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3-27 悪役令嬢と皇帝の一族

胸糞設定解説回です

直接的な行為などは書いていませんが、ご注意ください。

「どちらさま?」


「はじめまして。(わたくし)、アナスタシア=フォン=バーンシュタインと申します」


「私の名前はソフィア=エレノヴァ=ヴォーセンブルグよ…」




王都の外れにある使われていないはずの城砦、ここがアーニャの報告にあった場所だろうか。

アナスタシアはそんな事を考えつつ地下牢から一階へと上がって来た。


アナスタシアやエミリアにちょっかいを出してくる者たちの後ろに何者かが控えていることはすぐに分かったし、貴族の子供たちを預かる学園に複数の団体がちょっかいを出してなんの騒ぎにもならないなどという事は考え辛い。どうせなら面倒だから根こそぎ粉砕してしまおう、と言う考えのもとに敵陣へと乗り込んだわけだが、いきなり本拠地に連れて来てもらえるとは流石のアナスタシアもびっくりである。


「まあ、12歳の小娘に何ができるのか、と言うところかしらね…」


牢屋は城壁の内側に作られた階段から地下に降りるようになっているらしく、表に出るとそこは広場だった。

城砦は四角く巨大な防壁状に立てられた石積みの建物で、王城がある方向の壁と一体化した建物が大きく迫り出していた。


城壁にあたる3方の建物にも窓や階段があると思われる構造があるが、人気は感じられない。

有事には弓兵などが待機したり、攻撃したりと言った事に使われるのだろう。

今こんなところに現れるのは野生動物か弱い魔物程度だから、わざわざ見張ったりする必要は無いのかもしれない。


広場はおそらくこちらから攻撃を仕掛ける際に騎馬隊が体勢を整える為のスペースだろう。

今は広々としたスペースで剣の稽古をしているグループがいくつかある。


馬車は何台かある様だが騎馬隊を組む様な馬は居ない様だ。

馬に乗らない騎士とは。


正門と反対側の一番分厚い城壁と言うか、城、に入る。

基本的に背後から攻められない前提の構造なのだろうが、今この城砦を占拠している連中の敵は王国なので、こちら側から攻められるのではないだろうか、などという心配は無駄か。


中にいる人間を見ても、とても国相手に何かが出来そうな人材は見当たらない。

どこか他の拠点に居るのかもしれないが。


一階はエントランス兼大広間。中央奥が吹き抜けに作られた階段で屋上まで続いている様だ。

特に証拠を突きつけて法的に裁きを、などと考えているわけでは無いし、と、何気なく階段を登っていくアナスタシアだった。



屋上に出る。

広い空に目が眩む。


屋上自体も相当広く、低い鋸壁がどこまでも続いているかの様に錯覚してしまう。


そんな屋上に足を乗せるオットマン付きのロッキングチェアが置かれ、美しい1人の女性が座っていた。膝掛けをかけ病人の様に力なく座るその女性の姿に目を奪われる。


その女性は美しい銀色の髪に翠色の瞳だった。



「帝国の…」

「そう、最後の皇帝の、孫、かしらね」


アナスタシアは敵に見つからない様に認識疎外の魔法を使っていた。

だから、ソフィアはアナスタシアに害を与える人間では無いと判断できる。

だがそれ以前にソフィアがアナスタシアに何かするのは難しかった。


「手足が…」


ソフィアの足首には大きな傷を治した後があった。おそらく歩けない様にするためにアキレス腱が斬られている。同じ様に鎖骨を折られた形跡がある。腕も自由が効かないだろう。


「そう、逃げられない様に、ね。貴方は捕まってここに来たというわけでは無い様だけれども、なるべく早くここを立ち去った方が良いわ。ここの者たちはどうしようもない外道だから…」


「貴方は?」

蒼白になりながらアナスタシアが尋ねる。


「私? 私はもう良いわ。疲れてしまったし、ここで朽ち果てるのを待つわ…」

「そんな…」


「………私はね、帝国の再興と言うなのもとに戦争を始めようと言うクズ共のために、銀髪に翠色の瞳の男子を作る為の道具にされたのよ。変な薬を飲まされて、毎年の様に子供を産んだわ。でも、瞳はともかく銀色の髪の子供は生まれなかった」


「そう…、なの、ですか?…」


「それはそうよ、だって、この銀色の髪は貴方と同じ不幸な事故だから…」


「え?」


「皇帝の一族の髪が銀色だったなんて話は、もとから作り話だもの。私の知る限り、私の一族に多いのは黒髪。どうあがいたって、銀髪に翠色の瞳の子供なんて生まれるわけがないのよ」


「そんな、そんな事のために…」


「貴方にはまだ分かりにくいかも知れないけれども、それでも分かるでしょう?私の気持ち。貴方にはこんな目にあって欲しくはないのよ」


「………」


「10人以上は産んだかしらね。どうなったのかしら、私の子供たち。父親はどいつもクズだったけども、生きる権利も与えられなかったかも知れないわね。それでも、私たちと同じ様な事故が起きなくて良かったと思うしかないわね…」


「………」


言葉が見つからずあうあうと口だけを動かすアナスタシア。


その時、屋上に出る為の階段から大勢の男たちが現れた。

3つある階段全てからほぼ同時に。


アナスタシアがいなくなった事に気がついて探していたのだろう。


アナスタシアは認識疎外の魔法を解除するのだった。

私の文章がアレなのでそんなに酷い話に聞こえないかも知れないのが良いのか悪いのか(

あの人の父親がグルなのか、やたらと子供を引き取って育てたお人好しなのかは考えてないので好きな方でどうぞ(

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