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5-28 嫁ですか

別にアナスタシア様は結婚しないです(

「あー、なんか知らんが、ハッキリ宣言しろとせっつかれたので取り敢えず集まって貰ったんだが、こいつは俺の嫁だ」


「「「ええええーーっ!?」」」


ここは街の食堂。時間は夜、と言うか夕方。日帰り仕事の冒険者達が集まってくる時間帯だ。時計があるわけではないので正確な時間ではないが、暗くなってもウロウロしているとその分余計な出費が嵩むので、大抵の冒険者は明るいうちに仕事を終える様に調整している。


冒険者ギルドは酒場が一体になっているところが多いが、この街の場合は冒険者ギルドが街の顔、役所の一つの様な立ち位置で、待合所のようなスペースはあるもののお酒などは提供していないため、仕事の後に集まるのは大体この近辺の酒場か食堂だ。


今日はポーターのソロが顔見知りの冒険者を集めてリリィを紹介していた。


「ちゃんと名前も発表しなさいよ」

レイラがせっつく。


「あ、ああ。こいつの名前はリリィ。つーても俺が付けた名前なんだがな」

「え、でも、その子奴隷だよね?」

冒険者の1人が代表してみんなが思っている事を口にした。


「ああ、だからまあ、内縁と言うか、形だけで結婚とかはしてない」

リリィの頭を撫でながら答えるソロ。


「それってどうなるの?」

「いや、でも…」

「あ、なんか王様が変わって奴隷制度自体廃止とか聞いたかも」

「じゃあ、奴隷じゃなくなるのかな?」


「「「それにしたって…」」」


「あー、みんなが思ってて口にしにくそうな事を、予め言っておくと…」

ルークが補足するために話始める。


「ソロの美的感覚だと、リリィはアナスタシア様やレイラよりも美少女だから…」


「「「そんな、ばかな!?」」」

「えええっ?!」


冒険者の驚く声に負けず劣らずの声で驚いたのはリリィだった。


「なんでお前が一番驚いてるんだ?」

「私だって鏡ぐらい見ます…」


リリィは異世界人。この世界には存在しない人種だ。ソロの前世と同郷でもある。おそらくルークも元は同じ世界から来たが、今は転生したのでこの世界の人間の顔だ。


何人かの女性冒険者が呆然としているが、興奮している冒険者もいる。


「すげえなぁ。ソロさんはポーターなのに家は買うし嫁は貰うし。オレも頑張ります!」

おそらく彼もポーターなのだろう。ソロを尊敬の眼差しで見つめている。


「あ、悪いが俺は他にも稼ぎ口あるから」

「えーっ!」

「「「「わははははは」」」」

一緒にいた男の冒険者達が爆笑する。


「一応、断っておくが、こいつは小さい頃に孤児になって奴隷商人に拾われただけで、犯罪奴隷とかじゃないからな」


なんだかんだと話している間もリリィを触ったりしている様子に、みんな本気である事を確認した。


後日、冒険者ギルドの受付嬢も燃え尽きた様になっていたらしい。




「それで、あなた方はどうするの?」

アナスタシアがレイラに尋ねる。

「何をですか?」

「ほら、けけけ、け、結婚、とか?」

何故かどもるアナスタシア。


「まだ未成年だし…、なんかルークの世界では20歳が成人だったらしいんだけど、さすがにそこまで待っちゃうと、この国では完全に行き遅れだし、悩みどころよね。それに私は聖女だし…」

「聖女だから?」

「なんか、聖女は処女じゃないといけないみたいなのあるでしょ? 本当に何か影響があるのか分からないけど…」

「まだなん…げふんげふん」


「別に聖女である事は隠してるんだし、良いんじゃないのかな?」

「今は良いけど、この先どうなるかなんて誰にも分からないしねぇ。でもまあ、もう王族じゃないから結婚しようがしまいが、関係ないけどね」


この世界では、王侯貴族は家名や爵位の継承、財産分与などが法律で決められているため、結婚は重要なファクターだが、平民にはあまり関係がない。そもそも平民には苗字は無いし、財産と呼べる様な物を持てる者も少ない。余程要領が良い者でもない限りその日暮らしだ。土地なども基本的に国の物だ。冒険者に至ってはギルド等に税金などを差っ引かれるから、男も女も夫婦も関係ない。


「それで、アナスタシア様はどうするつもりなんですか? まあ、成人してからでしょうけども」

ニヤリと笑いながら横目でアナスタシアを見つめるレイラ。

「………」

目を見開いて見つめ返すアナスタシア。


「自分で振っておいて固まらない」

「…すみません」

ショボンと小さくなる。普段からは想像できないほど弱々しくなってしまう。

普段と弱い時と戦っている時のギャップが凄い。もはや別人である。


「なんと言うか、私の場合、好かれていると言うより、崇められている感じがするんですよね…」

「ああ、なんか分かるかも…」

「別に嫌われては居ないと、思うんですよ。うん」

「それはそうでしょうね。私もアナスタシア様は崇めても良いと思っているけど、それ以上に好きですし。良い匂いするし」

「え? それは褒められてます?」

「嫌いな人の匂いなんてかがないわ」

「そう言う事なの?」

「ごめんなさい、冗談です」

「うぐぐ」

「…この際、アナスタシア様から迫ったらどうですか? 結婚しろと。絶対断られる事は無いと思いますよ?」


「それってどうなの…」


アナスタシア様は本当は相手によって印象が違うキャラ、例えば大人から見ると小さな子供だし、小さな子供から見るとお姉さんだし、善人から見たら女神だけど悪人から見たら恐怖の対象みたいな感じにしたかったんだけど、なんかキャラがブレブレなだけになってしまった感ありますね…

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