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3-2 魔法少女はじめました

流血とかあるので、苦手な人はごめんなさい

「書くものと書かれるものが欲しいのだけど」


昼寝から目覚めるとアナスタシアはアーニャに筆記具を求めた。

この世界にはペンや筆、鉛筆っぽい物もある。

紙や羊皮紙などもちゃんとある。


アナスタシアにはどれがどの程度貴重なのかなどの、この世界の常識がないので、先ほどのような言い方になったのだった。


「どう言った事に使われる予定ですか?」

話しながらアナスタシアの脇に跪いて服を着替えさせるアーニャ。


「魔法の契約をしたり、魔法陣を書いたりするの」

「さようですか」

変な事を言ったはずなのに反応が薄い。


「出来れば羊皮紙とペン、あと、地面に直接描けるようなチョークのような物も有れば良いのだけれども、まだ私の知識通りに魔法が使えるかも分からないから、手に入りやすい物でも構わないと思うの」

「お急ぎですか?」

アナスタシアの身支度が終わり立ち上がりながら訪ねてくる。

急ぎだと言えば今すぐにでも持ってきてくれるのだろう。


「そんなにすぐではなくても構わないわ」

「では、後ほど確認して、取り寄せますね」

いつもここにはアーニャしかおらず、連絡役などが居る様子もないがどうしてか物が入ってくる。

アーニャ自身が運んでいるのだろうか。

「お願いするわ」


アナスタシアは本邸に行った事がないので、そもそもこの家の経済状況とかも分からないが、それほど難しい要求ではないのだろうか。


本邸に行った事がないどころか、この建物から出た事がないので、この家の規模を知らないと言うのが正解か。窓から見える林の外は見えない。どうやらこの林自体が彼女の家の持ち物らしいので、それなりの資産はあるのだろうか。


この林の中に建てられた別館も、小降りとは言え屋敷と言って良さそうな規模はある。

普段アナスタシアはこの部屋、と言ってもリビングと寝室とバスルームがあり、アーニャが寝泊りやちょっとした作業を行う部屋も付いている、から出ることはないが、ここは2階であり上にも何かありそうな感じではある。


そもそもここが領地なのか王都にある敷地なのかも分からないし、本邸に居るとされている家族が何人居るのかも良く知らなかった。特に相続の話などが出ないところを見ると、男子数名、アナスタシア以外にも女子がいて、その子らは金髪に碧眼なのだろうと予想はつくが。


アーニャは毎朝アナスタシアを起こすと朝食を食べさせその場その場でマナーを躾け、教養を身に付けさせ、昼食、午後のお茶、夕食、その間に掃除や洗濯もしているらしい。むしろアーニャが魔法を使っているのではないだろうか。


「いえ、私そっくりなのが3人いるだけです」

「ええっ?!」

「うそですよ」

「えええっ!?」




「羊皮紙とペンを頂いてまいりました」

「ありがとう。って、結構あるのね」

テーブルの上に羊皮紙とペンにインク、それと紙もいくらかあった。


「最近は紙の質が良くなって羊皮紙が余っていたようなので、わりと多めに貰ってこれましたが、逆にこれを使い切った場合追加に時間がかかると思いますので、早めに注文していただけますとよろしいかと」


「なるほど、そう言う事なの」


早速羊皮紙につらつらと図形やら異国の文字やらを書き込んでいく。教育を担当しているアーニャも見た事がない文字だ。ちなみにこの国の文字は本で目にしたり物に書かれているものを教えてもらった程度で、まだ完全には覚えていない。


軽く指を握った左手を掌を上にして持ち上げ、立てた右手の親指を手首に当て、勢いよく横に滑らせる。

アナスタシアの手首がパックリと切れて血がダバダバと羊皮紙の上に滴り落ちる。

横でアーニャが見る見る青くなってダラダラと汗を流す。


「いやああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!!」


半狂乱になったアーニャが縋り付くようにアナスタシアの手首を押さえる。

「あっあっあっ」

「あ、ごめんなさい。驚かせてしまったわね」

「な、何を、なさっているんですか!」

初めてアーニャにガチギレされてちょっと反省するアナスタシア。


「最初の契約に血が一滴必要なのよ」

「一滴? 一滴の意味は分かっていますか?」

余計怒られた。


「もう大丈夫よ」

「はい?」

おそるおそる手を見ると血がなくなっている。

「え?え?え?」


「よく契約を行うときに指先を切る人いるけど、あれ、意外と痛いし、なかなか治らないから地味に辛いわよね」

「手首の方が痛いはずでは?」


最初の契約書は上手く機能したようだった。

「この世界にも私の知っている神とコネクト出来るゲートがあって、魔法が使える事が確認できたわ」

「え? あの? 魔法ですか?」

「はじめからそう言っていたでしょう?」

「そ、そうですが」

アーニャは腰が抜けたのか座り込んでしまっている。

身長差があるから、座り込んでようやくちょっと目線が低くなる程度だが。


「余計な事をしなければ、はじめから7万の魔法が使えたんだけど、全て1からやり直さないといけないのよね。まあ、それはそれで面白いかなって思って選んだんだけど」


ここに来てようやくアーニャが少し不思議そうな顔をしている気がするのだった。

もっとこう、魔法を作る、みたいな話にしたかったけど、そうはならなそう

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