エピローグ
梅雨の季節だというのに、その日だけは妙に晴れていてぽかぽか陽気。まるで春がもう一度来たかの様。
それなのに披露宴に集まった人々は、お互い変な顔をしていて。
何しろ主役のキャラが日頃とはまるで正反対なものだから。
地味顔だったはずの彼女は思いのほか化粧映えするという事が発覚し、8センチのヒールも何のその。
オフショルダーのウエディングドレスがこれでもかっと咲き誇り、すんなりとしたタキシードの隣りで宝石の様に光り輝いていた。
新婦の関係者は
“マジっ”
と仰け反った。
後にその時の写真をみた同僚の何人かは
“逃がしたお魚ちゃんはなんとかかんとか”
と言ったとか、言わなかったとか。
対して、饒舌でならした新郎君は注がれるビールを飲み干しながら、
「ありがとうございます。彼女の事、幸せにしますから。」
と繰り返す。
くだけた友達があきれ顔で
「よっぽどあっちの相性が良かったんだなぁ。」
と冷やかすと
「ちげ(違)うよ!」
と手を振って彼女の方をこっそり盗み見する。
「そう言う事じゃ無いって。」
慌てる所がどうにも阿呆らしい。
多分弱みを握られているんだ、いや単純にできちゃったんだろう。
そして最後、彼はMの気があり、女王様にすっかり飼いならされたんだ、などと言う事に話が落ち着く。
実はそれが正解。
彼は下僕。忠犬の様に彼女の足下で眠る。何しろそこが彼の居場所だから。
そしてナイト。彼女を守る事で初めて男になれるから。
だから彼女は抱きしめる。そのままの彼を。彼女以外誰にも与える事のできない安らぎと庇護を込めて。
ラプソディ・オン・ブルー Fin
皆様、いかがだったでしょうか。
読み終わった後、何となく幸せな気分になってもらえると嬉しいです。
ここまでおつき合いいただきありがとうございました。
現在このお話、コミック化のオファーを頂いております。
近日詳しいご報告さし上げる事が出来るかと思います。
もし良かったらブログに遊びにいらしてくださいね。