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3-10 悪役令嬢と疑惑の数々

キャラクター紹介回、になるのかな。

マーガレットとラダが一冊づつ本の表紙をアナスタシアに向けている。

マーガレットは小柄でリスみたいなイメージの少女。カールしたオレンジっぽい髪を後ろで編み込んでいる。ほとんど本の後ろに隠れている様な感じだ。

ラダはメガネをかけた長身の少女。アナスタシアよりわずかに背が高いアーニャよりもさらに少し高いくらいだろうか。ストレートヘアに髪飾りを付けている。


「もちろん両方とも読みましてよ」


アナスタシアの答えに2人の表情がパッと明るくなった。2人が持っている本は悪役令嬢が婚約破棄されたり追放されたりしつつも幸せになる物語だ。2人とも最初の印象は大人しめに思えたが、趣味に関しては別の様だ。


「婚約はしていないので、破棄されることは当面ないのですけども」

「どなたか婚約してる方はいらしたかしら」

「王族の方は幼少の頃に決めてしまうと聞きましたけど、第1王子に婚約者はいらっしゃらなかった様な」

「変な噂をしていると思われたら危ないですし、あまりそう言った方の名前を出すのは止めた方が良いですね」


「見つけましたよ、アナスタシア=フォン=バーンシュタイン!!」


「「「ぎゃーっ!!」」」


「な、何、なんなの?!」

エミリアが現れた。


王族や上級貴族の噂話などを咎められると不敬罪などもあり得るのだ。本当に噂話をしていた事をどうこうしようと言う相手であった場合こんな風に声をかけたりはしないはずだが、そんな理屈は関係なく驚いたのである。


「図書室ではお静かに」

司書に怒られた。


マーガレットとラダはたまたま2人とも物語を読むのが好きで、アナスタシアと共に図書室に来ていたのだった。

2人は主に小説だが、アナスタシアは基本的になんでも読むので小説も読んでいた。


小説に関してはアーニャの私物もかなり読んでいるのは秘密である。アーニャの私室には、おそらくアーニャ的にアナスタシアに知られたくなさそうな本が結構置いてあった。楽しみながら本を読むときは別にして、アナスタシアは1冊数十秒程度で本を読むことが出来るので、アーニャが本邸などに行っている間にこっそり拝見していた。



「あなたについての噂の真偽が知りたいの」

図書室で会話するわけにもいかないので、カフェスペースに移動してきた。

こことて騒げば怒られるわけだが、普通の会話は許されている。


「と言うか、図書室でなんの話をしてらしたの、貴方方…」

「いえ、私たち3人とも婚約者が居ないのでどうしたものかと言う…」

「卒業までに相手の目星を付けろとか無茶ですよね」

「ええ、だいたいそんな感じです」

アナスタシアたち3人はほほほと笑いながら誤魔化す。

エミリアも似た様な事を言われているのか、信じてくれた様だ。


「…。そうなの…、まあ良いわ。私が聞きたいのはバーンシュタイン嬢が入試で不正を行っているけれども、実は旧帝国の落とし子で、帝国の象徴であるドラゴンの加護を受けているから誰も手出しできない、と言う噂が真実かどうか、です」


「随分と乱暴な噂になっているのね。まあ、半分は本当ですけども」

「「「え?」」」

2人は楽しそうに、エミリアは神妙な顔で驚いた。


「入試の結果に関しては帝国云々は関係ありませんが、お父様にお願いして改竄させたので、あながち嘘ではないのですけれど、それを知ってどうなさいます?」

目を細めニンマリしながら問いかけるアナスタシア。


試験結果を改竄することが不正と言うなら間違いなくアナスタシアは不正を行っているのだが、ぶっちゃけた話、たかだか12歳の学力などアナスタシアからしたら相当レベルが低い内容なので、本来の結果は全て満点だったのだが、首席入学者は生徒会に入ることになるなどの特典を受けるかどうか迷った挙句、今回は一般生徒として学生生活を送ろうと考えた結果、無難に3位にあたる点数へと改竄してもらったのである。


アナスタシア自身は順位など気にしていないので、わざと間違えても問題なかったのだが、一応親の顔を立てた形だ。


「あ、え、あの、帝国とは関係ないんですか?」

エミリアの歯切れが悪い。

どうやら聞きたかったのは不正がどうこうではなかった様だ。

正義感の強い主人公タイプではないのか。


「この髪は銀髪ではなくて、色の抜けた金髪ですのよ」

亡帝国の皇帝一族が銀髪だったと言う伝説があるのだ。

「え? そんなこと、ある、のですか?」

「突然変異、とでも言うのでしょうか。色素が上手く作れない体質らしいですわ。だから瞳も灰色なの」

「………それでは」


「エミリア、こんなところに居たのか」

「おぎゃーーーーっ」

「おぎゃあってなんだい?」

「お、お兄様、どうしてここに」

「どうしても何も、一緒に帰ろうと言ったのはお前じゃないか」

黒髪の優しげな少年がエミリアを迎えにきた。

エミリアは真っ赤になってあたふたしている。


 (((おやおやー?)))


「おや、もしかしてエミリアのお友達ですか? 私は兄のハリス マイトロベル。お見知り置きを」


3人は無難に挨拶を返したが、ハリスは慌てたエミリアによって連れ去られてしまうのだった。


 (((あらあらー)))


この時代でも本は貴重品というかそんなに売り買いされている物でもない気がしますが、幼少期より6年とか経っているので、物流とか変わってるんじゃないですかね(適当

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