3-25 悪役令嬢と休日
ここへ来て舞台設定紹介みたいな回
みんなできゃっきゃうふふしながら散策する様子を各自で想像してもらえれば(オ
アナスタシアの通う学園は王都内にある。
それは間違いないのだが、王都は広く、その全てが居住区ではない。
そして学園もまた広大で、学園の敷地内だけでもいくつもの校舎に使われている宮殿の如き建物、庭園、温室、それに学生寮と呼ばれるこれまた巨大な庭付きの建物が男女別であり、医療施設などの付随設備が立ち並び、その周りは林に囲まれている。
学生が学園内を移動する分にはさほど困らない様にレイアウトされているが、はじからはじまで通り抜けるだけでかなりの距離があり、城下の街に出ようと思うと馬車が必要となる。
もちろん、普段の生活は支障がない様になっているため、学園の敷地から出る必要はない。
「と言うわけで、やってきました城下町、です」
馬車を降りたアナスタシアがくるっと反転して宣言する。
もちろん同行者一同分かり切ったことであるが、はしゃぐアナスタシアの可愛らしさに声も出ない。
今日は休日のお出かけという事で制服では無く貴族っぽい服装だ。ぽいと言うか貴族だが。
アナスタシアは胸元は閉じているが肩が出る黒のドレス。
上半身は細い体のラインを見せているが、下はボリュームのある長いスカートが地面近くで揺れている。
「それは良いのですが、どうしてお兄様まで…」
エミリアはバラの花の様に折り重なったデザインの赤いドレスを纏っている。
腰にはいつも通り細身の剣を佩ている。
今回はアナスタシアとエミリア、マーガレット、ラダ、それにエミリアの兄のハリスの5人で城下町に来ていた。
もちろん、アーニャを初めとした侍女に護衛の騎士数名も一緒である。
アーニャを含むメイド部隊は白いパーツを外していて黒か紺のワンピースと言った服装だ。
「こんな面白そうな事、僕を仲間外れにしようなんて酷いじゃないか」
白のスーツ姿のハリスが楽しそうに答える。
「そもそも、今日みんなで出かけることをお伝えしておりませんよね」
「ふふーふ。どうしてバレてしまったんでしょうねぇ」
アナスタシアがエミリアの耳元で囁く。
「ぎゃーっす、あ、あなたでしょう、犯人は」
突然耳元に囁かれたと言うか、そもそもいつそばに寄られたのか気がつかなかったエミリアが耳を手で押さえて思わず叫んだ。
「こら、エミリア、淑女がぎゃーすは無いだろ?」
「ご、ごめんなさいお兄様」
エミリアの普段見せない姿にハリスはご満悦だ。
エミリア自身は羞恥心からその辺りに気がついていないが、アナスタシアら3人もそんな2人の様子に満足げだ。
ラダは青いドレスにショールをかけている。背が高い事もあって服自体は控えめだがかなり目立つ。
マーガレットは胸元に飾りの多い黄色いドレスを着ている。スカートは膝は隠れる長さだがみんなに比べると少し短めで腰の後ろで結ばれたリボンが可愛らしい。
「まあ、僕は護衛の騎士たちと少し離れて歩くから、女性だけで来たと思って楽しんでくれて結構だよ」
「………」
いくらハリスと言えども4人の少女を同時にエスコートするわけにもいかないし、このメンツで歩くのであれば当然最優先はアナスタシアと言う事になり、それはそれで微妙に引っかかるので何も言えないエミリアだった。
王都の城下を練り歩く。視界の先にそびえ立つ城は国王の住む王城である。
いや、住んでいるかは知らないが、政治などが行われている場である。
王都の城だから王城と言うわけでは無く、実際には王都は広く要所要所に城砦の類があるので、厳密には王都の城=王城でもなかったりはするのだが。
王城は街の中心に有るわけではなく、川沿いの高台に城が建ち、その前方に街が広がっている。
王城には城壁があるが、街の周囲を囲む様な防壁は無く、むしろ街の通りが螺旋状になっている事によって有事の際に一気に城まで攻め込めない様になっている。
逆に言うと、街を一本の大通りが貫いている、と言う作りにはなっていないので、移動は常に行ったり来たりする必要がある。城の周りにある建物が城壁の代わりという事もあって、返って城の周りには貴族の屋敷は少ない。
防壁に囲まれた屋敷も有るには有るが、多くは平民の家だったり商店だったりだ。
アナスタシアやエミリアの王都の屋敷も城の近辺ではない。
広い通りをぞろぞろと並んで歩く。
基本的には眺めるだけだが、買い物をしても基本は配送だ。自分で持ち帰ったりするのは身に着けるアクセサリーなどをそのまま着けて帰る場合くらいだ。財布を持つのも騎士や侍女で、場合によっては後払いだ。アナスタシアやエミリアはほぼ後払いだろう。
こう言った外出時の食事時間は非常に長い。お付きの者達が交代で食事をするからだ。
ゆったりとした食事を楽しんでいる間に入れ替わり立ち替わり休憩を取るのだ。と言っても、今日の5人はわがままも言わない可愛らしいご主人様方なのでお付きの者達も休憩なしでも構わない、くらいのノリだったりするが。
帰り道、馬車と待ち合わせている場所まで再び散策しながら歩く一行。
通りにも馬車が行き交うので、ラダが道の中央側を歩いたのが裏目に出てしまい、建物側を歩いていたマーガレットが路地に隠れていた男に腕を掴まれ引き込まれてしまうのだった。
休日にみんなでお出かけとか経験ないから良く分からんので、細かいところは自分で想像してください(オ




