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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-26 竜の谷

異世界観光回

その地には幾つかの伝説があった。

基本的にはそこで勇者とドラゴンの戦いがあったと言う物。


あまりの激闘に山が割れて谷が出来たとか、この谷にドラゴンが眠っているとか様々だ。


アナスタシアは少なくともこの谷にドラゴンが居るのではないかと考えていた。


「竜の谷と言っても一つじゃないのね」

命とアナスタシアは谷の外の高台にある街に宿を取ったため、そこの櫓に登らせてもらって上から眺めていた。

メイド2人は一段低い塀の上の足場にいて、やはり谷を眺めている。


地上から見た竜の谷は、岩壁の上に林がある谷が複雑に折り重なった地形に見える。


「山と山の間が谷になっている、と言うのとは違うようですね」

アナスタシアが命の独り言に答えた。


探索魔法で上空から見下ろしたようなマッピングを行うと、どうもそこは巨大な岩盤であった土地の中央部に()()()()()()が激突もしくは落下して出来た蜘蛛の巣状の亀裂であることが分かる。地表にあった土や木々はいくらか残っていて、残された樹木は現在の地形に合わせて幹をねじ曲げ適応している。中には現在の地形に対して普通に生えているものも見受けられることから、相当な時間が経過している事を物語っていた。


「ドラゴンが落ちた場所はここからじゃ見えそうもないですね」

アナスタシアが手すりに捕まって背伸びをしているが、奥の方は視線より高いので、その程度で向こう側を見渡せたりはしないのは試す前から一目瞭然だった。


「え? 何それ、ドラゴンが落っこちたの?」

隣に立った命が尋ねる。

何もしなくても全力で背伸びしているアナスタシアを見下ろす形になっている。


「いくつかのっ、伝説ではっ、ここでっ。勇者と戦ったドラゴンがっ、ふう、墜落してこの地形が出来たそうです」

最後の方には諦めて命の方を見上げていた。

「勇者、何者よ」

呆れ顔で谷を眺める命。


「ふふふ、あなたも勇者でしょ?」

「いや、流石にこれは…」

と言いつつ、全力を出した事がないので、自分が暴れたらこんなことになるのかと、ちょっと考える命だった。



「出来るだけ谷の中央まで行ってみたいのだけれども、上と下とどちらが良いかしら」

一旦街中に戻り、食事をしながら探索の打ち合わせをすることにした一行は、普段なら、アナスタシアと命だけで食事を取り、メイドは別なのだが、今回は4人だけと言うこともあり、一緒のテーブルを囲んでいた。


「落ちる危険を考えると下ですが、下で魔物に囲まれたら逃げ場がないですね」

最近はだいぶリョナも意見を出したりしてくれるので、アナスタシアがニンマリする。

それに気づいたリョナの視線がふわふわと泳ぐ。


「じゃあ、勇者様も居るし、下かしら」

アナスタシアは視線を命に移すついでに提案する。


「途中、どこかで上り下り出来たりしないかな」

一応、この辺りに特別強いエネミーはいない事を確認済みの命がどちらでも良いよと答える。

もしかしたらドラゴンが居るかもしれないわけだが。


「それが一番ありがたいですね」

シリアナは食べるのが忙しかったようだが相槌を入れる。


「とりあえず、一度馬で下から探索してみますか」

結局最終的には命が決めないと進まなそうだったため、方針を決めた。


「それが良いですね」

「はい」

「はい」




「本当にドラゴンが居たとして、何年ぐらい埋まってる計算になるの?」

命が心配そうに尋ねる。

「ドラゴンを実際に見た事がある人が100年単位で居ないそうなでの、下手すると数百年前ですね」

命の胸元に納まっているアナスタシアが上を向くような角度で答える。


一行は再び2頭の馬に別れて乗り、街から近い方の谷に入って行った。

そこは、探索に人が入ったりしている関係で、下も平になっているし、馬でも苦労はなかった。

同じような谷が反対側にも見えるが、少々距離が遠い。

近くには他にも亀裂のような小さく険しい谷が点在している。


「ドラゴンがどのくらい生きるのか分からないけど、さすがに埋まっているとしたら、もう生きてないか」

命が少しほっとしたように呟いた。


 ドラゴンが物を食べるか分からないですけどね


とか言わない。


だいぶ進んだ頃、谷は崩れた土砂で真っ直ぐは進めないようになっていて、その代わり、上に登れるようにスロープ状になっていた。


「地元の人が作った道でしょうか」

「どちらにしても、何もないままただ引き返すことにならなくて良かったね」

「そうですね」


上に登って見晴らしの良いところで昼食のお弁当を広げ景色を眺める。

「ここはどのあたりになるのかしら」

命が尋ねる。

「ここでまだ半分くらいですかね、目的の場所まで」

「じゃあ、今日は野宿か。例のたらいを持ってくれば良かったなぁ」

命が冗談半分に言って笑う。

実はアナスタシアが謎収納に持っているのは秘密だ。どちらにしろ、自分の魔力で起動するタイプだから使うわけにはいかないが。



アナスタシアの目的地である竜の谷の中心部は、巻き上げられた土砂で埋まったり長い年月の間に侵食したのか谷と言うほど起伏はなく、かと言って平坦ではない土地になっていた。

自分が旅行とか興味ないので楽しそうに書けた気がしない(

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