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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-4 ポーションを作ろう

なんか異世界聖女物はポーション作るのが普通っぽいので作ってみた。

元の世界のポーションも人が作ったものとかある設定ですが、アナスタシアは基本的にダンジョンで入手していました。

「こんなところで何をしようって言うの?」

命はアナスタシアに頼まれて近くの森まで護衛として来ていた。

城での訓練に飽きてサボっていたとは言え贅沢な護衛である。


まあ、護衛対象も召喚されし勇者なのだが。


アナスタシアは黒いローブにブーツ、フード付きのマントと言う格好で、命は長袖のチュニックにミニのタイトスカートにブーツ、腰のベルトにはソードを佩き、真っ赤なマントを羽織っていた。


当初は命にも護衛が付いていたが、最近は断っているらしい。

何かで出撃するような事があれば、一緒に戦ったりはするのだろうが。


「私はこれと言って出来ることがないので、ポーションでも作っていざと言う時に備えようかと思いまして」

アナスタシアは書庫に通っていろいろな情報を集めていた。

その中に、ポーションやスクロールと言ったアイテムの作り方があった。


要するに暇なので試してみたかったのである。


「ポーションって、やっぱ飲んだだけで怪我が直ったりする不思議薬だったりするの?」

割と普通に歩いているアナスタシアの後を、木の枝を避けながら歩く命。

命はソール込みで170超えの身長がある。アナスタシアは150ほどだろうか、元の世界ではさほど小さく見えなかったが、こちらは明らかに体格がいい人間ばかりなので、物凄く小さく感じられる。


「作るのが難しい物になるとそうなるみたいですね。簡単な物だと直接傷に塗るみたいですけど」

足元を探しつつ答えた。


時折しゃがんで薬草やキノコなどを採取している。

「キノコとか分かるの?」

「うーん、どちらにしろ、詳しい人に見て貰わないと危ないかもですね」


素人はキノコ狩りをしたらいけないのは、異世界でも共通らしい。


「なら、はじめから買えば良かったんじゃ…」

「いえ、城に居てもアレなんで」

「ああ」

2人で顔を見合わせ苦笑い。


「あ、蜂の巣ですよっ」

「危ないから止めなさい!!」

蜂の巣に近づこうとするアナスタシアを持ち上げて止める。



しばらく行くと洞窟を見つけたが、中から怪しい気配が漂っている。

「魔物ですかね」

「居るね、これは」

アナスタシアがパンパンと手を叩くと、黒いガスの塊みたいな大型犬くらいのサイズの魔物が3体飛び出してきた。

「ちょ、何してんの」

言いつつソードを抜き、鋭い踏み込みを見せる。


この世界の標準的な武器は刃渡り1mほどの諸刃の片手剣である。相手を殴り倒して先端で突き殺すのが本来の使い方で、きちんと刃が立ててあるのは先端の三角になった部分であり、手元の方が幅が狭くなっている。


真っ直ぐ正面から受けるかと思われたが、魔物とぶつかる直前にひょいっと横に逸れ魔物の背中に打ち込む。

命を包囲しようと迂回していた2体が突っ込んできたのを左右にステップを踏みながら首を飛ばず。最初の攻撃からすでに精度などが上がり、確実に弱点を突いて倒す。どちらにしろ一撃だったが。


ほんの2〜3秒だった。


「さすがですね。訓練の賜物…、いえ、元の世界でも剣を?」

アナスタシアが魔物の死骸を眺めながら命の元に近づいて行った。

「いや、実戦は今がはじめて。そもそも生き物を攻撃する事に何も感じなかったし、おそらくは訓練もそれほど関係ないだろう。たぶん、ね…」

「…そうですか、やはり」

「うん…」


ほんの30秒ほどで魔物の死骸が蒸発して小さな石が残った。

ガスっぽいのは見た目だけではなかったらしい。


「これ、もらっても良いですか?」

アナスタシアが拾い上げる。

「最初からそれが目当てだったんでしょ?」

「えへへ」


洞窟は、割と広いが奥行きは10mほどだった。

いちおう、鉱石っぽい物をいくらか採取して、今回の冒険は終了する事にした。


城に帰ったらメイド2人に怒られお風呂に直行させられた。




「ふふふ、命さんが鑑定スキル持ってて助かりましたよ」

魔女が薬を作る際に使う様な壺っぽい物で素材を煮ていた。

王女様に頼んでこっそり借りてきてもらったのだ。

人が入れるような大きな釜とかはさすがにないし、必要なかったので小さな物だが。

「鑑定って言っても、名前が分かるだけって言うか、ついさっきだけどね、使える様になったの」

「必要に応じてスキルが追加されるんですかね」

「かもね」

「追加される条件が分かると便利ですよねぇ」

手を動かしつつ適当に話をしていると、変な煙が出る。

「ちょっと、大丈夫なのそれっ」

「おわー」


出来上がった液体を冷やして小さな瓶に詰める。

「それで完成?」

「いえ、魔力を込めてやると中級ポーションになる、はず…」

液を詰めた小瓶に手をかざして魔力を込めると言うのを試しているが、魔力は50とかしかない事になっているので、あまり派手な事はしない。


「魔力か。たくさん込めたら上級になったりは」

退屈そうなので、命にも渡してみた。

命の魔力はおそらく測定限界以上だと思う。

「しないっぽいです。中級までは薬草などの薬効を魔力で増幅するのですが、上級からは理屈から全くの別物みたいですね」

「じゃあ、集めた材料じゃ作れないんだ」

「いえ、上級用の素材もある事はあります」

石っぽい物をゴロゴロ出す。

中には王女に用意してもらったものもある。



「護衛の報酬を払うお金がないので、こちらをお持ちください」

今できたばかりのポーションの瓶を3本ほど机の上を滑らすようにして差し出す。

「良いの?」

「また作りますし、私は前線には出ないと思うので実際に自分で使うことはないと思いますし」

10本ほど作ったので残りは7本の小瓶が並んでいた。

今の舞台の世界にはダンジョンとかあるのかしらん…

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