4-13 中級エリア
多分最後の同日複数回更新になります。
ストックがほとんどないので。
変なことやっておいて誤字とかしてすみません。お恥ずかしい
円形の闘技場の様なボスエリアは完全に閉ざされていて歩いて出入りする事はできなかったが、ボスを倒すと壁に転送ゲートと思われる穴の様なものが現れた。
ボスを倒すとゲートが開く理屈が良く分からないが、まあ、ゲームだからと割り切る他はない。
そもそもボスエリアに人が入るための仕組みがある時点でゲームである。
ちなみに2人まではボスだけしかいないが、3人以上でチャレンジすると雑魚が湧く。
2パーティー以上だとボスが複数現れる。
アナスタシアとイノがそのゲートを潜ると森の中の道に出た。振り向くとそこは行き止まりだ。
ボスエリアにここから戻る事は出来ない様だ。
「おー、お? なんか変わった?」
「あまり見た感じは変わらないですね」
イノはアナスタシアに連れられて、エリア外やら王都に行っているが、自力で違うエリアに来たのは初めてだ。
この世界は基本的にはオープンワールドに近い構造で広い世界がぱっと見分からない壁でいくつかに分割されていてる構造だ。上空から見下ろす事が出来れば、元居たエリアとこのエリアは隣接していて、設定より低ランクのプレイヤーには通過できない壁で分割されているだけである事が分かっただろう。
例外もあって、ボスエリアなどいくつか特別なエリアは別空間に併設されている形になっている。
「そうだ、みんなに報告しないと」
ボイチャの設定をいじる。
「もしもし?」
『もしもしって電話じゃないんだから、って終わった?』
そもそも電話でもしもし言う人も珍しい。
「今出たとこ」
『今度は約束ある日に寝坊したみたい』
「良いじゃんか」
妹のリッカとの通話がなんだかおかしくなってしまう。良く考えるとこのゲームの中で遠距離ボイチャははじめてかもしれない。
『んじゃ街で待ってて。街と街の間は移動できる様になってるから』
「あー、そうなんだ」
「同じエネミーでもこっちの方が強い?」
移動し始めるとエネミーと遭遇したが、見た事があるモンスターだった。イノは新しい武器を入手したことで攻撃力が上がっているせいもあって難なく倒した。
「私もちょうど良いくらいの刀が欲しいなぁ」
アナスタシアはなぜか杖が出たので武器が更新されていない。
もともと持っている武器がチートなのだが。
しばらく歩くと初級エリアと同じ様な街にたどり着いた。
街の見た目は違うのだが、基本的には同じ様な施設が並んでるようだ。
店に並んでいるアイテムはアンコモンっぽい。
基本的にフィールドでドロップするのでわざわざ買うことは少ない。
アイテム合成などで足りないアイテムをゲーム内通貨で補填する時くらいだろうか。
このエリアにはプレイヤーが不要になったアイテムを売買するショップがある。
前の街になかったのは、あまり極端な武器が手に入らない様に、と言う配慮だろう。
通常のショップの武器と比べれば破格の性能だが、そこまで極端に強い物はここにも無さそうだ。
冒険者ギルドに入るとリッカ達が待っていた。
「あそこのマップから解放されているエリアの冒険者ギルドに移動できるからね」
「おー。どう言う仕組みなんだろ」
アナスタシアが感心する。
「ゲームだから…」
マテラがツッコミと言うには弱くツッコミを入れた。
「流石に上位エリアほどじゃないけど、この辺なら暴れてても怒られないんじゃないかな」
「逆に本物の初心者狩りが出たら誰が助けるんだろ、って言う心配はあるが」
「確かに」
「そこはヨルム氏になんか考えて貰いたいかな」
イノが呟いた。
「ワシかい」
「居たの、ヨルム」
「ワシはどこにでも居てどこにも居ない存在じゃからな」
メイド服を着た小さなドラゴン娘が仁王立ちしている。
腰の小さな蝙蝠の羽がピコピコ羽ばたいている。
「後始末は終わったの?」
先日のハッキング事件からしばらく様子を見せなかったので、イノが確認する。
「うぐぐ。終わったと言って良いのか悪いのか。正直敵がどうやって侵入した何者なのかさっぱり分からんのじゃ」
「その辺は私らには分からないからなぁ」
「分かりそうな人に心当たりが無くはない、けど」
アナスタシアの呟きは誰にも届かなかった。
「ちなみに、ここでは何をしようと自由と言う建前になっているからの、初心者狩りも、以前のアナスタシアの様に初心者を守るのも自由じゃ。まあ、アナスタシアの場合はちょっとやり方が悪かった様じゃがな」
「えー。私が悪いんですか。しょぼん」
「それより、レベリングでお金も溜まったと思うし、まずはコスチュームをなんとかしようよ」
リッカが詰め寄る。
このゲームは鎧などの装備が無いため、初期コスチュームのままなのだ。
さすがに、このロビーにはほとんど居ないので、逆に目立つ。
アナスタシアはドレスっぽい服を来ている。ヨルムはメイドだ。
セーヤはエルフっぽいワンピースに革鎧。マテラはチュニックに七分丈パンツにマントに帽子だ。
リッカはへそ出しと言うかビキニになんか布が足されている様な服にミニスカートにブーツだ。
ファンタジーっぽいと言えばファンタジーっぽいのだが、外観が命に似ているのだった。
「………」
この作品のゲーム世界は異世界で、さらにそこで亜空間とか利用している感じです。
命たちの世界との繋がりとか説得力のある嘘技術設定とか出来そうにないので、なんとなくふんわり考えてもらえたら(