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最強の魔法使いの旅立ち

本編最終話のちょっと前のお話。

自分でどんな設定にしてたか忘れてしまったので矛盾してるかも知れんけど気にしないで(オ

「ぬぁんですってえええええ!!!?!?」


銀色の長い髪が踊る。

憤慨してテーブルを叩きながら立ち上がったからだ。

テーブルの上に並べられた食器がガシャガシャと音を立てる。


「お、落ち着いて」

「…ごめんなさい」


座り直した令嬢は普段そんな事をするとは思えない淑女だし、目を丸くしている金髪の令嬢も余程の事でも顔色一つ変えないような淑女だ。本来は。


お互いに相手の様子に驚いていた。


「兄の言う事も間違いでは無いのよ。勇者のジョブを持つとは言え王太子、王の体調が優れない今、城を離れるのは国全体に危機を招く事になりかねないわ。聖女の私にお鉢が回ってくるのも当然の事…」

「だからと言って、たった10人の護衛で何をしろと、そんなのまるで…」

「…」

今回の件にその意図が有るかは分からないが、兄妹と言えども王位継承権を争う間柄である事には変わりなかった。現在の王太子は長子で有ると同時に能力にも問題はないが、それは生きていれば、と言うのは言うまでもない事であった。


銀髪に灰色の瞳の少女が意を決して口を開く。

「分かりました。私も一緒に行きます」


「ごめんなさい」

金髪碧眼の王女が目に涙を浮かべて謝罪する。


「何を言っているの、親友でしょ」

「だからよ。この話をすれば貴方は必ずそう言ってくれると、私は知ってたの。分かっていて、分かっていて貴方に相談したのよ」

震える頬に涙が流れた。


「じゃあ、もし貴方が私の立場だったとして、私が黙って旅立ったら、貴方はどうするの?」

「…一生恨むわ」

「私も同じよ」




大陸の南の国々が滅んだ。

魔王とその軍勢が現れたのだ。

この国にもじきに侵攻して来るだろう。


これまでも、魔王と呼ばれる者は居た。いや、魔王と言うジョブがある。ただそれは強力な力を持ってはいたが、あくまで魔法職の一種類と言う程度の物だったが、その魔王はこれまでの常識を超越するものだった。その正体は下級の神そのものだったから。




「その、なんだ。勇者を召喚したりとかは出来ないのか?」

「「勇者を召喚?」」


未知の敵を迎え撃つと言う無茶な旅だった。

直接南に向かうわけではなく、まずは対抗手段を考えるために情報を収集して回っていた。


旅のメンバーは聖女である金髪の王女、魔法使いである銀髪の令嬢、王女の護衛騎士10人と侍女、令嬢の家の密偵と言うメンバーだったが途中から1人双剣士が参加していた。


当初は女にだらしない男と言う印象で警戒していたが、どうも女の方から言い寄って来るだけで、彼自身はそれほど女にだらしないわけでは無いようで、所謂天然たらしと言うやつらしい。このパーティーの女性陣は普通に接してくれるから落ち着く、などと言うほどだった。


「まあ御伽噺、なんだが、異世界から勇者を召喚するって言う話があるんだわ」

「異世界…」

「そんな事が出来る存在と言うと、神か…」

「…限りなく神に近い存在でしょうね」

全員で考え込む。

そもそも今は非常事態、いや非常識事態なのだ。

どんな方法でも試す以外の選択肢はなかった。


「なんか居そうかい?」

「そうね、おそらくこの世界で最も神に近い存在とすると…」

「「ドラゴンかしら」」

ハモった。


「ドラゴンかぁ。話は通じそう?」

「分からないわ。実在するかどうかすら」

「大昔には王都にも現れた事があるとかなんとか…」


「でもまあ、調べてみる価値はあるかも?」

「私ももっと高度な魔法を使えないか調べたい」


この世界には印刷や出版という物はない。

つまり、文献を調べようと思ったら、本がありそうなところを虱潰しに探すしかないのだ。



「ちょっと、変な話なのだけど、聞いてもらえるかな?」

銀髪の少女が食事のために集まった仲間に話を切り出した。

「当たり前じゃない」


「…うん。あの、ね。魔法が呪文と魔法陣からなっている事は知ってる?」

「ええ、現在は魔法発動用の魔道具に組み込まれているって言う…」

「そう。魔法と言うのは契約書みたいな物で、大半は共通の内容で、魔法で引き起こす現象の部分だけ書き換える事で使い分けるような感じなの。だから、その共通な部分が道具に組み込まれていて、変えないといけない僅かな部分をスキルのような物で術師が身に付けている、のではないかと私は思っている」

「なるほど?」

そこまでは分かったからと続きを促す。


「呪文も魔法陣も神代文字で記述されているんだけど、今の魔道具に組み込めなかったり、組み込めても使えない魔法がいくつかあるの」

「古代魔法ね」

「そう。…でね、おそらく契約者の名前だと思われる記述があるのだけれども、その名前が…」

「名前が?」

「アナスタシア=フォン=バーンシュタイン」

「え、っと」

「私と同じ名前」

銀髪の少女、アナスタシアは頭を抱えた。


「その、名前を使って魔法を行使したら使えただけでなく、魔力も全く消費しなかったのよ」

「へえ、すげえ、のか?」

「すごいわよ?」


「どうしよう」

「いや、知らん顔して使ったら良いんじゃね?」

「そうね」

「そんな適当な」


「名前が重要なのか、血が重要、つまりそのアナスタシアは貴方のご先祖様、とかかしら…」

「前世が魔法の始祖で魂が同じ、とかか?」


「貴方の発想は何か特殊ね」

「そ、そうか?普通じゃね?」




詳しい事は分からないままだったが、一行はとうとうドラゴンの住むダンジョンを発見、巨大な空洞にいるドラゴンの元までたどり着いたのだった。


「コ、コンニチハ?」

『ああ、こんにちは』

ドラゴン、超巨大生物だった。正直目の前に立つと顔しか見えない。顔だけで視界が塞がれてしまうほど大きいのだ。


「は、話が通じる?」

「いや、いま生きている時点で奇跡では」

「間違いない…」

全員死を覚悟していた。そもそも攻撃してどうにかなるように見えない上に、人類では再現できないような魔法を使う相手なのだ。


『人間がここまで来るのは久しぶりだな。何かようかな?』

「あ、あの、ぶっちゃけてしまえば、大陸の南に現れた魔王をなんとかして欲しい、の…」

『ああ、アレか。難しいところだな。私とアレが本気で激突したら、勝つ負ける以前に世界が滅ぶかもしれん』

「ああ。はい」

理解できた。でき過ぎた。


「じゃあ、勇者を召喚したりとか出来ねえ?」

『それは可能だ』

「待って…」

王女が止めた。

「よくよく考えたら、異世界から勇者を呼び寄せるって、勇者の人生はどうなるの?」

「…」

『…、そうだな、では小さき巫女よ、お前に異世界の者と交信する力をやろう。それで直接交渉して成立したらこちらに呼び寄せると言うのはどうだ? 能力については世界を越える際に身につくから純粋に為人と相手の都合だけ考えれば良い』

「ぜひ、お願いします」


なんのかんの、親切なドラゴンのおかげで勇者を召喚する事になり、数分後には黒髪の少年が現れた。

周りの人間には数分の出来事であったが、王女と黒髪の少年にとっては長い月日だったと言う。


こうして勇者パーティーとしての長い長い旅路が始まったのだった。




このアナスタシアは本編のアナスタシアの前世でソフィアの子孫ではないです。

そもそもこのアナスタシアは子供を産む事なく亡くなったので本編のアナスタシアとも血縁関係はないです。

(本編のアナスタシアはたぶんソフィアの子孫。あんま考えてないけど)


この世界の魔法は過去へ逆行転生したアナスタシアによって作られソフィアが普及させた物ですが、アナスタシアが神と交渉できるのは、この前世のアナスタシアが、創造神の目を盗んで余計な事をした下級神からこの世界を救った功績に寄る物です。


強くてニューゲーム。


創造神は何もかもなかった事にすることも出来たけど、それはしませんでした。

そして下級神たちは同じ事を繰り返し、本編のアナスタシアにギタギタにされた上、世界樹によって物質世界から締め出され、神界にも帰れなくなったのでした(超余談)


ちなみに創造神(ドラゴンもかも?)には時間という概念がない高次元存在なので、現在過去未来関係ないです。


この後苦難の旅を経て悲惨な事になるのですが、そう言うのは書きたくないのでご想像にお任せします(オ



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