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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-6 4人の勇者

勇者交流回です

「やあ、アナスタシア様」

召喚された4人の勇者のうち、比較的細い方のマッチョ男斎藤 浩哉が声をかけてきた。

ゴリマッチョの方、藤崎 嶺二も一緒だ。


ここは建物と建物を繋ぐ渡り廊下のようになっている部分で、1階部分は柱だけで壁がない。

アナスタシアは兵舎の方に居るらしい立花 命に会いに行く途中、その建物の間のスペースにある訓練場に居た斎藤らに声をかけられたのだった。


「様?」

コテンと可愛らしく首を傾げるアナスタシア。

「私も召喚された者ですし、むしろ勇者でもなんでもない私の方が…」

敬われた事に戸惑うアナスタシア。

「ああ、ごめんごめん。つい、ね」

斎藤が謝る。

「俺たちは元の世界では庶民で、高貴な人とは全く縁が無かったんだが、だから、ちょっとお嬢様っぽい女の子に様付けで呼んだりとか、あるんだよ」

藤崎が補足する。


「私、そんなに変わってますでしょうか」

アナスタシアはちょっと大人しめなドレス姿の自分を確認しながら尋ねる。

「いや、むしろ、フレンドリーなやりとりのうちだと思ってもらえれば…」

「この場に似合いすぎなんですけどね。メイドさんを従えている姿も様になり過ぎている…」

2人とも呆れたような困ったような顔をしている。


「ちょっとあんたたち」

命が現れた。

「2人が一緒に立ってる光景は犯罪臭凄いからアナスタシア()から離れなさい」

しっしっ、と言う感じで手を振る。


「ほら」

3人が命に目をやる。


「な、なによ」


命と比べてもアナスタシアは肩ぐらいまでしか身長がなく、男2人は命でも見上げるくらいの身長がある。普通の距離まで近付くとなんとなくアナスタシアに覆いかぶさるような感じになるので、絡まれているようにしか見えない。


「せっかくなのでお聞きしたいのですが、魔物討伐はどんな感じですか」

アナスタシアが3人に問いかける。

「ん、ああ、そうだなぁ」

「あー」

「なんと言うか、態々異世界から勇者を召喚しないとどうしようもない、と言う感じじゃないわね」

声を潜める。


「なんと言うか、僕たちを王家にぶつけたいっぽい?」

「俺らの力を利用して戦争がしたいっぽいやつもいる気がする」

「とりあえず、魔物に困ってと言う雰囲気じゃあ、ないかも? つて、私らの力が規格外っぽいから、普通の人たちがどう思っているかは、ちょっと」

「ああ、そう言うこともあるのか…」


ふと気になってアナスタシアが振り向くとちょっと離れて立っていたリョナが目を逸らすのを感じた。シリアナはこちらを見つめてニコニコしている。あの距離で話の内容は分からないだろう。読唇術でも使えない限り。アナスタシアが目を細めて笑いかけるとリョナは困ったように目を泳がせ、シリアナはニカっと満面の笑顔を返してきた。


4人で円陣を組んでこそこそ内緒話をしているが、実はアナスタシアがこっそり翻訳魔法を使って4人の言語を変えているので、アナスタシアと同じ世界の人間が紛れていない限り盗み聞きされても問題ないのだった。


「一応、書庫を調べて元の世界に帰る方法とか無いのか調べてみましたが、今のところ、それらしい物は…。一部の人間に口伝で残されている可能性もありますが、そうなると私にはちょっと。勇者でも無いのにあまり余計な事は言えませんし」


「アナスタシア様も立派な勇者だと思いますけどね、僕は」

「?」

そう言う斎藤に藤崎は疑問顔だ。

命はなんとなく分かる、と言う顔をしている。


「そう言えば、なぜ私だけ別の世界から来たのかしら」

アナスタシアが思い出したように呟く。

「ああ、それ、俺たち2人はもともと知り合いで一緒に居るところをまとめて送られたんだけど、立花は違う世界っぽい」

藤崎が自分と斎藤を親指で交互に示しながら答える。

「そうなのよね。初めは同じ世界の人間だと思ってたけど、色々話が合わないのよね。地名とか歴史とか」

「そうなのですか…、じゃあ、こちらから異世界に行く方法が有ったとしても、元の世界を探して自力で戻るのは難しそうですね…」

「ああ、そうだな」

「ええ」

「はい」

4人とも腕を組んで頭を捻った。



「とりあえず、みなさんを使ってクーデターとか戦争とか企ててるのが明白になった場合の対応とか考えておかないと、いざと言う時に面倒になるかもしれませんね」

アナスタシアがまとめに入った。

「そうだなぁ」

「あと、本当に魔物がヤバかった場合だね」

「なんだそれ?」

「僕らでも手に負えないような、ヤバい魔物がずんどこ出てきた場合、命をかけてこの国を守るのか?って事さ」

「あー」

3人はまだ王都からあまり離れたところには出向いていない。



「とりあえず、その辺は各自考えておくって事で、アナスタシア様は森に行きたいんでしょ?」

命が話を切り上げる。

「あ、はい。またお願いしても良いですか?」

「もち」


「なんの話だ?」

「アナスタシア様はポーションとか作れるのよ」

「へー」

「あ、僕にも教えてくださいよ」

「良いですよ」

「それじゃ、今日はみんなで森に行く?」

「良いね」

「たまにはそう言うトレッキングみたいなのも良いかもね」

「魔物とか出るけどね」

「あはは」





アナスタシアが間違って召喚された、でも良かった気もしますが、巻き込まれにしたくて4人にした割にほとんど活躍の場がないので、一応、出番を…

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