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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-10 新しい魔法を作ろう

お風呂計画の続きです。

「お風呂でお湯を使い放題になる魔法とか作れないかな」


そんな相談をされたのはいつの事だったか。

空中から雨の様にお湯が出てくると言うのは実際便利な気もする。


アナスタシアにとっての魔法とは神との契約に他ならない。

つまり、新しい魔法を作ると言うことは、魔法の仕様書を神に提出し、受領されれば完成である。


今回であれば、こんな呪文を唱えたらお湯が出る様にして欲しい。

お湯の量はこうして設定、温度の調節はこう、と言う様にお願いするわけだ。


そんな事が出来る事を他人に知られるのはあまりよろしくない気がするのでやらないが。


元の世界でもそうだったが、普通の人間は過去誰かが作った魔法技術を受け継いでいるに過ぎず、なぜ魔法がその様な効果をもたらすかすら知らない人間の方が多いのである。



「何か普通の方法で実現できないかしらね」

「何を実現しますの?」

王女様だ。

ここは王城の書庫。


結局勇者一行はしばらく南の森を探索したあと、城内の屋敷に戻ってきていた。

予想通り、わざわざ勇者が倒さねば手に負えない様な強力なエネミーは存在せず、しかも、謎のゴーレムがまとまった量のエネミーを粉砕してくれるので、残るのは逸れていた魔物くらいである。むしろ生態系とかに影響がないか心配なレベルだが一応、魔物などは生態系に悪影響しかない、と言うことになっているらしい。


アナスタシア本人はポーションなどの素材がそれなりに手に入ったのでホクホクではあるのだが。

魔物から取れる石もアイテム作成に必要だから、こっそり回収しておいた。


ついでに言うと素材が手に入っただけではなく、薬草やキノコなどの日持ちしない素材が乾燥させる事で体積や重量は減るわ、成分が凝縮して使い勝手は良くなるわで良い事づくめである事が判明したのだ。


閑話休題。


「他の勇者の方々の世界ではお湯が出てくる装置と言うのがあって、お風呂でお湯が使い放題、バスタブにお湯を溜めて肩まで浸かったりするらしいのです」

「まあ、そんな物が…」

「それで、こちらの世界には魔法があるので、それでなんとか実現できないものかと相談されまして」

「それ、私も欲しいですわ」

王女は楽しそうに答える。


「一番簡単な方法としては…」

アナスタシア的には神様にお願いするのが簡単だ。

滅亡した大都市の人間を全て復活させたのち傷を回復させて精神のケアもしてくれとか言っているわけではないのだ。ちょっと便利に暮らすためにお湯が使いたい、その程度ならやってくれそうな気がする。


「方法としては?」

考え込んでしまったアナスタシアを王女がせかす。


「既に出来る人を探して教えてもらう」

「えーっ」


「でも、実際、水を出す魔法が使える人や、水を凍らせる事が出来る人は居ますし、いきなりお湯が出せる人が居てもおかしくはない、のでしょうか」

王女が目を泳がせながら考える。


「火の魔法や炎の魔法は比較的ポピュラーですし、水を沸かす、くらいなら出来る方も居るかも知れませ…」

魔法関連の書物を開きながら調べていてふと気がついた。温度調節というのは精度を考えると難しくなるのはともかく、長時間出し続けると言うのは消費魔力が思ったより大きい。


「どうしました?」

「単純に水を出して温めて、と考えていたんですが、私の魔力では試すのも難しそうです」

アナスタシアの表向きの魔力は50である。

変に人前で色々試したりする前に気がついて良かった。


「ほんとだ、私でも自分で沐浴するためにやりましょう、とはいかないですね、これでは…」

「勇者様くらい魔力量があればそうでもないのでしょうけどもね」

「そうですね。うらやましいですね。うふふ」


実を言うと、正式な方法をとる限り、魔法の行使に魔力は必要ない。

何せ、魔力を持たない人間が魔物と戦うために身に付けた力だ。

正確には神様に頼んで使わせてもらっている力と言うべきか。


まあ、そんな事を言って、魔力を使わずに魔法をずんどこぶちかましたら、それはそれで問題になりそうだからしないが。


いや、毎晩お風呂に入るのに魔法陣やらなんやらを用意して長ったらしい呪文を唱えてお湯を出すのは効率的にどうなのだろうか。まあ、お風呂は毎日使う物だから常時使える様に魔法回路を組めば良いのかも知れないが。


「とりあえず、心当たりに低コストでお湯が出せる魔法がないか聞いてみますわ」

王女が協力を約束してくれた。


新しい魔法を作るのは失敗に終わったが、もしもこのままの状態を維持するのであれば、なんらかの誤魔化しが出来た方が便利だろうかと考えるアナスタシアであった。




「あの女しか居ない間にキャンプを襲撃する作戦は失敗した」

「いっそのこと勇者共が居ない間に事を起こせば良かったのではないのか?」

「なぜ今更それを言う」


「あの女だけ何処かへ追いやってしまう方が良いのではないか」

「勇者共が不審がったり反抗したりしないだろうか」


「そもそも今代の勇者共はまるでやる気が感じられん。どうなっとるんだ」

「魔物退治自体はそれなりにやっているようですが」

「そんな物はそもそも騎士でお釣りが来るのだ」


お風呂計画は失敗に終わりましたとさ。まあ、小説なんでどっちにしてもあんまアレですけども(オ

文章だけでこう、お風呂ウエーイってなるような表現が出来たら良いですね(棒読み

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