第一章「はじまり」
プロローグ「緊急事態」
「·····暇だ。」
作戦指令室の中で、レーダーの○を眺めながら数分の沈黙の後そうこぼした。彼の名は八嶋憲明、地球軍日本宇宙自衛隊護衛艦「白雪」の艦長である。
「クソが、何で他のやつが遊んでいるときに艦長であるこの俺がレーダーなんざ見にゃならんのだ。ここに宙自のトップがいたらぶん殴ってやる。」
八嶋はそう不満げに吐き捨てると、机に置いてあるカロ○ーメイトをかじった。チョコレート味マジうめぇ。そんなこと考えながら、死んだ魚のような目でレーダーを見ていると、横の扉から、副長の桜木花道が入ってきた。某有名バスケ漫画「スラ○ダンク」の主人公と同性同名だが体格は全く違う。全身ひょろひょろ、肩を叩いただけで死んでしまいそうなほどである。八嶋がそんなことを考えながら桜木を見ていると、
「何ですか、いかにもこいつが桜木花道を名乗っていいのか?みたいな顔して」
「よくわかったじゃねぇか。」
「よくわかったじゃねぇか。じゃないですよ。大体、千年くらい前のアニメの話なんて艦長くらいじゃないと分からないですよ。」
「おいおい、千年も語り継がれるアニメや漫画なんて、すげぇじゃねぇか。最近は古代のアニメブームとかで大昔のいろんなアニメや漫画が掘り出されているんだぜ。」
「まぁそうですけど。」
そう言うと、桜木は席につき、何やら打ち込み始めた。艦長席からはうっすらとしか見えないが、ハンマー型の船が写し出されている。なんだそりゃ、と桜木に問いかけようとした瞬間レーダーに反応があった。解析すると、国籍不明、おそらく敵だ。
「砲撃手、艦橋担当を引っ張り挙げてこい。戦闘配置。ノロノロしているやつは口ん中クソ突っ込んで宇宙空間に放り出せ。」
大声で張り上げると桜木が復唱、数分後に艦橋担当が入って来て驚いた顔して配置についた。
「主砲、副砲、準備よし。」
「国籍不明艦、高速で接近中、距離35、本艦とは二分後に接触。」
「国籍不明艦、これまでにない形の艦です。」
次々と報告が上がってくる。三年間艦長を務めてきた八嶋には分かった。体当たり攻撃だ。この場合砲撃で沈めても良いのだが、シールドを前に押し出しているため、相当な威力の大砲なければ無理だ。そして、この艦は巡洋艦、そんな装備はない。主砲も20センチ2連装砲を前と後ろに一つずつ置いてあるだけ。とても無理がある。なので、ここでとる判断は、
「第1船速、面舵いっぱい!」
そして、いい距離で突っ込んでくる敵艦をかわし、無防備な後ろに20センチ砲をぶちこむ事を考えていたら、けたたましい轟音とともに、八嶋の右目に炎が燃え上がっているのが写りこんだ。
「被害甚大!沈没します!」
体当たり攻撃艦ではなく、それに見せかけた攻撃だった。一杯食わされたと歯ぎしりをして八嶋は総員退避を命じると、艦橋担当は第1脱出ポッド格納庫に向かい1~5番の入口に2人ずつ乗り、射出ボタンを押すと窓から反対側の脱出ポッドが正常に射出されていることが視認出来た。八嶋は安堵の表情を見せると、今度はそのポッドが次々と爆発した。さっきの体当たり攻撃に見せかけた艦の機銃掃射である。あまりに正確なので、とっさに回避行動をとるとシステムの誤作動でワープをしてしまい、そして体勢が悪かった為、ワープ時に圧力に耐えきれず、気絶した。ここで八嶋の記憶は途絶えた。
~つづく、かもしれない。~
読んで頂き有り難うございます!初投稿で右も左も分からない龍木ユウイチです!暇潰しでやったら結構楽しくなっちゃいましてこれから不定期で投稿しようと思います。誤字脱字、おかしなミス等有りましたらご指摘のほどお願いします。本当に。ではでは。
平成三十年一月七日龍木ユウイチ