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SS とある少女の人身売買

売買されるのは少女の方ですけども

あと、濡れ場的な物がありますのでご注意ください

「おい、この子は売り物なのか?」

「ええ、御所望でしたらお譲りしますよ」


とても奴隷を買うような人間には見えない青年が奴隷商人と交渉している。

随分と体格は良いがまだ成人してそう経っていなさそうな若い男だ。


「いくらだ?」

「金貨10枚でいかがですか?」

「お、他に比べるとだいぶ安いな」

「ええ、何しろこの見た目ですからねぇ…」

「ふーん。ま、良いか。じゃ、この子をくれ」


奴隷の少女は今日からこの男の持ち物になる。




少女は物心ついた頃はこことは違う街で暮らしていた記憶がぼんやりとあった。

だが、気がつくとこの街の外れに居た。


途方に暮れていたところを拾ったのが奴隷商人だった。奴隷商人と言うと悪人のように聞こえるが、この国では認められた商売であり、特にこの男は悪人ではなく、商売人だった。労働力を金で売る、そんな感覚なのだろう。


残念なことに少女の見た目はこの世界ではあまりにも不美人で、力もそれほど無かったため売れなかった。働けるようになってからは奴隷商人や他の奴隷の世話などをして暮らしてきたのだった。




「では、この契約書に血判を。奴隷を拘束する魔法などの契約も同時に行われます」

「ああ」


ナイフで切って出た血をそのまま羊皮紙に押し付けた。

契約書の文字の下に薄く描かれていた魔法陣のような物が光り契約が完了した事が分かる。


「奴隷を拘束する魔法って言うのは解除出来るのか?」

「出来ますが、売却などの際は奴隷商人に任せるのが良いでしょうね。と言うか奴隷契約と言うと聞こえが悪いですが、彼女の安否を確認したり、逸れた際に合流する事が出来る機能があるので、普通に便利だと思いますよ」

「なるほどな」


「でも、この子をどうするつもりなんですか?」


一応親心的な物があるのだろう、奴隷商人が尋ねる。


「まあ、いまさら値段を釣り上げたりも出来ないだろうから言っちまうけど、見た目が超好みなんだ」

「は? 変わったご趣味で…」

「実は俺はこの子みたいな外観が普通の国に住んでいた事があるんだよ」

「なるほど。馴染みがあるんですね。もう少し吹っかけておけば良かったですね。ははは」


男の言葉にどこかほっとした表情をする奴隷商人だった。




「奴隷を買うのは初めてだけど、イメージとだいぶ違うな」

「…そうですか?」


男が少女を値踏みするように眺めた。


「清潔だし健康そうだ」

「売り物だからでは?」

「それもそうか」

「ただ、商品価値的には…」


そう言って少女は寂しそうに自分の胸に手をやった。この国の同年代の娘なら手に載せられるほどの胸があり、腰は細く、お尻が大きいのが普通だが少女は平坦だった。幅も厚みも。身長も低めだろうか。そして何より顔の彫りが浅く平坦だった。赤ん坊がそのまま大きくなったような顔はこの国の人間には不気味に感じられるものらしい。


「うーん、女の子にこんなことを言うのはなんだが…」

「?」

「超好みなんだよなぁ」

「はい?」


その顔は嘘を言っているようには見えなかったが、信じられない話だった。

何しろ10年以上もの間、ずっと醜いと言われ続けてきたのだから。




少女は男の奴隷になったわけだが、これと言ってする事が無かった。

男の仕事はポーター、荷物持ちと言う事で、少女には持ち上げられない大きな荷物を持ち歩いていたし、ダンジョンは危険だと言う事で普段は宿で待っているしか出来なかった。


なんとなく居た堪れなくなって、夜の相手をしようと思えば、散々こねくりまわされ気持ち良すぎて失神する始末。翌日目を覚ましたらベッドがびちょびちょで2人して床で毛布に包まって寝ていたこともあった。


やる事をやっておいてこう言うのもおかしな話だが、男は少女と一緒にいるだけで楽しそうだった。

朝晩、仕事のない日は一日中少女の顔を見てニコニコしていた。

相変わらず周りは少女に奇異なものを見るような目を向けていたが、他の男に変な目で見られないのは逆に好都合とまで思えるようになったのだった。



「と言うわけで、今日からここがお前の家だ」

「どう言うわけですか」

「いや、宿屋に放置するのは心配だからな。買った」

「そんな簡単に言うような値段なのですか」

「割と金持ちなんだぜ、俺」

「割と…」



こうして2人で過ごしたり、仲間がやってきて賑やかになったり、また2人になったり、家族が増えたりするのだった。

リリィの元ネタはデスマのルルだったりするので、そんな感じです(オ

ユニークスキルの事を忘れてましたが、まあ、買い取られてから気がついたとかで(オ

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