2-14 栄養剤
前回から続くお話です。
何気なく渡した栄養剤が実は…
「こんにちは。昨日聞いていけば良かったんだけど、一時的に出ることって出来ますか?」
「ああ、薬師の子か。素材採集かい?」
「はい」
街の入り口の窓口で、門番と言うか係のおじさんに話しかけた。
「短時間の外出なら大丈夫だけど、この辺は魔物が出るぞ。1人で大丈夫か?」
「私は忍術が使えるので」
「忍術?」
「どんなに目の良い魔物だろうと、どんなに鼻の良い魔物だろうと、私に気づく事は出来ません」
実際には魔法である。
「そんなのがあるのか。いや、来る時も1人だったな」
「はい」
「ああ、ちょうど良かった、お嬢ちゃんちょっと良いか?」
出ようとしたら昨日ポーションを換金してきてくれた人に呼び止められた。
「単刀直入に聞くが、昨日の栄養剤はなんなんだ?」
奥の部屋を借りて2人きりになった。
女の子がおっさんと2人きりはあまり良くない気もするが、この際だから仕方がない。
まあ、アナスタシア側は困ることも、何かされる心配もないわけだが。スキル的なアレで。
「何か副作用とかありました? あ、元気になり過ぎて、とか」
「あのな…、いや、そうとも言えるか」
「なんですか?」
「しばらく寝たきりだった妻が、一晩で元気になった」
嬉しい様な心配な様な顔で答えた。
「ええっ?! 奥さんいるんです?」
「そこかよ」
「えー、でも、あれは本に書いてあった通りに調合しただけだし…」
本を見て作った。
本。
お城の書庫の本。
本があったのは禁書庫…。
「あ」
「なんだ?」
「すみません、アレの事は内密にしてもらえますか?」
「いや、あまりの効き目にびっくりして妻にも家で待機して貰っているが」
「あれ、とある貴族の秘伝の薬かもしれません」
王家だが。
「やっぱ、バレたら2人ともヤバイ系か?」
「はい」
「…」
「すーみーまーせーん」
「いや、おかげで妻が元気になったから、感謝する事はあっても怒る気はないんだが…」
「しばらくはこの街に滞在するつもりなので、もしまた体調を崩されるようなことがあったら教えてください。私に出来る限りのことはさせていただきますので」
「ありがたいが、やはり何かあったりするのか? 効き目が切れたらまた倒れるとか…」
不安そうな顔だ。実際変な物を大事な人に飲ませてしまったのだから辛いだろう。
「いえ、物自体はかなり良い物のはずなので、大丈夫だとは思いますが…」
「そうか。いや、そうだな。今慌ててもどうにもならんか」
「何もなくとも2〜3日したら会わせて貰っても良いですか?」
「ああ。明後日は夕方上がりだから、その後で良ければ」
「はい。じゃあ、明後日の夕方にまた。その前でも気になる事があるようなら言ってください」
「ああ、よろしく頼む」
アクシデントもあったが予定通り街の外に出た。街から出てしばらく行ったところで認識疎外魔法のパラメータのバックアップを取り、フルに認識疎外をかける。これで人は疎か魔物にすら気づかれる事はない。もはや探索魔法ですら見つけ出す事は不可能だろう。
アナスタシアは探索魔法も駆使して素材を集め、小一時間ほどで街へと戻った。
当然、街から見える範囲に着く頃には認識疎外を元のレベルに戻した。
翌日は適当な空き地でポーション作りをした。
そもそも認識されないので能力をフルに使って簡単に作成した。
高速多重詠唱によって、数人で3日はかかる儀式が30秒だ。
むしろ所要時間は場所を見つけて道具を広げるのにかかった時間で考えるべきかもしれない。
約束の時間に門のところで待っていると、妙に艶々している割に疲れた様子の門番が出てきた。
「やあ、待たせてすまないね」
「いえ、えと、大丈夫ですか?」
「ん? ああ、ちゃんと仕事は終わりだよ」
「…とりあえず、案内して貰って良いですか?」
家に着くと、年相応ではあるが若々しく力が漲っている奥さんに出迎えられた。
とても数日前まで寝込んでいたとは思えない。
「一応、身体をミせて貰っても良いですか?」
「え?身体ですか?」
「いや、診察的な」
「あはは。そうですよね」
「一応、旦那さんは出てて貰って良いですか?」
「え、あ、ああ。わかった」
「さて、と」
「どうですか?」
「薬自体はもうだいぶ前に抜けきってますね」
「え? でも3日くらいしか経ってないけど」
「ですから、飲んだ時点でほぼ薬効は使い切っているので、奥さんの現在の状態は少なくとも薬のせいではなさそうです」
「それは…」
「あとで、薬が切れたからって、また逆戻りとかは無さそうって事です」
「ほんとですか? 良かった」
最初の印象は何も気にしていない感じだったが、明らかにほっとした表情だった。
やはり急激に元気になるのもそれはそれで相当不安だった様だ。
「ところで奥さんはへそくりとかしてますか?」
「え? やはり相当高価な薬だったんでしょうか」
「いえ、迷惑料というか、口止めと言うか、で、こちらの男性用栄養剤をお手頃価格で…」
「買わせていただきます」
有り金全部払うと言い出す奥さんに、これからお金が必要になるはずだからと半額にまけて帰ってきた。上級ポーションを売ったお金だけでもだいぶ余裕があるので、そこまでお金には困ってないし。
その後、夫婦は6人の子供を儲け幸せに暮らしましたとさ…。
アナスタシアは14歳なのにアレなネタも割と行けるのは、この世界の成人が15歳なので、現実世界でいうところの17〜18歳くらいである事と、いろいろこの肉体と関係ない人生があるので精神年齢はおばさんでありつつ子供だったりします。複雑(オ




