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5-7 追放ですか

ジュディーちゃんはゲストキャラなので、誰だっけ?って思った人すみません

「ジュディー、お前をパーティーから追放する」


ダンジョンの中層までもう少しと言う上層の奥、冒険者のパーティーが揉めていた。


「魔力切れの回復術師なんざ連れてたって足手まといにしかならねえんだよ」

「誰のせいで魔力がなくなったのよ…」

「てめえの魔力が少なすぎるのを棚に上げて俺たちのせいにするとか、どうしようもねえやつだな」


「回復術師が居れば回復薬代を節約できるかと思えば余計に金がかかるし、全く役にたたねぇ」


こんな事を言っているが彼らは初めからここでジュディーを置き去りにする前提でペース配分しており、回復薬を温存していた。


「じゃあな。次はせいぜいお前みたいな無能でも優しくしてくれるパーティーに拾ってもらうんだな」

「ちょ、待ってよ」


「付いて来るのは構わんが、戦闘になっても守らねーぞ」

「そ、そんな」


戦闘能力のほとんどない回復術師がこんな難易度のエリアで戦闘職のカバー無しではすぐに死ぬ事になるだろう。


楽しそうに探索を再開するパーティーを見送り、出口にたどり着く方法を考えた。

そんな物があるとは思えなかった。


とんだゲス野郎共だったが、冒険者としてのランクは高い方だった。

おそらく誘われたのは、リーダーの男がジュディーの身体目当てで声をかけたのであり、こんな事になったのはそれを拒否したからだろう。おそらく受け入れたところで結局は捨てられただろう事は想像に難くないが。


「ああ…」


注意して進んできたつもりだったがいつの間にか魔物に囲まれていた。

魔物に飛びかかられて頭を抱えて縮こまった。


「…?」

しばらく待つが何も起こらない。


「大丈夫ですか?」

「え?」

声をかけられて恐る恐る声のした方を見ると、華奢な女の子が2人立っていた。

銀髪と金髪の違いはあれど、どちらも良いところのお嬢様、いや貴族の令嬢と言う感じだ。

銀髪の娘は黒いローブ、金髪の娘は白のワンピースを着て後ろに侍女を控えさせている。

荷物も持っていないし、ダンジョンを攻略してきた風には見えない。


「ここは、天国?」



「良かった。冒険者なんて仕事をしてたから天国に来れるとは思ってなかったわ。あまり綺麗なところじゃないところを見ると、天国もピンキリみたいだけど」

「いえ、ここは天国じゃなくてダンジョンですよ?」

「またまたぁ」


アナスタシアとレイラが相手をしている間に魔物を処理し、アイテムを回収したラインハルトとルークとソロがやって来た。



「なるほど、仲間に裏切られて置き去りにされたのですか。私も経験あります。辛いと思いますがもう気にするのは止めましょう」


アナスタシアのは置き去りと言うか姉の家臣に暗殺されかけたわけだが。


「あの、それだけじゃなくて、もう魔力が残ってなくて、魔法一つ使えないんです」

「別に良いですよ」

「でも…」

「じゃあ、これでどうでしょう。【魔力回復速度ブースト】」


ジュディーの足元に魔法陣が一瞬光ったかと思うと魔力が全回復していた。


「え? なに、今の」

「バフです」

「バフって…」

一瞬で魔力が全回復するバフなど聞いたことがない。


「まる1日くらいは保つと思うんで、バンバン魔法使って平気だと思いますよ。貴方の魔力量なら一瞬で全回復できると思うんで」

「バフって…」


普通のバフは数秒から長くても1分ほどだ。



しかし、回復魔法が使えますと言っても誰も怪我をしなかった。する事がない。


「あの、良かったらさっきのアレ、教えてもらえないかな」

例のバフを教えてもらう事にした。

同じレベルまで習得できないにしても、短時間で魔力が回復できればかなり有利になる。

今日は魔力に困る事はなさそうなので、練習するなら今だし。



「とりあえず、依頼されたアイテムはそろったので帰りますけど、どうしますか?」

「え、私は全然問題ないです。はい」

全く余裕で歩いているのでここがダンジョンの中だと言うことを忘れて魔法の練習とかしていたが、このパーティーは探索ではなく素材収集で来ていたのでこれ以上は探索せずに帰ると言う。


「まあ、この人達なら探索でも楽勝なんだろうけど…」


途中、部屋の様になっているところを通りかかると悲鳴が聞こえて来た。


「この声…」

「貴方を置き去りにした連中ですか。じゃあ、助けなくて良いですね」

気にも留めずに通り過ぎようとするので、ちょっとギョッとした。

でもすぐに気を取り直す。


「ちょっと待ってて下さい」

「え?うん」


「【コンティニュヒール】」

部屋の中に向かって継続回復魔法を放つ。

半日くらいは回復し続けるだろう。


「お待たせしました。行きましょう」

「………」


だいぶ離れるまで悲鳴が聞こえ続けていた。




無事にダンジョンから出た一行はせっかくなので一緒に街までやって来た。ぶっちゃけ、元のパーティーを追放されてからダンジョンを出るまでよりも、ダンジョンから街まで歩く方が時間も体力も必要だった気がした。


「あ、良かったら半端な素材持って行って」

アナスタシアが細かい素材をジュディーに渡す。

「何から何まですみません」

「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」

「ふふふ、お互い様、とは行かなそうなのが一番困るんですけどね。またどこかでご一緒できたら、その時はよろしくお願いします」



その日を境にある冒険者パーティーが姿を消したが、気にするものは居なかった。

この世界の設定だと魔法の呪文とか、アナスタシア以外は知らないはずなので、ほんとうはないんだけど、なんとなく雰囲気で唱えさせてみた(

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