」

さらに騒がしくなる。


「騎士? 騎士だと? なんの理念も正義もないチンピラが、騎士を名乗るか」


「な、なめるな、我々は帝国の意思を…」

「髪の色なんかに踊らされ権力に群がるハエが、舐めるなっ!!」


「き、貴様、大人しく言う事を聞く様ならと思ったがもう許さん!!」

「それはこちらのセリフだ」

どこかから取り出した短剣を抜くアナスタシア。

「ガキが、そんなおもちゃで何ができると言うのだ」

笑いながら剣を振りかざす。


「こんなのはどうだ」

短剣の先に魔法陣が描かれ、男の剣が燃え上がる。

「う、うわああああ」

ドロドロに溶けた金属が手にかかり燃え上がる。

消そうとする左手も火傷でボロボロになっていく。


激痛に立っていることも出来ないはずだが倒れることはなかった。

男の、いや、男たちの膝から下が凍結して地面に固定されているのだ。


屋上に集まった男たちが苦痛と恐怖で喚き出す。


「うるさいうるさいうるさい」

半狂乱のアナスタシアが短剣を掲げると魔法陣が構築されていく。

その場で新しい魔法を組み上げているのだ。


「お前ら全員、ち○こ捥げてしまえっ!!」




項垂れるアナスタシア。


左手で顔を抑える。


「気持ち悪い」


無数の光が魔法陣を描き出す。


「気持ち悪い」


アナスタシアを光の魔法陣が囲む。


「もういい」


ドレスの黒が浮き上がり灰の様に舞い上がる。


「こんな、こんな世界」


世界が傾いて見える。


「こんな世界は」


膨大なエネルギーが凝縮されていく。


この国、この大陸どころか、この世界そのものを消滅させるほどの巨大な力。


「まだ、足りない」


アナスタシアの衣服が全て純白に染まり、光の粒子が舞い散る。


「何かが」


どこかで破壊音が聞こえた。


「もっと、もっと力を…」


誰かが呼んでいる。


「全部…、全部!! 消えてしま…」



「しっかりしろ、アナスタシア=フォン=バーンシュタイン!!」



目の前に地面が迫っていた。

垂れた自分の髪が地面を這っている。


「あれ?」


エミリアが腰に手を回し、左手で腕を持って支えてくれている。

放っておいたら顔から地面に突っ込むところだった様だ。


「あの…」

「迎えにきたわ。帰りましょう」

「私…」


ズボンを血に染めた男たちが無数に転がっている。


「大丈夫」

エミリアがアナスタシアを抱きしめる。

「大丈夫よ。闇落ちした仲間を助けるのもヒロインの仕事でしょ?」

「え?」

思わずエミリアの顔を見ると、困り顔で微笑んでいる。

泣きそうになってエミリアの胸に顔を埋め抱きつく。


「私は弱いなぁ。弱くてちっぽけだ…」

「当たり前でしょ。貴方が本当は神様だろうと精霊だろうと、今ここでは12歳の女の子なのだから」

「…そうだね。そうだった」


いつの間にかラダやマーガレットまで来て、背中をさすったり髪を撫でたりしてくれていた。

少し落ち着いて周りを見ると、アーニャがエミリアに抱きついているのを微妙な顔、と言ってもアナスタシア以外には分からないくらい微妙な違いの微妙な顔をしていたので、アーニャにも抱きついてみる。


「心配かけてごめんね」

「お嬢様の希望に沿うのも仕事ですから」


抱きつかれるのも、それはそれで違うらしい。アーニャが困っているのが分かる。


「あの、ここで見たことは出来れば…」

護衛の騎士に話しかける。

「いえ、むしろ我々はここには来ていない事にしていただけるとありがたいのですが」

逆に騎士に口止めされてしまうのだった。


結局、今日はウィリアムの件があった後、馬車で少し遠回りをして寮に帰った、と言う事になった。

ソフィアに関しては、アナスタシアの古い友人が林の中の館に送り届けてくれるらしい。

アナスタシアの広域魔法は敵と認識した対象とかではなく、全ての敵に対して発動するので、城砦に居るとか屋上に居たとか関係ありません。


これまでの旅路でアナスタシアがガチギレする様なシチュエーションは無かったと思うのでこうしたけど、前にもあったらごめんなさい(オ

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