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5-14 警告ですか

朝から更新すみません、ちょっと通りますよ。

『ダンジョンが生まれたのは今から1000年以上も前、魔法もスキルも存在しない時代だ』


魔導書によって開かれた魔法通信越しに十賢者のうちの3人のうんちくが始まった。

十賢者の中にはかなり長寿な種族もいるが流石に1000年と言うと生まれる前だろう。

不滅の生物ドラゴンですら当時はまだ若かったほどだ。


『魔物はダンジョンから現れたとする者が多いが、我々の知る限り、ダンジョンと呼ばれる物が認識されるより遥か以前から魔物と呼ばれるものは存在しており、その関係性は不明だ』

『少なくとも、ダンジョンの機能の一部は魔物の持つ力、今で言うところの魔力を利用しているようだ』


「ダンジョンが、魔物を利用している、ですか」

メアリーが賢者の話を反芻する。


『そしてこれは予想の範囲を超えられないのですが、ダンジョン間は何らかの方法で繋がっている公算が高いです』


「それは聞いた事があります。魔物の量が突然変化したり、特徴のあるモンスターが他のダンジョンで発見されたり…。繋がっていると考えた方が自然だと感じられる事がいくつかあると。ただ、実際に繋がっている場所を発見した者は居ませんが」

ラインハルトが答えた。


「つまり、この中途半端なダンジョンは、他のダンジョンの影響でこんな形になっている、と?」

アナスタシアが尋ねる。


『なんの証拠もない予想だがな。そして他のダンジョンに影響を与えかねないような特殊なダンジョンと言えば…』

「魔王のダンジョン…」

『だろうね』

『故意か偶然かは分からないが、警告的な意味合いが有るのではないだろうか』

「警告、ですか」

『少なくともそのエリアまでダンジョンに潜る事が出来る実力と同時に、ダンジョンについて深い知識を持っている者に気付いて欲しかった、と言う可能性があるのではないかな』

「………」

アナスタシアはおそらくダンジョンの知識ではこの中の誰よりも詳しい。

なんなら事態を収拾する能力も持ち合わせているだろう。

とは言え、このダンジョンに来ることになったのはラインハルトのおかげだ。


「興味を引かれたのは事実ですね…」

誰かがアナスタシアを呼んでいるのかもしれない、と言う可能性に思案を巡らせるが心当たりがない。

恨みを買っている可能性は否定できないがこれだけのことをする力も持っている存在も思いつかない。


「ここで言う魔王のダンジョンは伝説に出てくるそれではなく、つい最近勇者様によって討伐されたと言う魔王の「魔王のダンジョン」でしょうか?」

何も知らないメアリーが尋ねる。


その勇者とはルークの前世? であり、アナスタシア、レイラ、ソフィー、ソロもその場に居た。


「そう言えば、あの時は魔王の方から出て来てくれたからダンジョンの中には入っていないのよね…」

アナスタシアの呟きにメアリーが反応する。

「しまっ…」

アナスタシアが自分で口を抑えるが時すでに遅し。


「あ、でも、あの時は道中の敵の殲滅は手伝ったけど、魔王を倒したのは私ではないのよ」

本当である。


「少なくとも魔王討伐のために勇者パーティーの一員として旅をなさっていたのですね、さすがです」

「いや、そう言うんではなかったんだけどね…」

目でみんなに助けを求めるが目をそらされてしまうアナスタシア。

変に穿(ほじく)り返されるのは嫌な面々であった。

細かい事情を知らないラインハルトだけは嬉しそうに微笑んでいた。




「とりあえず、ダンジョンコアのある階層へは入れないように結界を張ったけど、当面はこれで良いかしら」

ダンジョンの探索も終わり、外へ出るとアナスタシアがメアリーに尋ねる。そもそもメアリーは領主である父親の代理でここに来ていたようなのでメアリーの許可が出ればとりあえず良いだろうと考えたのだ。


「可能であれば、このダンジョン自体見つからないようにしてもらえますか?」

「良いのですか? ダンジョンは貴重な資源なのでしょう?」

「もちろんそうですが我が領には既にいくつものダンジョンがありますし、問題が解決するまでのわずかな期間、無駄な危険を放置する必要もないでしょう」

「…付いて来る気まんまんですね?」

「もちろんですわ」

左手を腰に当て、右手は胸元にかざしてドヤ顔で答えるメアリー。


「まあ、メアリー様の実力ならば問題はないでしょう…」

呆れ顔と言うか困り顔で答えるアナスタシア。


ダンジョンに近づこうとすると無意識に違う方向へ向かってしまう結界を張った。どのみち危険な目にあったところで本人の自己責任なのでそれほど強い結界ではないが、アナスタシアの結界を潜り抜けられる存在などそうはいない。


「様などと言わず、メアリーと呼び捨てて下さい」

何だかすっかり特別な存在扱いになってしまったようで、祈るようなそぶりでアナスタシアににじり寄る。


「対外的に今は領主代行と冒険者と言う立場ですから、そう言うわけには行きません」

「むぅっ」


「とりあえず、一旦ここの報告をしに冒険者ギルドに行かなければなりませんが、よろしいですか」

「その点に関してはお任せ下さい」


報告業務をメアリーに丸投げする気満々のアナスタシアに、どんとこいです、という感じに返答するメアリーだった。

相手の呼び方とか、言葉遣いとか、そもそも人数増えすぎて誰と誰が居るとか、だいぶ分からなくなってきました

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