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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-7 南の森へ

王都の様子紹介回、かな?

「やはりあの女が怪しいな」

「勇者に紛れて現れた上に、何かにつけて勇者共に干渉している様子が目撃されている」

「密談しているのを監視魔法で確認しているが未知の言語で会話しているらしくて、内容が分からん」

「とにかく、せっかく召喚した勇者だ、我々の利になってもらわねばならん」




王城は王都の北寄りに建っているため、街を囲む城壁の外の森に出るのに都合が良いのは北、東、西の順だった。東西に関してはアナスタシア達が滞在している館の場所が東側だからだ。


南の森に出るには王都を縦断しなければならず、城から日帰りは少々難しい。


「あなた達にまで付き合わせてしまってごめんなさいね」

アナスタシアはメイド2人と共に箱馬車で移動していた。

「いえ、私たちは常にお供させていただくよう、はじめから指示されていますから」

シリアナが楽しそうに答える。返って楽しみなぐらいだと言う。


アナスタシアの向いに2人座ってちょうどくらいのサイズなので4人乗りだろうか。

他の勇者の馬車に比べるとだいぶ小さい。


勇者が南の森へ遠征に出る事になったので、アナスタシアも同行する事にした。

一応アナスタシアも『異世界から召喚されし勇者』枠なのだ。

と言うのは建前で、1人王城に残されても退屈というのが本音だろう。



「南門に出るだけでも結構大変なのね」

命は自分の従者に言うでもなく呟く。

なんとなく、勇者1人につき一台の馬車と言う形になってしまったが、アナスタシアと一緒の馬車に紛れ込めば良かったと少し後悔していた。

王都は南門が正面に設計されており、王城と南門の間には貴族の屋敷があるエリア、商業エリア、そして平民が住むエリアを迂回していかなければならないので、直線距離に比べるとだいぶ遠回りしなければならない。


戦争や魔物の襲撃が有った時に一気に攻め入れられないようにと言う配慮だろう。



「王都の広さは、まあ良いとして、それ全体を壁で囲んでるのはなかなか凄いな。東京ドーム何個分だろ」

「『とおきゅおどうむ』ですか?」

「ああ、ごめんごめん。僕が来た世界のジョークだよ。凄く広いところと言う表現をする時に「東京ドーム」と言う建物を引き合いにだすんだ。実際に見たことが有る人の方が少ないのに」

「ドラゴンの様な感じでしょうか」

「ドラゴン? この世界にはドラゴンがいるの?」

「いると言うか、いたと言う伝承が残っていると言う感じですね。とてもとても大きかったらしく、大きい物の例えで『ドラゴンより大きい』みたいな言い方をする老人が居ます。おそらく見たことはないはずですが」

「ははは。なるほど。確かにそんな感じだよ。うん」


3人の勇者の乗る馬車はアナスタシアが乗っているそれよりだいぶ大きく、勇者と世話役の従者3人と文官と騎士が乗ってもまだ余裕が有る様な箱馬車だった。


大小合わせて4両の箱馬車に、荷馬車が2両、それに騎乗した騎士が隊列を組んで蛇行する様に街並みを避けて南門のあるエリアに向かって行った。



「…」

命が馬車を降りようとすると同乗していた文官が手を差し伸べる。

いわゆるエスコートと言うやつだ。

凄く恥ずかしい。


「いやー、寝た寝た」

「馬車の中でずっと寝てたの?」

「大学に自宅から電車通学してたからか、乗り物で座ってるとついな」

「分からなくも無いね」

3人が馬車から降りて身体を伸ばしたりしていると、アナスタシアも馬車から降りようとしているのが見える。

「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」

腰を曲げてプルプルしている。

メイドが手を貸そうとしていたが命が割り込んで抱えて下ろす。

命は勇者補正が入っているのでアナスタシアぐらい片手で持ち上げられる事を知っているのでメイドも任せた。


「ば、馬車で長距離移動は意外と大変ですね」

「無理しないでよ」

「すみません」


降りたのは南門前の広場の街側である。

ロータリーの様になっていて、馬車は馬車で一旦置き場に向かうのだ。

やはり突入防止なのか、真ん中が階段になっていてモニュメントが建っている。


「北門とはだいぶ感じが違うなぁ」

「そうですね。いかにも王都の入り口って感じがします」

大男2人が南門を眺める。


北門は全開にすれば荷車が通れる、程度の規模で、その周辺も狭い道があるだけでそのまま森だが、南門はかなり大きな門だ。開け閉めするだけでも相当たいへんだろう。門の左右も壁と一体化した建物になっており、おそらく中には兵士が控えていて、外からの攻撃に対抗できる様な施設も作られている様に見える。


「広場の周りは屋台とか出てるんだな」

「一応、仕事で来てるんだからね」

「少しくらいは良いんじゃないですかね」


宿は少し戻ったところに貴族なども利用する様な大きな宿が建っていた。

門の近くは比較的庶民じみた雰囲気だが、王都の外から旅をしてくる貴族や金持ちも居るのだろう。


「ね、部屋を一緒にしてもらって良いかな」

命がアナスタシアの手を取って頼む。

「別に寝る時に自分の部屋に戻れば良いじゃねえか」

「割と僕も寝るときは1人が良い派ではありますね」

「あんた達の意見なんか聞いてないから」

「良いですよ、一緒の部屋でも」

「ほんと、良かった」


命は宿の部屋割りを交渉するために文官のところへ走って行ってしまうのだった。

なんか、地味ですね。次回辺りどったんばったんしそうです。たぶん

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