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3-19 悪役令嬢の剣術指南

相変わらずピンク髪のヒロインを悪役令嬢がいじる話(?

「くっくっく、私が勝ったらエミリア嬢は私のものという事でよろしいのかな?」

木剣がカチンカチンと音を立てて打ち合わされる。


「そんなわけないでしょおおおおお」




「そもそも勝負なんかしてないじゃないの!」

エミリアが声色を変えてふざけているアナスタシアに湯気が出そうなほどの勢いで食ってかかる。

「ちぇ〜っ」

「なによ、そのちぇーって言うのは」


今は、()()()剣術の時間だ。ほとんどの女子は男子の訓練や模擬戦を見ては黄色い声援を飛ばしている。サボっているのではなく、そう言う授業なのだ。女子が腰に下げている短剣は戦うためのものではなく、もしもの際、辱めを受ける前に自害するために携帯している。と言うことになっている。流石に本当に自害することが出来る者がどれだけいるかは分からないが形式的な物である。


エミリアは実家が武闘派なので、親兄弟は剣術をやっているし、家に出入りしている騎士なども居るため剣術に馴染みがある。とは言え本格的な訓練を受けているわけではなく、たまにハリスに指導を受けている程度である。


「流石に妹様は動きが違いますね」

「そうですね」

マーガレットとラダが観戦している。

観戦といっても試合をしているわけではなく、アナスタシアがアーニャ仕込みの護身術を伝授しているだけだが。


アナスタシアがエミリアをからかうのを見て黄色い声を上げる。


通常の剣の刃長が大体1mはあるのに対して、アナスタシア達が使っている木剣の刃に当たる部分の長さは30cm程である。取り回しは全然違うのでアナスタシアの方が圧倒的に有利だ。それをおいてもアナスタシアの方が戦闘能力は高いから本当はあまり関係ないが。婦女子が短剣で戦うと言う文化がないのでほとんどアーニャオリジナル武術なわけだが、動きとしては左手は腰に当て、すり足気味に移動し、相手の剣を払うように往なす。


「もっと引きつけてから弾かないと」

「分かってるけどっ」

「けど?」

「あなたのっ打ち込みはっ怖いのよっ」

カンカンカンと小気味良い音が響く。


「ふふふ、可愛いじゃないですか。もっと虐めたくなってしまいますね」

「ちょ、変態っ」


基本的に護身術なので、ほんらい攻撃技はそれほどなく、相手の攻撃を逸らす動きがメインになる。変に反撃して刺さって抜けなくなったら返って困るのだ。


「何かこう、経験値を消費して他人の経験を身に着けるとか出来ないかしら」


ぼんやりと考えるアナスタシアだった。


元の世界だと経験値によるレベルアップやスキルを取得するだけで技が使える様になったりと言った現象があった。どう言う仕組みだったのだろうか。いや、この世界には存在しないわけだからやるとしたらアナスタシアがいちから全て作ることになるのだ。どう言う仕組み、どう言うルールにするのが良いだろうか。

意外とそう言うのも全部作ってみるのも面白いかもしれないと思い始めるアナスタシアだった。



「あの、ところで、貴方の剣の事なのですが…」

エミリアとアナスタシアは休憩して、今はマーガレットとラダが剣を交えている。

2人は基礎も何もないし、体力もないので、むしろ相手を打たないことだけ気をつけて振り回しているので、見た感じはアナスタシア達よりもアグレッシブに見える。本人達も武術とか護身術と言うよりは演劇のノリである。


とは言え、マーガレットに至っては剣を振り回そうとしただけですっぽ抜けて木剣が飛んでいくありさまだったので、そう考えれば随分と様になったものである。


閑話休題。


「ん? 魔法の剣に興味がおありですか?」

アナスタシアがふにゃっと笑う。


「興味と言うか…。私のこの剣なんだけど、抜かないんじゃなくて抜けないのよ。ここだけの話…」

腰に佩いたレイピアの様に細い剣を示す。

「実は、これも魔法の剣だと、そう言われて…」


「ははーん。なるほどなるほど」

「何か、分かる?」

からかい気味のアナスタシアの言葉を真剣な顔で待つエミリア。


「………これは、抜けないと思いますよ。そもそも」

アナスタシアは軽く見つめるだけで触りもせずに答えを返した。

「え?」

「ヒントを上げると機能がパスワードでロックされているので、使うためには何か呪文か合言葉が必要なはず…」

「合言葉?」

特に心当たりはない様子。


「オープンセサミー…」

「ん?」

「ダメみたい」

「そりゃそうでしょう。何よオープンセサミーって…」

アナスタシアはその剣について大体の予測ができていたが、エミリアに伝えるつもりはなかった。

その方が、面白そうなので。


その方が面白そうなので。


「まあ、とりあえず、そんな感じですよ」

ふふふと笑うアナスタシア。

「貴方は…」

いったい何者なのと聞こうとして止める。本当に聞いてしまったら後戻りできない気がしたから。

間に兄であるハリスが入ったことでおかしな関係になってしまったがアナスタシアのことはとても気になる。

気になるからこそ、本当のことを知るのが怖いのだった。


エミリアにもアナスタシアに話していないことがいくつかあるし、それら全てがお互いの知る事となった時、2人の関係がどうなるのか、エミリアには想像もできないから。


なんか意味ありげにいろいろ振ってるけど、そんなに意味ないです(

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