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5-5 ワイバーンですか

戦闘回です

「どうしましょうかこれ」

アナスタシアが困った様に呟いた。

騒ぎと血の臭いに誘われたワイバーンが飛来して上空を旋回しているのだ。


森の中を進んでいたワイバーン討伐隊はオークの群れによる襲撃を受け大きな損害を受けていた。負傷などはアナスタシアやレイラをはじめとした補助職による回復魔法でほぼ問題ないレベルまで治ったが、装備はそうは行かなかったため戦力は全体的に下がっていた。


「もともとワイバーンを討伐するには戦力不足だった感は否めませんね」

ラインハルトが他人事の様に答える。


アナスタシアのパーティーを除くとまともに戦えそうなのは15人ほど、だが戦力と呼べそうな人間となると見当たらなかった。


「むしろ私達だけで来れれば簡単だったんですが、他の冒険者にも花を持たせた方が良いでしょうか」

「と言うか、あなた達の戦力を誤魔化す事の方が重要なのであれば、全滅してもらった方が…」

ラインハルトが物騒なことを言い出す。


「うーん、悩みどころですね」


アナスタシアも大概である。もともとアナスタシアは自分から戦地に赴いた者の生死に関してはかなりシビアな思想の持ち主だ。死にたくなければ森に入らなければ良い。入った以上死んで文句を言うのはおかしい、そんな感じだ。


「来るぞっ!!」

「うわああ!」

一箇所にまとまっていたパーティーに向かってワイバーンが急降下した。

蜘蛛の子を散らす様に逃げ惑う冒険者。


魔法職と思われる少女が転倒した。


誰もが助からないと思った。


ルークが駆けつけるが、どう見てもワイバーンの攻撃を防げる様な盾には見えなかった。


だが、この世界にはいくつかのルールがあった。


ジャストガードに成功した攻撃は効力を失うのだ。

ジャストガード成功を示す光が走る。

巨大な鉤爪がボロい盾に弾かれて驚きつつ上昇するワイバーン。


「な、何が起こったんだ?!」

見ていた戦士系冒険者が思わず叫ぶ。


「何って、ガードスキルだよ。戦士系職種なら誰でも初期から持ってるだろ?」

ルークが呆れて返す。


『ヤツはレベル一桁でワタシのブレスを完璧に無効化しておったからな。ワイバーンなど余裕だろう』

「その話は聞いたことがある気がするわ」

ドラゴンのブレスは直撃を受ければ魔法金属の盾を蒸発させるほどの熱量だ。

戦士がジャストガード以外で生き残る術はほぼ無い。


「ジャストガードなんてそうそう出来ることじゃないだろ?…」

「本気で言ってるのか?」


ルークは誰でも出来ることを普通にやったつもりでいたがそうでは無かった様だ。


「そんな事より反撃するなり逃げるなりしないと不味いんじゃねーか?」

ソロが助け舟を出す。


「そ、そうだった」

「攻撃を…」

とは言えワイバーンは上空だ。

攻撃系魔法使いの魔法や射撃職が弓やボウガンで攻撃する。


「鱗が硬すぎて矢が通らない」

「魔法もレジストされている気がする。特異種かもしれない」

口々に感想を述べつつ攻撃をしている。


アナスタシアのパーティは表向き遠距離職が居ない。

強いて言えばレイラが神聖術で攻撃できる可能性がある神官に偽装している。

聖なる光でワイバーンを倒すと言う話はあまり聞かないが。


「鱗で魔法が効かないと言いながらなんで火を飛ばしたりするんですかね」

アナスタシアが率直な感想を呟く。

魔法使い達がしている攻撃はファイアーボールやアイススピアなど、物理的な何かを飛ばす攻撃だ。


「君みたいにワイバーンを内部から爆発させたり出来る人は、そう居ないと思うよ」

「あ、アレはちょっとした手違いで…」

アナスタシアは以前ルークと2人で旅をしていた時に、ワイバーンを爆破してしまい非常にスプラッタな事になった過去があるのだ。



再びワイバーンが急降下攻撃を仕掛けてきた。

今度はラインハルトが割って入る。

ジャスト回避の閃光と共に攻撃が撃ち込まれる。


この世界にはいくつかのルールがあった。


回避スキルを使い完璧なタイミングで回避すると敵の攻撃を無効化すると同時に当たり判定が消失して敵の身体をすり抜ける事が出来る。さらに、その際に攻撃を繰り出す事によりジャストカウンターになり、通常より強力な攻撃が入る。


カウンター攻撃は何もなくとも大きな破壊力を得られる事が多いが、相手をすり抜ける際に攻撃だけは入るのだ。弱いわけがない。


もんどり打って転がっていくワイバーン。土煙を巻き上げ木々をなぎ倒す。


「すげえ。アレでAランクなのか?…」


Aランクの上のSランクは戦闘系のユニークスキル持ちを区別するためのランクだ。つまり、ラインハルトの力は一般的なスキルと身体能力による純粋な力だけでSランク並の攻撃力を実現していた。


「ちょっとやり過ぎてしまいましたかね」

(とど)めを他の冒険者に任せてアナスタシアのところに戻るラインハルト。


「す、凄いですね…」

「もっと弱いと思っていましたか?」

「い、いえその」

「これでも貴方の騎士にふさわしい男になるべく努力してきたんですよ?」

「え、あ、あいっ、いえ、はい…」


またラインハルトが膝をついて手を取るので真っ赤になって噛んでしまうアナスタシアだった。

日本のファンタジーでは便利に使われているワイバーンですが、なんかこう、釈然としないと言うか(ナニ

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