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5-24 公爵令嬢ではなくなったですか

本日2回目の更新です

「おお、よくぞ帰ったなアナスタシア」

「無事で良かったわ」

両親が手を広げて迎え入れてくれた。


「…え、ええ。ただいま…戻りました…」




ダンジョンを出たアナスタシア一行は誰もいない荒野でティータイムと洒落込んでいた。

「とりあえず、ダンジョンはどうなるのでしょうか」

「そう言えば、そんな話でしたね。手段のために目的を忘れていました」


メアリーに言われてわざわざこんな遠いダンジョンまで来た理由を思い出したアナスタシア。

元々は南のダンジョンの問題を解決するためにこんなところまで来たのだった。


「あのダンジョンは普通のダンジョンにすれば良いですか?」

「出来るなら」

「じゃあ、その様にしておきます…」


メアリーは当然のことの様に聞いている。




「…あの、何と言いますか、こんな事を言ったら変に思われるかもしれませんが、ダンジョンとか魔王とか、もしかしたら全部私のせいかもしれません…」

全員に向かって神妙に話すアナスタシア。


「やはり」

「なるほど」

「さすが」

「そんな事だと思った」


「えーっ」


意を決して告白したのにこの反応。

ちょっと不貞腐れるアナスタシア。


「つまり僕らが出会えたのはアナスタシア様のおかげって事だね?」

ルークとレイラが手を繋いで戯けている。


「私も、と言うか我が家もダンジョンの恩恵を受けてますので、アナスタシア様、様様です」

「俺の仕事もダンジョンがメインだなぁ」


「………」


「私は…」

「あ、貴方は良いです」

ラインハルトの発言をアナスタシアが止める。


「酷いですね」

「すみません」


笑顔のラインハルトに目をそらして赤くなっているアナスタシア。



その後、拠点に戻るついでに王都の様子を見ていこうと言う事になり、全員認識疎外で身分を隠して王都に立ち寄ったのだが、なぜかアナスタシアの家族が住む王都の別邸を尋ねることとなったのだった。



「大丈夫かしら、アナスタシア様」

応接間に残り、家族と顔合わせしているアナスタシアを心配するレイラ。

自分でこうなる様に仕向けたくせに落ち着かない様子でソワソワしている。


「あの人、ああ見えて薄氷みたいなメンタルだからな…」

ルークが答える。


「え?」

メアリーやサラは反応に困っていた。



そのアナスタシアはリビングでソファーに座り脂汗をダラダラと流していた。

すると、アナスタシアが帰宅したと連絡を受けた長兄が帰宅してアナスタシアの正面に座った。


「え?」


父がその隣。母に至っては横に置かれた別のソファーに腰掛けた。


「あの…」

「うん、私が爵位と家を継いで、父上は隠居、お前は公爵令嬢ではなく公爵の妹と言う事になった」


この世界の爵位は家ではなく、個人に与えられる物であり、長兄に爵位が移ったこの家では、前公爵夫婦、アナスタシア達兄弟姉妹は平民と言う事になる。


両親は家の資産で生活する場合が普通だが、兄弟姉妹は家の財政によっては自分で働いて収入を得る必要がある。


「アナスタシアは…、今、どうしているんだい?」

「あの、冒険者、を…」

「十分生活出来そうかい?」

「? え、ええ。大丈夫です…」

「そうか…」

「あの?」


「お前も知っていると思うが、この国は今ギリギリの状態にある。国としての体裁を維持することすら難しくなりつつある」

「はい」

「自分で生活出来るなら、そうしてもらえると、ありがたいのが正直なところだ。結婚相手も、面倒みてやるのは正直難しいのが現状だ」

長兄、公爵が俯きながら話すが、アナスタシアにとってはむしろ喜ばしい状況だった。


「私には仲間がいますし、住むところもあります。お気になさらないでください」

「そうか。すまないな」



「そうそう、詳しい事情は話せないが、あのラインハルトが家名を返上して冒険者になったそうだよ」

「…その、存じております」

「そうか。もう会ったのか?」

「はい」

会ったどころか今日一緒に来た中にいるし、なんなら同じ建物で生活している。とは言わない。


「どうするかはお前に任せるよ」

「え? それは、どう言う?」

「お前は小さな頃からラインハルトにベタ惚れだったからな」

「えええええええ? ななななななな」

「なんだ、気づかれてないと思ったのか?」

嬉しそうに笑う公爵と前公爵夫妻だった。


「ええええええええっ?!」



その後、仲間も一緒に、公爵家の夕食にしては少々質素な、とは言え平民はなかなか食べる機会が無いような晩餐を行い、一晩泊まったのち、仕事の途中で寄っただけだからと、翌日には家を出るのだった。

結局、姉や姉が連れてきた騎士団のことは話せなかったし、どう言う扱いになっているのか聞くことも出来なかった。



「いててて。柔らかいベッドってのは最初は気持ち良いかと思ったけど、身体が痛くなるな」

「慣れじゃないかな?」

「そうか?」


「レイラやラインハルトは知ってたんですか?」

「何を?」

「何をですか?」


「………まあ、良いです。とりあえず、今の私は公爵令嬢ではないので、アナスタシア様は止めてくださいね」

「いや、家は関係ないから」

「初めから家柄とか気にしてませんから」

「アナスタシア様は存在自体が尊い方なので…」


「なんでですかー」

貴族の社会とか良く知らないので実在するそれとは関係ありません的なアレです

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