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第14話 回復ポーション

ポーションの話にしても、ソフィーさんの話にしてもどっち付かずで、なんかアレかも

冒険者にとって回復ポーションと言うのはとても重要なアイテムだ。

常に危険と隣り合わせの仕事がほとんどだ、生き残るために回復薬を買ってから冒険に出る。


ところがアナスタシアは回復魔法が使える。

最上級のポーションほどではないが、一回でほぼ全回復できる。

なんならアナスタシアが怪我をしてもレイラが神聖魔法を使える。

まだまだレイラの回復魔法は頼りないが、アナスタシアがレイラの回復魔法で手に負えない様な怪我をする事はまずない。


と言うわけで、このパーティーの場合、回復ポーションはダンジョンなどで入手する物であって、買う物ではなかった。




「ポーションの買取をお願いします」

レイラの侍女、ソフィーが懐から出した小瓶を冒険者ギルドの買取カウンターの上に置いた。


「ほう、上級ポーションだな」

鑑定した男が感心する。

この街で普通に買えるのは下級のポーションだ。買取の方が安いから、余程切羽詰まっているとかでなければ、ここに持ち込まれるのは中級か上級になる。いや、中級は稀にあるが、上級はほとんどない。

中級ポーションは街の工房でも作られているが、上級はそもそも普通の薬師には作ることができないので、そう言った意味でも貴重品だ。


アナスタシアのパーティーのメンバーはほぼフルで持っていたりするが。


「どの辺で入手したか聞いても?」

男が尋ねるが、全く期待している様子がない。

「私はただの使いなので…」

ソフィーはアイテムの換金などをするために冒険者の登録をしてはいるが、あからさまに冒険者ではなかった。背は高いが細くしなやかな体型に長い髪、足首まであるワンピースに、見た目重視のブーツを履いている。ソフィーは下級貴族の令嬢で、この旅に参加する前はレイラの侍女としてメイドの仕事をして居た。


実際にはフィールドにもついて歩いているしパーティーに入っているのでレベルはそれなりに高いし、レイラを守るための訓練は受けているので、ただのメイドよりは戦闘力はあるのだが。


ここは比較的大きな街なので上級ポーションを出したが、中級や下級でないと買い取ってもらえない支店もある。

最上級になると鑑定できる人間自体あまりいないので王都にでも行かないと換金できないだろう。

そもそも最上級の回復ポーションを必要とするのは貴族になるので、田舎町で売っても意味がない。


とまあ、考えて無難なアイテムを選んで換金したわけだが、そう言う駆け引きが関係ない連中も居た。




「ソフィーが帰ってこない?」

「うん。路銀を用意してもらうために冒険者ギルドに行ってもらったんだけど…」

レイラの言葉を聞いたアナスタシアが空中を凝視する。

左手に乗せたと言うか、手元に浮いている様にも見える魔導書がペラペラと捲れる。

「これは素人の犯行じゃないわね。私の索敵魔法に引っかからない」

「そ、そんな。それじゃ、どうすれば…」

レイラが悲痛な声を上げる。


「ナメルナ」

どこかから恐ろしい声が聞こえてレイラがびくっとする。

「見つけた」

アナスタシアが呟く。

「え? 魔法で見つけられないんじゃ?」


「索敵魔法で見えない何か、を割り出した」

また、性別不明な声が答えた。

「は?…」

レイラには何が起こっているのか分からなかった。


「候補地が3箇所あるんだけど、手伝ってくれる?」

アナスタシアが他のメンバーに協力を要請する。

皆当然だと言う。




丸コゲの男達が床に転がっている。

アナスタシアに焼かれたのだ。

「回復してやって。私がやると治りすぎちゃうから」

人間、全身を火傷したとしても直ぐには死なないそうだ。

その代わり、長期に渡って苦しみ、例え治っても火傷の後が残るため、かなり大変だそうだが。


だが、アナスタシアに敵意を向けた者は例外なく死んでしまう。

だから先制で焼くのは仕方ない。むしろ相手のためなのだ。決して怒りで暴走しているとかでは、ない…。


建物の外からソフィーを確認したアナスタシアは躊躇もなく誘拐犯を焼いた。


「…」

アナスタシアは完全に無表情。レイラは青い顔をしている。


レイラの護衛たちのチームが向かった場所でもかなり酷い拷問が行われた。

今回の件とは関係ない組織まで、その攻撃は広がっていた。


ルーク、ソロ班が向かった場所は官僚の屋敷でおかしなところは無かったのでこっそり侵入して確認した後、速やかに撤退した。


ソフィーはアナスタシアが担当した建物の奥の部屋に居た。

心配やら恐怖やらで弱っていたレイラがソフィーに泣き付き、どちらが助けられたのやら分からない。

レイラの頭を愛おしそうに撫でてあげるソフィー。


そして落ち着いたレイラに貴方が危険を犯したのでは意味がないじゃ無いかと言う様な説教をした。


「すみません。あまり目立っても不味いかと思いましてタイミングを計っていました…」

ソフィーの気遣いは完全に無駄になっていた。

合流したメンバーは足早に街を後にした。かなり強引な探索を行ったので、正直バレると不味いからだ。


「そうか、こう言う時に低級ポーションを使うんだね。生殺しにするために」

完全に目が座ってしまったアナスタシアが思い出した様に呟いた。


「違います」

レイラとソフィーがハモった。

魔導書の中には10人のなんかアレな感じなのが居ると言う設定なんだけど、この先活かせる気がしないので、なかった事になるかもしれません。ふひひ

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