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3-22 悪役令嬢と魔女

帰ってきた当て馬君の回(

「魔女め、ようやく見つけたぞ」


「…どちら様でしょうか?」




図書室で本を読んでいて帰宅が遅れたアナスタシアは、人通りもなくなった道を校門に向かっていた。

学園と言っても貴族が通うための施設であるため、王宮の様な豪華な作りであり、そこここに花壇だの温室だのが存在していて美しく整えられている。


生徒達が一斉にお茶会を開いても場所に困らない程度には広い庭園もある。


歩いていると、アナスタシアの行手を阻む様に1人の少年が現れた。

学園の制服ではないが、おそらくは生徒であろう。

仕立ての良さそうな服を着てはいるのだが、かなり草臥れ薄汚れていた。

元は貴族らしい整った容姿だったのだろうが、目は凹み頬が痩けている。


いったいこの格好のままどうやって学園の敷地に入り込んだのか不思議でならないアナスタシアであった。


「ふざけやがって、貴様のせいで私は全てを失ったのだ」

病的な感じで恨み言を吐き続ける。


「………」

こめかみの辺りを押さえて考え込むアナスタシア。


「どこかでお会いしましたっけ?」

チラッと目を向けて尋ねる。

ずっと見つめる様な事はしない。


「貴様が避けたせいで殿下を刺殺してしまったのだ。その上、貴様の部屋に毒を仕込んで表に出れば、どことも分からん洞穴に放り出された。全部貴様の仕業だろうが、怪しげな術を使う魔女が」

捲し立てる少年。

「えー」

感情の籠もらない声を漏らしてしまう。


「そこへ直れ、成敗してくれるわ」

剣を抜きアナスタシアに向けてくる。


「それは、第4子とは言え公爵家の娘である私を刺そうとした、と言うことですか? そして再び切ろうと?」


突然アナスタシアが威圧的な態度を取る。

この世界では王家の次に権力がある公爵家の娘を殺すと言うのは相当なことだ。ただの殺人罪では済まない。家格によっては一族郎党に罪が及ぶ。殺害を企てただけでも家が断絶するだろう。


「え? いや、それは殿下が…」

アナスタシアのあまりの迫力に狼狽出す少年。

12歳の少女が発する威圧感ではないし、少年が耐えられる様なそれではなかった。


「お亡くなりになったとは言え、王子殿下にその様な罪を着せるのはいかがかと」

冷めた目で見つめるアナスタシア。


「な、いや…」


「洞窟はよくわかりませんが、男子禁制の女子寮に忍び込んだだの毒薬をしこもうとしただの、なぜその様な事を、この様な往来で暴露したんですか?」


アナスタシアが周りをみなさいと言うジェスチャーをする。

気がつくと周りに普通に人がいて、驚いた顔でこちらをみている。


「な…」

ここに来てアナスタシアが本物の魔女であり罠にかけられた事に気がついたのだった。

少年は呆然としたまま駆けつけた衛兵に連れられていった。


エミリア達が駆け寄ってくる。


「大丈夫ですか? アナスタシア様…」

マーガレットが小動物の様に落ち着きのない様子で話しかける。

3人とも目の前で起こったことが理解できないようだ。


「大丈夫も何も、何をしに来たんですかね、あの人。そもそも誰なのかしら…」

アナスタシアが呆れ顔で呟く。


「彼は亡くなった王子殿下の友人…、いえ、側によくいらしたウィリアム ボードウェイド様?ではないですか?」

ラダが言葉の選び方に迷いながら答える。

ボードウェイド家も上級貴族なのでラダよりは上だが、王子を刺殺し逃亡したと噂されていた上に、アナスタシア暗殺未遂を自白した男をどう扱えば良いのか分からず困っている様だ。このまま刑が確定すればボードウェイド家は無くなるだろう。


「そんな方もいらっしゃったかしら、ね…」

「あのねえ…」

ことも無げに言うアナスタシアに呆れるエミリア。アナスタシアの殺害が成功していたらエミリアにも危害が及んだかもしれないわけだが、わざわざそんな話はしていない。




「ボードウェイドの倅が自ら罪を風聴して捕まったと言うのは本当か?」

窓際に立ち外を眺めていた騎士風の男が尋ねる。

「間違いない様だ」

執務室の机に向かう男が答える。


「そこまで愚かなガキだったか?」

「さあな」

「ガキ共にやらせている事は全部失敗している様だが…」

机の前に置かれたソファーに座った男達の1人が話に混ざった。


「例の銀髪の娘か。ちょうど良いではないか、その娘を招待すれば」

「しかしまだ12だ、使い道がなさすぎる…」

「まあ、構わんさ、調教できる様なら担ぎ上げても良いし、ダメならダメで考えれば良い」


ほんの半世紀ほど前まで、この大陸には巨大な帝国があった。

周辺諸国にまで進出して大陸を支配しようとした帝国を現在残っている国々で倒した。

その帝国の王族を象徴する銀色の髪を悪しき物と風聴したのは帝国の存在を忘れさせない為であった。


そして、銀髪の人形を旗印に戦争を起こし、世界を手中に収めようと目論んでいる者達が居た。




「アーニャ」

「はい、お嬢様」

「いくつか調べてもらいたいことがあるのだけれども」

「かしこまりました」

「あ、手は家の者を使って貴方はすぐに戻ってね」

「もちろんです、お嬢様」


実際にはアナスタシアの指示を待つまでもなく調査は始まっていたが、そんな事は言わずいったん出かけるアーニャだった。

なんか敵の組織とか暗躍している人とか書くの下手か

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