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5-25 世界樹ですか

いつもサブタイトルは「ですか」を無理やり付けてるんですが、今回はそのままだったり

王国の中央には山があって、その山頂には神殿の跡があった。

最近破壊されるまでは神殿だったのだが、今は見る影もない。




帰りもソロとリリィは王都で別れて先に帰ってしまい、残りのメンバーは徒歩や乗合馬車での旅になった。相変わらず途中細かい依頼を受けたり受けなかったりしつつの旅だったが、ある意味割り切ったアナスタシアは何をするでもなく付いて歩くだけでも気にしなくなった。



「聖女様?」

途中、転んでいた子供を助けたら、聖女ではないかと疑われた。王都の別邸に帰った時に認識疎外を外しておいて、元に戻すのを忘れていたために銀髪に黒いマントと言う服装をそのまま認識されてしまっていた事に気がついた。


「違いますよ?」

「そうなんですか、残念」

「残念?」

「憧れの聖女様に会えたかと思って…」


どうやら聖女バッシングも金ピカ親父の陰謀だった様で、行く先々で崇められた。


「私は聖女じゃないんですけども」

「賢者が聖女と魔王の統合職みたいな物なら、聖女を名乗っても大丈夫だと思いますよ」

「そう言うことではないのですー」

3日目くらいで嫌になってまた認識疎外をかけた。




「ここが、ソロの家?」

なぜかメアリーとサラまで拠点のある街まで来ていた。暇なのだろうか。

「おお、戻ってきたか。いや、お嬢様は戻ってきたのとちと違うか」

「随分と大きな家なのですね」

「ここは俺の家と言うか冒険者の宿舎みたいになってるからな」


「…あの、それでは私もたまに泊まらせて頂いても?」

「おお、部屋は十分に余ってるから大丈夫だと思うぜ。ただ、みんな冒険者だから誰もいない日もあるんだが」

「ふふ。ではまたお邪魔しますね」




そんな事がありつつ、落ち着いた頃、アナスタシアは仲間達と街の東にある山の頂上近くまで来ていた。

ドラゴンに破壊されて神殿跡になってしまったが、ここはソフィアが作らせた神殿で魔法回路が設置されていて、祭壇のところでスキルの取得やレベルキャップの開放などが行える施設になっていた。

現在もその祭壇だけは機能しているのだが、普通の人にはここまでくるだけで結構大変なせいか一般の冒険者などがここを利用している気配はあまりなかった。


改造されているとは言えもともとはアナスタシアが作った物なので、十分に仕組みを理解する事が出来た。


「今日は何をするのですか?」

相変わらずアナスタシアがいると言うだけで幸せそうなラインハルトだ。


「墓標を立てようかと」

「墓標、ですか」

「ええ」


今日はアナスタシアとラインハルト、レイラとルークと言うメンバーだ。

ソロはポーターの仕事でダンジョンに潜っている。

ソフィーとリリィはお留守番だ。ソフィーはレイラにべったりな印象だが、遠出でもない限りはお留守番も多い。まあ、レイラがルークと2人になりたそうにしているからだから、今日は来ても良かったのかもしれないが。


「今日は賢者の皆さんもよろしくおねがいしますね。いつも突然ですみませんが…」

『なに、むしろこう言う時に咬ませてもらえなかったら逆に苦情を言っていたところだ』

「ふふ、そうですね。今日はとっておきの魔法ですから楽しみにしてください」

そう言ってアナスタシアは少し寂しそうに笑った。


祭壇の上にマスターコアを置く。

その手前に回収しておいた宝箱の残骸を積み上げた。


アナスタシアが魔法で儀式の準備をはじめる。

敷き詰められた岩の隙間から草が生えていた地面が綺麗に整地され魔法陣が描き出された。


再びアナスタシアが呪文を唱える。これは1人で唱える呪文だった。

積み上げられた宝箱の残骸が燃え上がる。


白い煙を上げながら一頻り燃えると、こんもりと灰の山が出来た。

あの日回収していた神気を含む粉の様なものをその灰にまぶすと、いよいよ儀式の始まりである。


神殿跡全体が光に包まれた。


「あなた達を正式にダンジョンマスターに任命します」


灰の中からひょこりと双葉が顔を出した。

それは見る見る成長していった。


見る見る。

見る見る。


見る見る…


「………」


予想を遥かに超える勢いで成長し始めたため、慌ててアナスタシアを抱えて走り出すラインハルト。

ルークもレイラの手を引いて走る。


「あれー?」


「「「あれーて」」」


『いや、面白いものを見せてもらった。我々はしばらく研究に入るぞい』

「あ、ありがとう。またね」

『あい』


10人それぞれ喋ると混乱するので、マイクはひとつらしい。

取り合いしているのを想像するとちょっと微笑ましいかもしれない。

予め順番を決めていると言う可能性もあるか。


「で、これはなんなんだ?」

「木、じゃない?」

「そりゃ木だろうなぁ」


巨大な木だ。

太さは神殿の有ったスペースが丸々飲み込まれるほどで、高さは見上げてもここからではどこまであるのか分からない。枝は、植林された針葉樹の様に上の方にある、のではないかと思われるが正直よく分からない。


「この木は神気を帯び、思考し、ダンジョンを支配し、人にスキルなどの能力を与える力を持った木、世界樹ですか」

「なんだか、凄い物を生み出した、の?」

「そう、なんでしょうね。たぶん」

「たぶんて…」


実は私、世界樹という物を最近まで知りませんで、一般的な世界樹がどういうイメージなのかもさっぱり分からないので、ここではアナスタシアが勝手に名付けたという事にしています。世界樹警察のみなさんすみません。

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