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3-18 悪役令嬢とお茶会

お嬢様学園の日常的な(嘘

「そんな事があったのですか。罪な女ですね」


「貴方もですよ、ラダ」


「え?私がどうかしましたか?」



午後のお茶会。

貴族の学校なので課外活動のような物である。


本来関係者以外立ち入り禁止のエリアだが、何故かアーニャが給仕をしている。アーニャは侍女の仕事のついででメイドもしているような仕事の速さなので、チャンスがあればアナスタシアの世話をしようと狙っているのだ。


もちろん、学園側としては止めたいところだが、雇い主はアナスタシアの父親であり、公爵家、上級貴族である。まあ、実際にはアーニャが独自にやっているだけなので、家は関係ないのだが。


「貴方は現状では男子と同じくらいの身長があるので、なかなか踏み切れない人も多いようですが、卒業が近づいてそんな事を言っていられない生徒が出て来たらそんなのんびりはしていられなくなりますよ」

アナスタシアがちょっと眉間にシワを寄せている。


「そ、そんな事はないと思うのですが…」

ラダが狼狽ている。


ラダは12歳現在で男子並みの身長があり、大人びた外観にストレートのロングヘア、トドメにメガネと12〜14歳のお子様が手を出すにはハードルが高いお姉さんキャラだ。読書が趣味なので見た目だけでなく知識も豊富だ。

さすがに17〜18歳にもなれば逆転するだろうが学園に居られるのは14〜15歳までだ。


「やっぱり四六時中私のそばに居るのがいけないのかしら」

アナスタシアが頬に手を当てて困った素振りをする。


「いえ、私たちはアナスタシア様のそばに控えるために学園に通っていますし…」

「と言うかたぶん、学力にしろ所作にしろ、アナスタシア様と一緒に居るから身に付いたと言う面が大きいと思うので、離れろと言われても困ります」

「なによりアナスタシア様と一緒に居たいです」

ラダもマーガレットもアナスタシアと一緒にいるマイナスを否定する。

後ろに立っているアーニャも満足げな顔をしている。いや、顔には出ていないが。


「いちおう、いざと言う時に困らないように周りに目を向けておいて頂戴ね?」

「「はい」」

アナスタシアも仕方ないわねと話をまとめる。



「エミリア マイトロベル様モテモテ事件の方はどうなったのでしょうか」

その場に居なかったラダが尋ねる。

「何よそのモテモテ事件って…」

当人がめんどくさそうに文句を言う。


そう、今回のお茶会にはエミリアも参加しているのだった。


「一応、言い寄って来た子たちは私のマジックで脅かしたら逃げて行ったけども…」


あの日、アナスタシアが魔法で作り出した光の剣がその実力を発揮する事はなかった。

エミリアが一振りしただけで、絡んできた連中は立ち去ってしまったのだ。

アナスタシアは知らなかったが、この国では光の剣と言うのが伝説としてあるのだ。

本物かどうかは分からないにしろ、それを確認すると言う事は死を意味する。と言う事らしい。


「彼らはマイトロベル家がどうとか言っていたけれども、それならばハリス様も絡まれているのかしら? そんな様子は見受けられなかったけれども」

アナスタシアがハリスの名を出した瞬間エミリアが眉を顰めたが、話の流れ的に名前を呼ぶしかないかと心を落ち着ける。だがアナスタシアがハリスを名前で呼ぶのはエミリアの前だけである。ハリスのことを言っているのかエミリアのことを言っているか分かりにくくなるからではなく、エミリアをからかっているのだ。


「お兄様に喧嘩を売って生きて帰れる人間なんて居ないもの…」

エミリアがちょっと自慢げに呟く。


「そんなにお強いのですか?」

「失礼ですけど、そんな風には見えませんね。隠しているのでしょうか」

「と言うか、素人には分からない次元の強さみたいですね」


ハリスは、外見的には普通の少年なので、本当にそこまで強いのであればパワー系ではなく技術系の剣士か何かなのだろう。この世界に魔法を使えるのはおそらくアナスタシアとドラゴンくらいのものだし、スキルや特殊能力が使えるギフト持ちなんかも存在しないのだ。


アナスタシアが知る限り。


「それで腹いせに妹様を攻撃していると言うのですか。卑怯な」

マーガレットやラダが憤慨する。


「と言うよりも、それを口実に妹様を亡き者にしたい勢力が存在するのかもしれませんね」

「妹様の出生に秘密が?!」

「?!」

アナスタシアの爆弾発言にマーガレットとラダが真相に迫る発言をしてエミリアが驚愕する。


「流石にお二人とも早いですわね。もちろん私も読みましたが」


「???」


「あら、妹様は小説はお読みになりませんの? 面白いですわよ」

「他人の人生をネタにしないでくださいます?」

「お茶会ってだいたいこんな感じだと聞いているのですが…」

「まあ、そうかもしれないけど…。と言うか、その妹様って言うのはなんなの」

「ハリス様とどちらの話か分かりにくくなるからですけども、それともエミリアと呼んでも良いのかな?」

アナスタシアが色っぽい顔で囁く。


「な、なんでいきなり呼び捨てなのよ」

「ああ、エミリア、()()が男だったら君を1人にはさせないのに」


「私で遊ぶのは止めて!!」


ほのぼのとしてますが、そのうち殺伐としたりするかもしれません(かも?

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