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5-4 飛竜ですか

なんか重かったから動画見てたら遅くなりましたが通常運転です

「飛竜とは…」



ラインハルトが冒険者ギルドで受注した緊急依頼とは飛竜討伐であった。

街の東にある山の森にワイバーンが出たのだ。

森の恵は重要な資源であり、冒険者だけでなく普通の市民も森で採取や猟をする。多少の危険はやむを得ないとは言え、普段いないはずのワイバーンは放置できない。


「飛ばなかったらただのトカゲなのでは」

『トカゲとは酷いな』

「貴方に言ったわけではありません」


30人ほどの集団の最後尾をゾロゾロと付いて歩いていた。

討伐隊的にはAランク冒険者のラインハルト目当てで他は仕方なく参加させたお荷物と言う扱いだ。

むしろ、討伐が上手くいけば素材がたくさん出るのでポーターであるソロの方が役に立つと思われていた。


あまり目立ちたくないアナスタシア達は同行する必要もないのだが、物見遊山で付いてきた。

やっている事は見たままだ。


「ねえルーク、その鎧と盾、返って弱く見えるよ?」

「そのために装備しているんだから良いんだよ…」

「むうっ」

小声でヒソヒソと話す。

ルークはいかにも弱い戦士と言った感じの装備をしている。わざわざ。

偽装とは言え『私の勇者』が格好悪いのは我慢ならないレイラだった。


見たところ、実際の戦力はラインハルトを含む数名がソフィーと同程度、と言う感じか。

ソフィーの職種は侍女だが主人を守ると言う事も範疇に入るらしく、防御力は高く、攻撃力もそこそこある。レベルは英雄の領域と言われるレベルキャップを開放している。


「大丈夫ですか?」

ラインハルトがアナスタシアの体力を気遣う振りをする。振りと言うか心配ないのは分かっているが気遣いはしたいのだ。見た目は14歳の華奢な少女。山道を散歩の如く歩く様には見えない。

「ええ、大丈夫です。こう見えて私も冒険者になってかれこれ…」

遠い目をするアナスタシア。


「…まだ1年も経たないのですね。なんだか100年くらい冒険者している気がするのですが」

「がっはっはっは、お嬢ちゃん年はいくつだよ」

前を歩いていた冒険者がアナスタシアたちの話が聞こえたのか話しかけてきた。

どうやらブーツの紐を直していて遅れたらしい。

子供好きの気の良いおっちゃんと言う感じだ。


「えっと、14歳です」

「じゃあ、生まれてからずっと冒険者してても100年はねえな」

そう言ってまた豪快に笑っている。

「と言うか14って事はFランクだろ? 冒険者と言うにはちょっとなぁ」

そう言うとまた笑いながら先行して行った。


冒険者にも一応年齢制限があり、Eランク以上はこの国の成人年齢である15歳からだ。

ただし、Fランクだけはギルドで受け付けているアイテムを納品することができれば年齢は問わないため、依頼を受けられないだけで、魔物やモンスターを倒し素材を納品してお金をもらうことが出来るため、ほぼ年齢制限はないと言っても過言ではない。

ちなみにルークとソロは15歳、ラインハルトは17歳だ。


さらに森を奥に進む。この辺りはまだ歩きやすい様に人の手が入っている。


「あら、言った方が良いのかな?」

アナスタシアが呟いて少しした頃、先頭グループから伝令が入る。

オークの群れと接敵したらしい。


「こんなところでオークですか?」

「ワイバーンから逃げてきたんだろう」

「なるほど」

レイラがルークと小声で話している。


「オークか。リリィを連れてくれば良かったかな」

リリィは無限格納庫と言うユニークスキルを持っているのだ。

無限である。


「人型モンスターを食べる文化は微妙だと思います」

「と言うか、こんな大勢いるところじゃ目立っちゃうでしょ?」

「女の子をなんだと思っているんですか」

女性陣のブーイングが凄い。


「失礼」

言うが早いか剣を抜いたラインハルトが左手でアナスタシアを抱え上げると道の脇からオークが襲いかかってきた。アナスタシアはオークには気が付いていたがラインハルトの行動は予想もつかなかった様で声も出ない。


「良いなぁ」

レイラが場違いなことを呟く。

「背が低くてごめん」

謝りつつレイラの手を引くルーク。

レイラが小さいのでもう少し背があったら抱え上げたまま戦えたかもしれない。

「ううん、大丈夫」

嬉しそうに手を握り返すレイラ。


戦えない事になっている人たちを庇いつつ、ラインハルトとルークがオークを片付けていく。

ラインハルトが主力に見える様に誤魔化しつつだが。




「本番前にだいぶ損害が出ちまったなぁ」

ソロの言う通り、損害が無かったのは最後尾に居たアナスタシアたちだけだった。

むしろ、後方からの攻撃の方が激しいくらいだったと言うのに。



「あ、ありがとうございます」

「大丈夫ですよ。うちのパーティーは回復には事欠きませんからね」

他のパーティーの怪我人を治療していたアナスタシアが力こぶしを作る振りをする。出来ないが。


足手まといだと思っていたが言わなくて良かったと言う顔をしている人間が多数だった。


討伐隊が一転、葬列の様になっていた。

それはそうだ、ワイバーンどころかオークの襲撃で壊滅しかけたのだから。

だが、オークとの戦いでの騒音と血の臭いが魔物を呼んだ。


「飛竜だ、デカい」

「なんてこった」

冒険者たちが呻いた。


「飛竜…、ちっさいですね」

「そりゃ、ドラゴンと比べたら、ね」


ラインハルトとアナスタシアは大人と子供くらい体格差があるけど、ルークとレイラは少し背が高いくらいの差しかないのです

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