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第2話 支援職なのに取り残されまして

まだ既存の作品の一部を切り出して調整した内容です

ダンジョンに潜って小一時間ほどのところにT字路と思われる突き当たりが見える。

どこかの宮殿の中かと思う様な通路は明かりがなくても見える程度には明るい。

その壁に何かが叩きつけられたような大きな凹みと放射線状に広がる亀裂が出来ていた。




ダンジョンでの支援職の立ち位置は一番後ろ、敵の攻撃圏外だ。

アナスタシアが定石通りスタンバっていると、前衛が突如奥に向かって逃走してしまった。

幸い敵の魔物が前衛の3人を追って奥に向かってくれたが、何も気にせずただ付いて来ただけのアナスタシアには出口の方向すら分からなかった。

止むを得ず、魔物や3人が向かった方に歩き出す。

引き返したところで出られるか分からない以上、追いつくしか助かる方法がないと思ったからだ。


しばらく進んでも誰も見つからなかった。


ふと気がつくと、身長2mほどの緑色の肌をした大男が現れた。

それはまさに突如現れたと言う表現がぴったりだった。

歩くと地響きがするそれが接近してきたことに気がつかなかったくらいだから。


「やっぱりあの人たちは騎士だったんだ…」

今更ながら自分が嵌められたことに気付くアナスタシアだったが、そんな事を考えている場合ではなかった。


ゴブリンが巨大化したと思われる怪物は、いやらしいオヤジの様な笑みを浮かべよだれを垂らしていたが、アナスタシアのスレンダーなプロポーションを見てか、14歳と言う年齢が分かるのか、繁殖の道具にしようと言う考えは持たなかった様だ。


アナスタシアの横を抜ける様な勢いで踏み込んだかと思ったら、丸太の様な棍棒で横薙ぎにした。


吹き飛ばされて壁に激突するアナスタシア。

壁にめり込んだ様な錯覚があったが、それはほんの僅かな時間で、破片と共に床に落ちた。

もはやどこを負傷したのかも分からない、呼吸すらままならず、遠くなる意識の中で人の気配を感じていた。


「冒険を続けますか?」


急に意識が覚醒するが声を出せないので目配せをする。

気がついてくれたようだ。

ダンジョンには似つかわしくない軽装な黒髪の少年だった。

シャツにズボン、短いブーツ。防具の類は付けていなかった。

いや、それどころか武器も荷物も持っているように見えない。


「もし君が冒険者として一緒に行動したいと言うのなら、パーティ定員に空きがある」

少年がアナスタシアに問いかける。


それで良いから助けて欲しい、なんとか反応を見ながら目で返事をする。

少年が小瓶を割ると、ふっと身体が楽になった。

回復ポーションだ。しかも、かなり上級の。


「ありがとうございます。あの、そんな貴重な物を…」

混乱したアナスタシアに少年が答える。

「あれはダンジョンで拾った物だから気にしなくて良いよ」

「え、でも」

「次見つけた時に拾えるように少し開けておく主義だから返ってちょうど良かったんだ。持ち歩ける量に限度があるからね。せっかく見つけても拾えないのはなんか気持ち悪いから」


少年は全く気に留めていないようだ。


「はあ」



「あの、どこかに杖が落ちてなかったでしょうか」

立ち上がろうとして杖がないことに気がついた。

「あー、アレのことかな?」

少年が指差したところに、バラバラに砕けたアナスタシアの杖の破片が転がっていた。

そしてその側に巨大な骸も。

「…ごめんなさい、せっかくパーティに入れてもらったのに、何も出来そうに無いです。申し訳ないです」

項垂れるアナスタシア。

「いや、別に何が出来るかとか、はじめから気にしてないし」

そう言いながら少年が手を差し伸べた。

「え、でも…」

少年の手を取って立ち上がる。

どこも痛みなどは感じない。完全回復だった。


「冒険がしたいかどうかしか、聞いてないでしょ?」


特に嫌味を言っているようには見えなかった。


「でもそうか、魔法使いが魔法を使えないじゃ、冒険っぽくないか」

少年が思案し出す。

「え、あ、はい。とりあえずそう言うことで良いです…」



「何か拾った道具があったかなぁ」

少年の前に魔法の窓のような物が現れる。

そこには道具の姿とか名前、ちょっとした説明みたいな物が表示されている。

こんな魔法は見たことがない。


「これ、杖の代わりになるかな?」

少年の手元に、革の装丁に金属の装飾、ベルトが付いた分厚い本が現れた。

「これ、魔導書…」

手に取るとずっしりと重い。なんとか片手でも持てそうだが。

「初めて見ました」

両手で持ち上げて裏を覗いたりしてみる。

表紙には鍵穴と鎖の様な模様が描かれている。


「使えそう?」

「ええ、たぶん、使い方自体は知ってます」

ベルトを解いてパラパラと捲ってみる。

「じゃあ、あげるからそれ使って」

「えええ、こんな、高価な物を、良いんですか?」

「いや、オレは魔法使いじゃないし、アイテムとか売ってもそんな額にはならないから」

「はあ」

なんだか、自分とは感覚が違いすぎて、いろいろ諦めた。

どれだけお金持ちなんだろうか。

普通に道具屋に売っただけで、遊んで暮らせるような額になりそうな品である。


「私も結構お嬢様育ちなんだけどなぁ…」



文章で説明している部分にドラマを盛り込めたら良いんだけど

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