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4-24 特定?

本日2度目の更新になります。

「あの、立花(たちばな)さんって、ゲームとかしてます?」

「何? ナンパとかですか?」




大学の敷地だが一般の人も通っている歩行者専用の道に長身の女性が人待ち顔で立っていた。

背が高い、と言うか、足が長い。体格も良いがごっついとまではいかない。

落ち着いた感じではあるが美人というよりは可愛いお姉さんという印象だ。



「えっと、立花ってリッカとも読めるじゃないですか…」

「ああ、はいはい。えっと、身内に私に似たアバターでゲームやってるのが居てね。たぶんそっちかな」

「あ、そ、そうなんだ。へー」

などと話していると、女性が何かに気がついてそちらに向かってしまう。

あっさりと断りの言葉一つで。



「命さんのお友達ですか?」

「うんにゃ、知らない人。学部が同じ、なのかなぁ。向こうはこっちを知ってるみたいだけど」

アナスタシアの問いに答える命。


こちらでアナスタシアに会うのもすっかり慣れてしまった。

今さっきゲームの話を振られたばかりだと言うのに全く気にしていなかった。


先ほど話しかけてきた男と、他5名の男女が目を丸くして口を開けて固まっていた。



直後から、物凄い勢いで噂が広がった。

リアルリッカとリアルアナスタシア様がリアルでデートしていたと。


だが本人が違うと言っていたと言う証言からその噂も瞬く間に訂正され、今度はイノとアナスタシアであると言うことがまことしあかに囁かれた。

リッカほどではないが、イノもそれなりに有名になっていたのだ。

上級プレイヤーを手玉に取る新人として。



「うーん、良く知らないけど、こう言うのはちょっとマナー違反じゃないかな」

ゲームを理由に命に声をかける人間がやたらと増えた。

なんとなく鬱陶しく感じていた命は1人の青年に苦言を漏らしてしまったのだ。

別にこの男だけがやらかしたわけでも特別しつこかったわけでもなく、たまたまタイミングが悪かっただけなのだが。


「あのっ、その…」

と初めは狼狽ながらしどろもどろだった青年が意を決したかの様に表情を引き締めた。

「ゲームを理由にお近づきに慣れないかと思ったのは事実ですが、立花さんが素敵な方だと思っていたのは以前からで、今回の事だけではないです」


「またまたー。そんな事言えば女がみんな喜ぶと思うなよ。彼氏いない歴=年齢女をなめんな」

全く信用しない命。


「それは命さんの理想が高すぎるせいでは?」

横で聞いていたアナスタシアがツッコミを入れた。


「へ?なにそれアナスタシア様まで…」

「では、お聞きしますが、どう言う方が好みですか?」

何か残念そうな顔のアナスタシア。


「そうねぇ。やっぱり強くてカッコいい人かな。あ、て言っても喧嘩が強いとか、見た目が美形とかじゃなくて、そう、人として尊敬できる人かなぁ」


「「「………」」」


いつの間にか人が集まってきていて、命のセリフに言葉をなくしている。


「え? 何? なんなの?」

「…命さんから見て尊敬できるほど凄い人とか、そうそう居ないのでは?」

「どういうこと?」


男性陣が諦め顔でうなずく脇から女生徒が割って入る。


「と言うか、立花さんあまり遊んでいる印象がなくて、誘いにくかったのですけど、ゲームやっていると聞いて始める子も少なくないんですよ?」

「え? そう、かな。いや、うん」


「その、下心があるのは否定しませんが、まずは友達として遊んだり出来たらと。外でも、ゲームでも構わないので」

「賛成」

「私もお友達になりたいですわ」

「え、ああ、うん。なんかごめんなさい」

「謝らないでください」


言われてみれば、高校を出てから、いや、異世界から帰ってから友達を作るとかそう言う事をしていないことに気がつく命だった。




「もしかして、私って寂しいやつ?」

「いえ、そんな事はないんじゃないかと…」

命のマンションに帰った命はアナスタシアに言うでもなく独言た。

アナスタシアは猫耳フード付きの部屋着を着ている。


「いや、これまでは、自分で言うのもなんだけど、寂しいやつだった気もするけど、そのなんだ、今はアナスタシア様がいてくれたらそれで良いかなって…。いや、変な意味じゃなくて」

「えーっ」

立っていたアナスタシアの手を引いてソファーの隣に座らせると、腰を抱く様にして引き寄せる。どう見ても変な意味としか思えない。


「でも、アナスタシア様はまたどこかに帰ってしまうんだよね…」

「いえ、今はもうあちこちに存在しているので…、帝国とこちらの両方に居る様に」

「え?行き来しているわけじゃないの?」

「両方に同時にいますよ?」

「前は向こうから移動してきていたよね?」

「けっこう面倒なので分裂しました。他にもいますよ?」

なんでもないことの様に言うアナスタシア。

分裂とは。


「…えーと、じゃあ、このアナスタシア様は、私のアナスタシア様として確保しちゃって良いのね?」

「へ?」


命が嬉しそうに言う。


「えーと、別に問題はないと言えば無いような? え?」

「ふふふ。とりあえず、突然居なくなっちゃうのを心配しないで良いのはありがたいなぁ」


命がアナスタシアの頭に頬を擦り付けるのだった。

一応命はアナスタシアと別れるのを恐れているだけで、レズとかではないようなそうでもないような?

でも、男には興味ないんですよね、たぶん。

とは言え、アナスタシアに執着しているのも異世界での生活があったからなので、たぶん大丈夫です。ええ。

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