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5-6 嫉妬ですか

ラブコメ回、のはず…

「あの、先ほどは助けていただいてありがとうございました」


魔法使いの少女だ。

フード付きのマントにすっぽり包まれていて、てるてる坊主みたいな格好で、杖もマントの中らしい。


「いや、アレはあまり知られてないっぽいけど、本当に大した事じゃないんだ。気にしないで」

一般的にはジャストガードは高度な技術という認識の様だが、ルークは息をするより簡単確実に出来るので、本当に深く考えずに割って入ったのだ。あまり畏って礼を言われても困るのだった。


「その、お礼をしたいので、何か、私に、出来る事、がありましたら、言ってください」

少女の顔色がだんだん悪くなっていく。

原因は分かっていたので、早く仲間のところへ戻る様に促す。

ルークの死角から何かただならぬ気配が漂ってきている。


振り向くとレイラがにっこりと微笑んでいた。



ワイバーンの骸の脇ではラインハルトが冒険者達に囲まれている。

男も女もなくほぼ全員がラインハルトを称賛し楽しそうにしている。

全滅も覚悟していただけに当然と言えよう。


浮かない顔をしているのはアナスタシア1人だ。


「大丈夫ですか?」

「え? ああ、うん。…レイラはさ、この先どうするかとか決めてるの?」

「私ですか? 私はずっとこのままですよ?」

「でも、先先代の王様の実子でしょ?」

「私は聖女なので家名を捨てて教会に入った事になっているので、教会を離れた今はただの市民ですよ」

「え? いつの間に?」

「ふっふっふ。その辺は抜かりありません」

「………」


レイラは旅をしていた頃は我儘で活発なお嬢様と言った感じだったが、今は何も知らない深窓の令嬢と言った風体だ。見た目は。今更ながら只者ではない事を理解した。


「アナスタシア様はどうなさるのですか?」

「それが、どう、も何も家とは連絡も取ってないので、どういう扱いになっているのかすら…」

「………」


アナスタシアは姉のわがままからラインハルトと婚約したが、魔王のダンジョンが発生した事による戦いが元でラインハルトが王太子になり、王太子妃の座を狙った姉の陰謀と、派閥争いに巻き込まれ逃亡の旅に出ていた。


その後、隣国との戦争、国王の魔王化による内戦など、いろいろあったため、自分の家がどうなっているかすら把握していないのだ。いや、その気になれば調べる手段はいくらでもあるが、しなかった。


ラインハルトの腕に縋り付く女冒険者にアナスタシアの顔が警戒した猫の様になる。


だが、今のラインハルトは平民であり、アナスタシアと居るより正しい姿だ。


ワイバーンはさすがに丸ごと担いで帰るわけにもいかないので、討伐証明になる部位と、持てる分だけ適当に解体して、持ち帰る事になる。運ぶのはソロの仕事だが、余裕のある他の冒険者も手分けして持った。1パーティが見張りに残ると言うので、街に戻ったら応援を要請して回収してもらう事になるだろう。




「あ、お帰りなさい」

拠点に帰還した。いや、本来はソロとリリィの家であって拠点では無いのだが。


ラインハルトとルークはギルド長への報告やらなんやらで帰れそうも無いので、あとのメンバーだけで先に帰ってきたのだ。


「ちょっとリリィちゃん、ソロってば外でやたらと女の子に声かけてるみたいなんだけど」

「人聞きの悪い言い方するな」

帰るなりレイラがちくる。


「なんとか言ってやりなさいよ」

リリィの後ろに回り込み、両肩を持って押し出す様にして発言を促す。

レイラとリリィは同じくらいの背丈だ。つまり小さい。

アナスタシアも大人の中に紛れると小さな子供と言った感じだが、ここでは普通に見える。

ソフィーは長身だがあまり目立たない立ち居振る舞いをするので、それほど大きい感じはしない。


レイラの護衛組を除くとラインハルトだけ際立ってデカい。


「いえ、私はご主人様がどなたと仲良くされようと別に…」

「…それはそれでちょっと辛いものがあるな」

「やーい」


「例えご主人様が他の女性を選ぼうとも、私に飽きて私のことを手放そうと、私のご主人様への気持ちは私だけの物ですから、何も変わることはありません」

目を閉じて自分の胸に手を当てて自らに確認する様に話すリリィ。


「「「………」」」


「ごめんなさい」

レイラ敗北。


ソロが無言でリリィの頭を撫でていた。



「みんな凄いなぁ」

アナスタシアが独言る。


ラインハルトとルークは報告をするとわりとすぐに戻ってきた。他の冒険者達に宴会に誘われたが断ったらしい。周りには物見遊山の貴族令嬢の護衛がメインの仕事と思われているみたいなので、あまりしつこくは誘われなかったそうだ。


「どうしました?」

ラインハルトが隣に座る。


「なんと言うか、私には恋愛感情とかそう言うのがよく分からなくて…」

「私のことはお嫌いですか?」

「いえ、むしろ貴方以外を好きになったことは無いですね…」


「………」

「………」


「い、いま、何か魔法とか使いましたか? 魅了とか」

「逆に聞きますが、貴方にチャームをかけられる人間とか居るんですか?」


アナスタシアはレベル20そこそこが普通で、30を越えれば英雄の領域と呼ばれる世界で、通常職換算で100万くらいである。例えユニークスキルであろうとも効かないだろう。さらに言えばアナスタシアに対して害があると判断できる魔法やスキルを行使しようとすれば術者は死ぬ。


「あわわわわわ」

真っ赤になって混乱するアナスタシアであった。

この国には奴隷から市民になったりとか言うシステムがそもそもないと言う設定なのでリリィは基本的には奴隷のままですが、今の環境では特に関係ないのでそのまんまです。


レイラは意外と悪い女かもしれません。別に悪い方には行かないですけども。


アナスタシアは知識とか経験は100歳相当ですが、たまに少女化します。

と言うか14歳ですから〜。

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