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3-13 悪役令嬢と王子様

子供達が冒険に出る回

「ごめんなさい。たぶん私のせい…」

エミリアが申し訳なさそうに小声で謝って来た。

「なぜです?」

「小さな頃に婚約の申し出を断ったことがあるのよ、王子からの」

「それなら私もそんなに変わらないので気にしないでください。何度も交際を断ってますので」

「………」




「申し訳ありませんが、殿下との交流に関しましては両家を通して頂けませんでしょうか」


なぜか王子に気に入られ事あるごとに声をかけられるが、迂闊な対応をすると面倒になるのが目に見えているため対応を崩さないアナスタシアだった。


「まあまあ、今は学生同士なのだから、そんなに難しく考えなくても良いではないか」

どう言うわけかしつこく付き纏う王子にアナスタシアは王族対応の作り笑顔のまま膝の屈伸だけで相槌を入れる。


王子の見た目は悪くないが、少なくともアナスタシアの中身は14歳をだいぶ超えているので、今更12歳の少年にときめいたりはしないのだ。この世界の王族と言うものにも魅力を感じないし。


さらに言うとアナスタシアの外観が亡国の皇帝一族のそれと似通っているため横槍が入るのは間違いなかった。おそらく王子も周りからなんやかや言われているはずである。

そうなると考えられるのは何か良からぬ事を画策しているか、遊びであろう。そんな事にいちいち付き合う義理はないのだ。


お付きの者、と言っても同じ学生だが、に連れられて王子が離れていくと、物陰からマーガレットとラダが現れた。

ある意味、見事な物である。


「相変わらず素晴らしい対応ですわ、アナスタシア様」

ラダが感嘆する。

「そうかしら」

「もし私がアナスタシア様の立場だったら泣いていたかもしれませんわ」

マーガレットも王子が立ち去った方向を見つめながら呟いた。




そんな事が続くある日、男子数人が学園の周辺に現れる魔物を退治すると言う。

そこに何故かアナスタシアやエミリアの姿があった。

観客として無理やり参加させられたのだ。


王都は割と無人のエリアが多く、森や林も少なくはないのだが、学園もかなり広い敷地の林の中に存在していた。基本的に人の手が入っているので下草も多くはないし、木と木の間隔も余裕がありそれほど暗くもない。

魔物の討伐と言うよりは子供の遠足という表現が良く合っている。


「やあ、お嬢さん方、今日は我々の雄志をとくとご覧あれ」

そこに王子の姿もあった。


明らかに何か目論んでいるとしか思えなかったが、毎回邪険にするわけにも行かず、参加する運びとなったわけだ。


表向きは子供らが魔物退治をすると言う体を成しているが、さすがにそんな事が許されるはずもなく、遠巻きに騎士などの護衛が付いているのは明らかだった。


「ご苦労なことね…」


全員基本的には学生服のままだが、男子は普段帯剣している者でも普段よりも実戦的と思える剣を佩ている。

中には革鎧のような物を身に付けている者もいる。

エミリアは普段の服装、アナスタシアは上着の代わりに丈の短い白いマント風の物を羽織っていた。


「君も苦労するね」

エドワード王子の取り巻きの1人ウィリアムが話しかけて来た。

金髪の整った顔をした少年だが、アナスタシアの感想は綺麗な子供。


「何の事でしょうか」

「その髪の色のせいで色々と言われているのでしょう?」

「まあ、銀髪を悪の象徴にしようと目論んでいる人たちが居るのは事実ですわね。ふふふ」

楽しげに笑うアナスタシアの反応に暗い感情を見え隠れさせるウィリアム。

「どちらかと言えば父の方が腹に据えかねているようですので、その手の話にはお気をつけくださいまし」

全く笑っていない笑顔で追い払う。


「気をつけて、あいつも時々貴方の事を嫌らしい目で観察いているわよ」

ウィリアムと入れ替えでアナスタシアの横にきたエミリアが耳打ちする。

「貴方ほどではないのでご心配なく」

「私? 私がどうしたの?」

エミリアは兄のことしか興味がないので知らぬ間に男どもから恨みを買ってそうだなと呆れるアナスタシアだった。実際今回の遠征の参加者もほとんどがエミリア狙いのはずだ。


しばらく進んでも魔物らしきものは現れなかった。

当然と言えば当然である。王子を筆頭に上級貴族の子息が林に入ると分かっていて魔物を野放しにするはずもない。


「と、とりあえず、魔物とやらは居なかったみたいね」

ちょっとほっとした様子のエミリアが呟くと王子が反応した。


「心配ない。ちゃんと魔物の巣に向かっているよ」


たぶんその心配はしていない。


「魔物の巣、ね」


それはおそらくアナスタシアが子供の頃に設置したダンジョンの事であろう。

いまでも少しずつアップデートを繰り返しているが。


入り口付近はどこも基本的に洞窟に偽装しているため、奥まで侵入しなければ「巣」と言う認識になるのだろう。

もともと安全のために設置した施設であるため、基本的には関係ない人間が間違って迷い込んだりはしないようにいくつかの対策が施されているが、今回のメンバーであれば問題なく入れてしまうだろう。


特に止める気もないアナスタシアだった。

アナスタシアに粘着する王子様を描こうと思ったんだけど、そう言う人嫌いなので上手く書けなかった。

王子は変態です。

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