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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-20 砦跡

日常回っぽい。牛は活躍しません

「へー、こっちの世界の牛って…」

「違います!!」




王都から徒歩で10日ほどのところに古い砦の跡が残されていた。

大昔に勇者とドラゴンが戦ったと言う伝説の残る竜の谷まで後数日と言った辺りだろうか。

今日はここで夜営することにする。



王都では書庫に入り浸っていたアナスタシアは速読が使えた。

印刷技術すらない世界のアナスタシアが速読技術を持つのは何故かと言うと、そう言う世界の本というのは非常に下らない物が多いからだ。出版するための本ではない。貴族などが趣味で作った本がほとんどなのだ。


伝承や何かの研究資料などならばまだ良い、多いのは自伝や妄想なのだ。

だが、情報の少ない世界では正しい情報を類推する為にも下らないと捨てずに読む方が望ましい。

そうなると、短時間で読破し内容を読み取る技術が必要になるのだ。


「そう言えば、読んだ本の内容をまとめた本を実家に置いてきてしまったわね。人の目につかなければ良いけれども…」

まともな本がないとなると、自分で調べたことに感想なども織り交ぜた本を作ってしまうのは仕方がないことではないだろうか。しかもアナスタシアはまだ14歳である。どうしてもそう言う内容も少なくないのは仕方がないだろう…。


こちらの城の書庫で速読術を使い片っ端から本を読みまくり、ドラゴンに関する伝承を調べ上げたアナスタシアは、その中心となる竜の谷を目指すことにしたのだった。




「あら、王女様に命様、それにシリアナやリョナまで一緒に、偶然ですね」

「いやいや、それはないから」

アナスタシアのボケに命が突っ込んだ。


他の人間の動きを一番正確に把握していたのはもちろんアナスタシアである。

と言うか無事ここに集まる様に誘導もした。


「あああああああ、あ、あ、アナスタシア様、よくぞご無事で…」

リョナが涙でヘニョヘニョになっている。

「本当に」

王女が同意し、シリアナは様子を眺めて満足そうに笑っている。


「これだけ魔物が増え、強力な魔物まで徘徊し、さらに他国の兵が我が物顔でうろうろしていると言うのに、いったいどうやって…」

護衛の騎士たちも不思議がっていた。

追跡部隊の人間などは、ここにアナスタシアが居ることの方が信じられないと言う様子だった。


女王に勇者 命、メイド2人、女王の護衛騎士6名、メイドと共に王女を追ってきた騎士4名、それに、アナスタシアを追跡していた部隊8名、計22名。いや、アナスタシアも入れて23名になった。


使われなくなって久しい砦とは言え、調理場などはある程度使える状態だったこともあり、シリアナが簡単な料理を披露した。南の森に行った時もそうだったのだが、何気にシリアナは料理が出来るのだ。



「それで結局のところ、みなさんどうなさいました?」

食事を終え、のんびりしていたアナスタシアが切り出した。


「実は…、王都が落ちました」

メイド2人と共に来た騎士が報告する。

「ええっ?!」

アナスタシアよりも王女が驚く。

そばに居た騎士たちも、声は出さないが驚きを隠せない。


「殿下が出発してすぐ、城壁の一部が破られてあっという間に…」


「お、お父様は?」

「それが、我々が確認した時には王家の方々も、城にいたはずの貴族の方々も姿はなく…」

「そ、そうですか」


「アナスタシア様が残してくれた品々のおかげでなんとか生き延びたわけで…」

「もうしわけありません」

アナスタシアへの感謝と王女への謝罪で鎧を着た屈強な男たちが頭を下げる。

小さな娘たちとの対比で異様な光景である。


「報告が遅れて申し訳ありません」

騎士の1人がさらに謝る。

「いえ、言いにくかったのは分かります…」

王女は考え考え話を進める。

「今慌てて戻ったところで返って良くないでしょうか…」

「おそらく…」


重苦しい雰囲気にアナスタシアが一息つこうと提案した。



「ああ…」

王女が椅子に腰掛けて放心している。

体からは微かに湯気が出ていた。


部屋の隅に発生していた結界が解かれ、中から命が出てくる。

「うひょー、久しぶりにすっきりしたわ」


床には たらいと脱いだ服を入れるための防水の箱が残されている。

「すみません、魔石の在庫があまりないので、騎士の方々は…」

「い、いえ、お気になさらず…」


アナスタシアが作った魔道具、シャワーたらい改だ。

結界は目隠し程度、湯温湯量の調整は無し、一応、風魔法で水気を払う機能は残した。


魔石と言うのは魔物の体内に出来る、魔力の塊の様な物である。

それを使うことで、本人は魔法を使わず、魔法による効果を受けることが出来るわけだ。

この場合は たらいに取り付ける様になっている。

アナスタシアが持っていてもおかしくない事になっている魔石では流石に全員は無理なのだ。


騎士たちの大半は広間や建物の外に出ているが、万が一に備えて2名ほど残っている。



「貴方たちも汗を流して」

アナスタシアが2人のメイドに勧める。

「いえ、私たちは大丈夫ですので」

「えー、でも汗臭いよー」

「…」


などとふざけていると広間の方から何かが破壊される音が鳴り響く。

命と騎士が広間の方に急ぐ。


そこには壁を破壊して乱入した巨大なメイスを手にした牛頭の大男が立っていた。

騎士が報告するタイミングが変ですけど、まあ、本当は言うつもりがなかったとかそんな感じで(オ

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