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4-10 ハッカー

今日も同日複数回更新中です。

初心者エリアD-3ブロックにある洞窟。


そこにアナスタシアとイノが来ていた。エネミー討伐とアイテム収集を終え、帰ろうとしたところで得体の知れないモンスターと遭遇した。


「なんだか気持ち悪いのが入ってきますね…」

「バグ、かなぁ…」


アナスタシアとイノが唖然としながら眺める先、洞窟の入り口には人や馬のデータがぶっ壊れて変な風になってしまった様な何かが蠢いている。どうやら入ってくるつもりの様だ。


「ひゃっ」

「おふぅっ!」


馬の頭らしき物がノーモーションでびろーんと伸びてイノを襲った。


「びっくりしたー」

「アレを躱すお主の方がびっくりじゃわい」

いつの間にかヨルムが来ていた。瞬間移動とか出来るのか、透明になってずっと居たのか。


「アレは何なの?」

イノが問い詰める。

「ワシは知らんぞ」

「新しいエネミーとかではないのですね?」

アナスタシアは刀の柄にかけていた手をどうしようかと困っている。


「どうなっとるんじゃ、千代美」

『すみません、回線攻撃の対応をしている間に侵入を許してしまった様です』


どこか空中から声が聞こえる。本来はヨルムだけに聞こえるはずだったのだろう。

佐々木原 千代美はゲーム配信会社のエンジニアだ。この世界を作ったのはヨルムだが、この世界とネットワーク、さらにはプレイヤーを繋いでいるのが千代美の会社だ。


千代美の会社にあるサーバに干渉する事で、侵入させたプログラムが得体の知れない化物という形で具現化されているらしい。


「あー、アナスタシア様は攻撃しない方が良いかも」

「え?」

イノが手にしている武器がノイズみたいになっている。


このゲームには武器破壊はない。


「アレは触ったらダメなやつっぽい」

イノの武器が消滅した。


「おのれ、これならどうじゃ」


ヨルムの手から光の様な物が放たれる。

光が分散しつつねじ曲がって当たらない。


「ぐぬぬぬ、物理法則をねじ曲げるか。随分と面倒なレベルまで侵入された様じゃな」

『すみません』

「いや、この段階じゃともはや私の領域じゃろう」

『こちらの対抗プログラムでは止められそうもありません』


話している間にも馬の顔や人間の足などがびよんびよんしていて、とても気持ちが悪い。


「うーん、避けるのは別にどうと言うこともないんだけど、キリがないねぇ」

「そうですねぇ」


ある意味気持ち悪いと言うか、理解を超える動きで攻撃を躱しながらイノとアナスタシアがせっついてくる。


「いやいや、お前らもおかしいじゃろ!! いや、そんな事を言っている場合ではないか。千代美、この周辺のプレイヤーを避難させろ」

『了解です』




「へい、いっちょ上がり〜」

羽の生えた巨大なライオンを槍で串刺しにしたリッカが勝利宣言する。

ボスエネミーはすぐには消滅しないので、ボスエネミーから素材を掘り出す。


遠距離から支援していたマテラとセーヤも駆け寄って来て回収していると、ぴぽっと言う音と共に視界の上部にテロップが流れる。


 ーー プレイヤーの皆さんにお知らせです。現在、初心者エリアD-3ブロックにある洞窟周辺にて不具合が起きております。大変申し訳ありませんが、付近のプレイヤーは退避もしくはログアウトしてください。ご迷惑おかけします。 ーー


「!!」


駆け出そうとするリッカをマテラがドロップキックで吹っ飛ばす。


「離れろっつってるところに行くな」

馬乗りになるマテラ。

「お、おねえちゃ…」


「………」

セーヤはいつになく真剣な眼差しで初心者エリアの方を見つめた。




「それで、どうするつもりですか?」

もはや不思議なダンスを踊っているみたいになっているアナスタシアが尋ねる。

「そうじゃな、最悪このブロックを消滅させる」

「…」

口で言うほど簡単でもなければ、ヨルム自身やりたくないのが伝わってくる。


「ちょっと待ったーっ!!!」

突如どこかから響いた声と共に轟音が鳴り響き、何かが洞窟の天井を突き抜けて落下した。

天井は特に変わっていないが。ゲームなので。


『すっ、すみませーん、また何者かの干渉がー』

千代美が泣きそうな声で叫ぶ。


派手な爆発エフェクトの白い煙の中から人型のシルエットが現れる。

人にしてはだいぶ大きい、全身が溶岩石を集めて作った様なゴツゴツとした黒い巨人だ。


「三流ハッカーが、この世界に干渉しようなど、この私が許さん」


黒い巨人のパンチがバグっぽい何かに炸裂する。

ノイズみたいな表示は発生するが巨人に影響は無い。

次々に侵入したプログラムたちを消滅させていく。


「くっくっく。悪は滅びた」


「いや、お前もハッカーだろ?」

自己満足に浸っている謎の巨人にイノがツッコミを入れる。


「………」

3人の視線に汗ダラダラの巨人の中の人。


「さらばだっ」

「あ、逃げた」


「ま、まあ、助かったのは、確か? じゃな?」

『こちらも外部からの干渉を検知できなくなりました…。警報は、止めても大丈夫でしょうか…』

「いや、今日はこのままにしておいてくれ…」

『そう、ですね。こちらもチェックに入ります…』


「なんか大変そうだし、帰ろうか」

「そうですね」

「あ、ギルドに寄って報告と納品しなきゃね」

「はい…」


とぼとぼと街に帰る2人だった。

「了解です」ってリアルで言ったら笑われたことあるんだけど、普通の人は使わん感じ?

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